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10.ピンチです
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王宮での生活はそれなりに忙しい。
私は護衛の兵士と侍女と行動を共にしていた。
マナーやダンスの練習はそれぞれ部屋が違って広い王宮内を移動するのは、大変。
私はその日もはしたなく見えないギリギリの速さで王宮の廊下を歩いていた。
「あっ!ハリス殿下。」
あまり会いたくない人だが、王宮の客人だ。ハリス殿下が近づいて来たので頭を下げた。
すると、ハリス殿下が侍女と護衛に向かって話し掛けてきた。
「私の使っている客室から宝石類が盗まれた。あれは国宝級のお宝だ。早くさがしてくれ!」
「え?宝石ですか?直ぐに人を集めて調べます。」
護衛がハリス殿下に命じられ、私を気にしつつもその場を離れた。
「部屋を掃除する係のヤツが盗んだのかもしれん。直ぐに侍女長に伝えてくれ!」
ハリス殿下は今度は私の後ろに控えていた侍女に対して命令口調で話しかけた。
「で、でも……。」
「急いでくれっ!!両国の関係にヒビが入っても良いのかっ!!」
「は、はいっ!!畏まりました。」
ハリス殿下に怒鳴られた若い侍女は急いでバタバタと廊下を走っていった。
侍女と護衛が居なくなった廊下はがらんとしていて、ハリス殿下と私だけが残っていた。
不味い……
私はハリス殿下から距離を取ろうとしたところで腕を掴まれた。
「な、何をっ!」
ザッザッと背後から音がしたかと思うと布で口と鼻を覆われた。
っ!!
薬品っぽい刺激臭を感じた途端に意識が遠のく。
ヤバい!
そう思ったときには既に意識は混濁し身体に力は入らなくなっていた。
ー・ー・ー・ー・ー
「ん゛?」
次に目を開けると、手足を縛られて狭い所に押し込められていた。
ガタガタとした振動が身体に伝わり、馬車か何かで運ばれているのを感じる。
ゆっ誘拐!!
「う゛う゛う゛……………。」
猿轡をされていて助けを呼べない。
だ、誰がこんなことを?
………。
状況から考えてハリス殿下が拐った??そろそろ、国に帰る予定になっていたはずだ。
私を連れて帰る気??
た、大変……物音を……。
こんなに強硬な手段を選ぶ人を信用なんて出来ない。
どうしよう……怖い……
レオンハルト様……
何とかしようと……必死に身体を動かすけれど、布団の上からロープで縛られているらしく、自分では身動きとれない。
「ミュウ殿、起きたか?すまんな。一緒に我が国へ行こう。」
物音に気がついた殿下が私を上から覗き込む。
どうやら、荷台で運ばれているらしい。
「や、やめ…んぐっ……」
殿下は私の猿轡を外すと何かの錠剤を口の中に押し込んだ。
「毒ではない。安心して欲しい。」
安心できないっ!
そんなの飲みたくないっ!
殿下がグラスを取るため目を離した一瞬の隙をついて、舌の裏に隠していた錠剤を吐き出した。幸い錠剤は口元にあった猿轡の布にへばり着いた。
「水を飲むんだ。」
ごくり。
グラスの水を飲んだ後、ハリス殿下は私の口を開けさせ、口腔内を確認して満足そうに頷く。
「もうすぐ国境だ。検問所を通るから暫く眠っててくれ。」
検問所で騒げば助かるかも……。
私は薬が効いて眠った振りをした。
そして、縛られた手をずりずりと動かして気付かれないようにロープを緩めることに専念した。
私は護衛の兵士と侍女と行動を共にしていた。
マナーやダンスの練習はそれぞれ部屋が違って広い王宮内を移動するのは、大変。
私はその日もはしたなく見えないギリギリの速さで王宮の廊下を歩いていた。
「あっ!ハリス殿下。」
あまり会いたくない人だが、王宮の客人だ。ハリス殿下が近づいて来たので頭を下げた。
すると、ハリス殿下が侍女と護衛に向かって話し掛けてきた。
「私の使っている客室から宝石類が盗まれた。あれは国宝級のお宝だ。早くさがしてくれ!」
「え?宝石ですか?直ぐに人を集めて調べます。」
護衛がハリス殿下に命じられ、私を気にしつつもその場を離れた。
「部屋を掃除する係のヤツが盗んだのかもしれん。直ぐに侍女長に伝えてくれ!」
ハリス殿下は今度は私の後ろに控えていた侍女に対して命令口調で話しかけた。
「で、でも……。」
「急いでくれっ!!両国の関係にヒビが入っても良いのかっ!!」
「は、はいっ!!畏まりました。」
ハリス殿下に怒鳴られた若い侍女は急いでバタバタと廊下を走っていった。
侍女と護衛が居なくなった廊下はがらんとしていて、ハリス殿下と私だけが残っていた。
不味い……
私はハリス殿下から距離を取ろうとしたところで腕を掴まれた。
「な、何をっ!」
ザッザッと背後から音がしたかと思うと布で口と鼻を覆われた。
っ!!
薬品っぽい刺激臭を感じた途端に意識が遠のく。
ヤバい!
そう思ったときには既に意識は混濁し身体に力は入らなくなっていた。
ー・ー・ー・ー・ー
「ん゛?」
次に目を開けると、手足を縛られて狭い所に押し込められていた。
ガタガタとした振動が身体に伝わり、馬車か何かで運ばれているのを感じる。
ゆっ誘拐!!
「う゛う゛う゛……………。」
猿轡をされていて助けを呼べない。
だ、誰がこんなことを?
………。
状況から考えてハリス殿下が拐った??そろそろ、国に帰る予定になっていたはずだ。
私を連れて帰る気??
た、大変……物音を……。
こんなに強硬な手段を選ぶ人を信用なんて出来ない。
どうしよう……怖い……
レオンハルト様……
何とかしようと……必死に身体を動かすけれど、布団の上からロープで縛られているらしく、自分では身動きとれない。
「ミュウ殿、起きたか?すまんな。一緒に我が国へ行こう。」
物音に気がついた殿下が私を上から覗き込む。
どうやら、荷台で運ばれているらしい。
「や、やめ…んぐっ……」
殿下は私の猿轡を外すと何かの錠剤を口の中に押し込んだ。
「毒ではない。安心して欲しい。」
安心できないっ!
そんなの飲みたくないっ!
殿下がグラスを取るため目を離した一瞬の隙をついて、舌の裏に隠していた錠剤を吐き出した。幸い錠剤は口元にあった猿轡の布にへばり着いた。
「水を飲むんだ。」
ごくり。
グラスの水を飲んだ後、ハリス殿下は私の口を開けさせ、口腔内を確認して満足そうに頷く。
「もうすぐ国境だ。検問所を通るから暫く眠っててくれ。」
検問所で騒げば助かるかも……。
私は薬が効いて眠った振りをした。
そして、縛られた手をずりずりと動かして気付かれないようにロープを緩めることに専念した。
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