魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫

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幼少期

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「な、なぜ、お前がリュカと…」
動揺したように口をもごもごと動かし、俺を指さしてくる。

人を指さすんじゃないよ。子供でもやらないぞ。

俺も一応あんたの息子なんだけどなぁ。
なんで俺だけ「お前」呼びなのかなぁ。

どうでもいいけど。

「あの、父上。お仕事中に来て申し訳ありません。また日を改め…」
リュカ君、何を言い出すんだい?
「お久しぶりです、伯爵様。聞きたいことがありまして」
「シルヴァ?今日はやめよう」
なんだよ?ここまで来たのに。
まあ、別にリュカに来てもらったのはすんなり部屋に入るためなので、帰ってもらっても構わないのだが。

「リュカ、早く追い出せ!」
追い出せと来たか。でも、俺は引くつもりはない。

「どうやってですか?」
「何だと?」

魔法を使う?腕をつかんで追い出す?僕に触れて?

「なっ、お前…何が言いたい」
色白の顔が今は少し赤くなっている。
「僕は魔力を吸う?そうでしょう?」

「っ!!」
図星か。
やっぱり、俺は魔力を吸うんだな。だから、誰も俺には触れない。


だけど、はっきり伯爵の口から聞きたいな。
…ああ、そうだ。
「僕を追い出したいならどうぞご自由に」
ゆっくりとリュカの方に向き、手を伸ばす…本当は頬に手を伸ばしたのだが、背が足りなかったため首元になってしまった。

足がプルプルしているのは気のせいだ。

リュカよ、そんな驚いた顔をするんじゃないよ。
俺が本気で触ろうとしてるみたいだろ?


「息子に触るなっ!!」
伯爵の大声にピタリと手を止める。
伯爵の取り乱すさまを見て思わず笑いそうになった。

息子なぁ。俺もあんたの息子だろ?

結局、俺は初めからこの家族の一員じゃなかった。
息子とさえ思われていないんだからな。

口元に笑みを残したまま、手をひらひらと振った。
敵意はないと見せるように。


本題はこっちである。
「これについて聞きたいんです」

そう言って、袖をまくり魔道具を伯爵の目の前に突きつける。

「これは魔力封じ…らしいですね」

「…」

「しかも、奴隷にはめているものだとか。そんなものをなぜ僕につけるのか…知りたくて」

「それは…お前が魔力がないから…これ以上魔力を使ったら命にかかわるだろう?」

そんなっじゃあ、俺のために?!
なんて思うほど純粋無垢じゃねえんだよ俺は。


「確かに、僕は魔力が少ないです。だから魔法も使えない。…おかしいな。僕魔力が減らないはずなんだよな…」
後半は独り言みたく言ってるから、不敬にはならないだろ。

そんなこと気にしてる余裕もなさそうだが…

「だからっ!これ以上減らないようにだな…」

「魔力って自然回復するものなんですよね?食事からでも回復するそうじゃないですか」

それを聞いた途端、伯爵の目はスッと細まりリュカに向いた。
おいおい、リュカに怒るつもりか?
余計なことをって?


…違うな。
見ているのはその後ろにいるロット君だ。
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