病弱な幼馴染と婚約者の目の前で私は攫われました。

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1.私の婚約者

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 今日は社交のシーズンの始まりを告げる王宮舞踏会。

 私は今日のために新しく仕立てたドレスに袖を通した。何となくキリアンの色である水色は選べなくて、ドレスはスミレ色にしてもらった。

 もしかして、セレニティーが水色を選ぶかも……、そう思った。

 婚約者のキリアンからはエスコート出来ないと連絡があり、代わりにお兄様がエスコートしてくれていた。

 私のファーストダンスもお兄様。もう慣れたものだ。

 私の婚約者であるキリアンはセレニティーとダンスを踊っていた。ダンスフロアで、人々の注目を浴びながら踊る美男美女。お互い、熱の籠った目で見つめ合い、二人だけの世界に入り込む。まるで世界には自分たちしか存在しないみたいに。

 私にキリアンを咎めるつもりは無い。キリアンは本当はセレニティーが好きなのだ。勿論セレニティーも……。

 婚約者を放っておいて他の令嬢をエスコートするなんて、悪い噂が立ちそうだけどそんなことは無かった。寧ろ私が悪役みたい。セレニティーとキリアンは悲劇の恋人同士として、他の令嬢たちの憧れだった。

 セレニティーは身体が弱くてキリアンと婚約出来なかったのだ。だから婚約者には健康な私が選ばれた。

お父様からは
「婚約者はお前だ。いずれは結婚するのだから、ローレラ伯爵家の名を貶めるような振る舞いはするな。くれぐれも嫉妬などしないように。」
と言われていたし、お母様からは
「少し遊んできた殿方の方が余裕があって良いものよ。」
と慰められた。

お兄様は
「結婚したら侯爵にバーネラ港の使用料を安くするようにお願いしてくれ。」と言うだけで、私の事には興味が無いみたい。

 貴族同士の結婚なんて、そんなものかもしれない。
 理解はしている。耐えられないことでも無い。

 なのに、夜会へ来て想い合う恋人同士を見るたび、そこはかとない悲しい気持ちに襲われる。

 私はずっとセレニティーの次のなのだと……。
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