魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫

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幼少期

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「お仕事中でしたか?すみません、また出直しますね」
どうせ引き止められるので心にもないことを言う。

「いいや、大丈夫だ。婚約申し込みの返事をしていただけだからな」

ほらな、釣書だ。
きっと、世のご令嬢は、兄の顔面の良さと人柄の良さに熱を上げているのだろう。
髪色や瞳はコスプレイヤーですか?といいたくなる見た目をしているがリュカは俺から見てもイケメンである。
13歳でこれでは将来が怖いな。
外国人が同い年なのにめっちゃ年上に見える現象がここでも起きている。
俺もリュカの弟なのになぜこの遺伝子は受け継がれなかったのか。前世の俺の遺伝子が入った説があるな。

前世の俺は普通だったからな?!多分…。

リュカは父親譲りの新緑色の髪をしている。
肩まで伸びた髪をハーフアップにしており、中世的な見た目だがとてもよく似合っている。
男で似合うのってなかなかないぞ。
やはり神に贔屓されてるな。

現在の俺はというと、うっすら色がついてるか…な、くらいの薄さだ。もう白に近いんじゃないかな。
アルビノみたいで綺麗だろ。この世界の人には理解されないけどな。

ちなみに俺の髪は、首元くらいでちょっと長い。リュカよりは短いけど。
俺には使用人がいないので髪も切ってもらえないのだ。
女顔なので、髪が長いとさらに女っぽくなる。
さすがにそろそろ切らないとなとは思っているのだが、いかんせん自分で自分の髪を切るというのは難しい。
一度、切るのを失敗してから切るのが怖いんだ。


ついでにロット君は、俺の周りにはいない、グレー色の髪と瞳を持つクール系イケメンだ。
ロット君のくせに!

どうして俺の周りにはイケメンしかいないんだろう。
乙女ゲーでもあるまいし。



ソファに座るよう促され、書類捌きを待つことにする。

手持ち無沙汰なので、適当に話題を振ってみる。
「兄上はまだ、婚約者はいらっしゃらないのですか?」

「そうだね、まだいないかな」

「普通は、13歳の頃にはいるものですか?」

「うーん、まあ人にもよるけど。父上は魔法大臣だからね、慎重に選んでいるんだろう」

なるほど、貴族というと小さい頃から親同士で決められるとかが、多いイメージだが親の職業にもよるのか。
リュカは次期伯爵だもんな、慎重になるのもうなずける。

ひとりふむふむうなずいていると、ロット君が横に立っていた。

スッと、ロット君がお茶を差し出してくる。
珍しく気が利くじゃないか、と受け取るとにっこりと笑うロット君。
怪しすぎる。
なんか入ってないだろうな、と警戒しつつリュゼの手前素直にお茶を飲む。

うん、俺の嫌いなローズティー。香りから察していたが、やはりこの男陰湿野郎である。
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