悪役令嬢はSランク冒険者の弟子になりヒロインから逃げ切りたい

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シルクの実家

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シルクが静かに経緯と顛末を説明してくれた。

「今父親が今後ヒル王国との関係を絶つと声明を出しました。多分大騒ぎになりますね。ローズウッド家の者と知った上でギルドを通じて僕を呼び出し、魔封じの腕輪を使って監禁、暴行ですからね。」
やはりあの傷は暴行の跡。
「今後ヒル王国の呼び出しにはローズウッドは応じない、そうなれば王族に対して貴族も国民も黙ってはいないでしょう。他の国もヒル王国との関係を考え直すでしょう。」
大変な事になってしまった。ルイルイは国民を巻き込んだことを理解しているのだろうか?
私の父親や兄はどう動くだろう。
私の不安そうな表情に気付いたシルクが、私の頬を両手で挟み、目を合わせてくる。
「ルマは何にも悪く無いですよ。僕が守りたかったのはルマの笑顔です。笑ってくれませんか?」
よしっ!元気を出そう。シルクに向かってニカッと笑う。
「シルクのお母さんにシルクの好きな料理を教えて貰います。」
そう言ってベッドから飛び降りた。シルクは慌てて「血を失っています。暫く安静に・・・」
と声を掛けるが、廊下を走り出した私には聞こえていなかった。

シルクの好物を聞くチャンスだ。
「シルクのお母さーん。」
シルクの実家もやっぱりこじんまりしていて、シルクの家に客間ともう一部屋が増えたような造りだった。
シルクのお母さんは丁度夕食を作っている最中でお手伝いさせて貰った。
夕食はシルクの両親と一緒に4人で食べた。
ベンさんは私を運んですぐに家に戻っていったそうだ。アドさんのことが気にかかるらしい。
シルクのお母さんは、元々はお父さんの冒険者パーティーの一員で回復役を担っていたそうだ。シルクもお父さんも魔法は全属性使えて、更に勇者一族だけが使用出来る魔法があるが、回復魔法はお母さんに敵わないらしい。そしてその勇者パーティーにはベンさんもいたそうだ。なるほど、だから気安い間柄だったのか。
おじいちゃんの代で魔王が出現して魔王はおじいちゃん達が倒したけど、各地にそこそこ強い魔族の残党が残っており、その残党をお父さん達勇者パーティーは倒して歩いたそうだ。お父さん達の話は初めて知るような事ばかりで、お喋りしながらの夕食はとても楽しい時間となった。
「シルクの好物をもっと覚えてお家で作りますね。」
と話すとシルクのご両親共に微笑んだ。
「まるでお嫁さんを貰ったようだよ。」
そっか。お嫁さん。このままシルクとの生活が続くような気がしていたけど、ルイルイの問題が片付いたらシルクの家を出るんだ・・・。シルクもお嫁さんを貰うのかな。
各国の姫様とか娶って来たらしいし。
シルクの表情を伺い見る。
「ルマは私の弟子ですから、冒険者として一人立ち出来るまで、家に住んでいてください。目が離せませんから。」
「はい。」
「ところでルマさん。」シルクのお父さんが真面目なトーンで話し出した。
「シルクから話を聞いたけど、今回ヒル王国王太子がしたことは、今までの信頼関係を全て壊すような事なんだ。この事は公にさせて貰う。静観出来る範囲を越えてしまった。ルマさんの実家に迷惑はかけないようにするよ。」
過去に何人もの王族を娶りながらも平民を貫き、国の干渉を避けてきた家だ。そこには揺るぎない王族との信頼関係があるのだろう。
「はい。シルクにはご迷惑をおかけしました。」
「いいんだよ。アイツがしたかった事だ。Sランク冒険者シルクとしては自由に動けばいいんだが、シルクレン・ローズウッドとしてはそうもいかない。勇者を継ぐものとしての責務もある。」
シルクが背負うものは重い。

「ルマは王太子から婚約破棄されたと聞いていましたが、王太子はかなりルマに執着していましたよ。毎晩地下牢に来てルマから離れるよう僕に要求してきました。毎晩執拗に殴るので僕も流石に腹が立ちました。王宮で暴れるのはまずいので無抵抗で拘束されたんですけど。」

なんてことを。あの殿下がそんな事をするなんて・・・
首を捻る。捨てた途端に惜しくなったのかしら?

それでも私の傍に居てくれるシルクに感謝したい。
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