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第39話 お茶会①
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「お茶会でございますか?」
「ええ、私も詳しくはよくわからないんだけど。とりあえず皇后様のいらっしゃるお部屋に行ってみたら?」
朱美に言われた通り、姜皇后が過ごしている私室に繋がる扉の前まで移動した所、そこには護衛の兵士達だけでなく宮女が2人立っていた。
「美雪さんでしょうか? 皇后様がお待ちでございます。どうぞこちらへ」
「はい、失礼いたします」
扉が開かれるのと、宮女が美雪さんが参られました! と報告するのがほぼ同時だった。姜皇后は部屋の真ん中で朱塗りの椅子に腰かけている。
彼女の左隣には椅子と同じ色合いと装飾が施された小さな円卓が配置されていた。その円卓の上には白い茶器が2つ分用意しているのが確認できる。
「美雪、忙しい所に呼んじゃってごめんなさいね?」
「いえ、皇后様、お気遣いいただきありがとうございます」
「さあ、どうぞ座って」
宮女がひとり、姜皇后の後ろから彼女が座っているものと同じ椅子を美雪の前へと静かに置いた。宮女が姿を消してから緊張の走る身体で腰掛ける。椅子の座り心地は詰所などで使うものよりも良く、高級品なのが伺えた。
「人払いを。これからここで話される内容は、他言無用でお願いね?」
宮女達が全員いなくなり、私室内にいるのは姜皇后と美雪のふたりだけ。いつもとは全く違う異様な雰囲気に、緊張はさらに高まっていく。
(どうしてふたりだけの場に? お茶会なら宮女さん達がいてもいいのでは……?)
「あの、皇后様はどうして……」
「この場に呼んだのか。そして人払いをしたのか……と聞きたいのね?」
見事に言い当てられてしまった。動揺のあまりえ、あ……と言葉にならない声しか、ひゅっとしまった喉から出てこない。
「大丈夫よ美雪。決してあなたに怒る為に呼んだわけじゃないから。私、そもそも怒ったりするのは向いていないし……」
(皇后様のお顔は穏やかなのに、この緊張感……なんだろう、嫌な予感と似た何かがして、怖い……)
「だから安心して、ね?」
そうは言われても極限まで上り詰めた緊張感が邪魔をする。両手の拳を握りしめ、高鳴る鼓動を隠し切れないまま、はい……。と弱弱しい返事をするしかできない。
「それで、皇后様は一体何をお話に……?」
「端的に言うとああ、ここはもう隠し切れない所まで来ているから、例えるならネタ晴らしした方がいいなと判断したのよ」
姜皇后が何を言っているのか理解が全くできない。首を傾げていた時、硬く閉ざされていたはずの扉が開かれ、かつかつと聞きなじみある靴音がこだました。
「朝日、来てくれたわね」
「遅くなり申し訳ございません」
「え? ふたりだけではないのですか?」
朝日の登場に対して更に混乱が深まるばかりだ。彼は美雪の右側に立つと、かがむようにして顔を覗き込んでくる。
「朝日さん……? えっと、なぜ? 私の事が、心配だから、とか……?」
「もちろんそれもある。が、一番話を進めるべきなのは俺だと思ったから」
彼の顔はいつになく険しい。それにどこか悲しいような寂しいような、物憂げな空気も抱えている。
「あの、これから一体何が……」
「皇后様、お話してもよろしいでしょうか?」
「ええ、朝日から話すのであれば、私は黙って見ているわ」
「美雪、よく聞いてほしい。本当は俺としてはこのまま何も知らずにいてほしかったんだ」
「ええ、私も詳しくはよくわからないんだけど。とりあえず皇后様のいらっしゃるお部屋に行ってみたら?」
朱美に言われた通り、姜皇后が過ごしている私室に繋がる扉の前まで移動した所、そこには護衛の兵士達だけでなく宮女が2人立っていた。
「美雪さんでしょうか? 皇后様がお待ちでございます。どうぞこちらへ」
「はい、失礼いたします」
扉が開かれるのと、宮女が美雪さんが参られました! と報告するのがほぼ同時だった。姜皇后は部屋の真ん中で朱塗りの椅子に腰かけている。
彼女の左隣には椅子と同じ色合いと装飾が施された小さな円卓が配置されていた。その円卓の上には白い茶器が2つ分用意しているのが確認できる。
「美雪、忙しい所に呼んじゃってごめんなさいね?」
「いえ、皇后様、お気遣いいただきありがとうございます」
「さあ、どうぞ座って」
宮女がひとり、姜皇后の後ろから彼女が座っているものと同じ椅子を美雪の前へと静かに置いた。宮女が姿を消してから緊張の走る身体で腰掛ける。椅子の座り心地は詰所などで使うものよりも良く、高級品なのが伺えた。
「人払いを。これからここで話される内容は、他言無用でお願いね?」
宮女達が全員いなくなり、私室内にいるのは姜皇后と美雪のふたりだけ。いつもとは全く違う異様な雰囲気に、緊張はさらに高まっていく。
(どうしてふたりだけの場に? お茶会なら宮女さん達がいてもいいのでは……?)
「あの、皇后様はどうして……」
「この場に呼んだのか。そして人払いをしたのか……と聞きたいのね?」
見事に言い当てられてしまった。動揺のあまりえ、あ……と言葉にならない声しか、ひゅっとしまった喉から出てこない。
「大丈夫よ美雪。決してあなたに怒る為に呼んだわけじゃないから。私、そもそも怒ったりするのは向いていないし……」
(皇后様のお顔は穏やかなのに、この緊張感……なんだろう、嫌な予感と似た何かがして、怖い……)
「だから安心して、ね?」
そうは言われても極限まで上り詰めた緊張感が邪魔をする。両手の拳を握りしめ、高鳴る鼓動を隠し切れないまま、はい……。と弱弱しい返事をするしかできない。
「それで、皇后様は一体何をお話に……?」
「端的に言うとああ、ここはもう隠し切れない所まで来ているから、例えるならネタ晴らしした方がいいなと判断したのよ」
姜皇后が何を言っているのか理解が全くできない。首を傾げていた時、硬く閉ざされていたはずの扉が開かれ、かつかつと聞きなじみある靴音がこだました。
「朝日、来てくれたわね」
「遅くなり申し訳ございません」
「え? ふたりだけではないのですか?」
朝日の登場に対して更に混乱が深まるばかりだ。彼は美雪の右側に立つと、かがむようにして顔を覗き込んでくる。
「朝日さん……? えっと、なぜ? 私の事が、心配だから、とか……?」
「もちろんそれもある。が、一番話を進めるべきなのは俺だと思ったから」
彼の顔はいつになく険しい。それにどこか悲しいような寂しいような、物憂げな空気も抱えている。
「あの、これから一体何が……」
「皇后様、お話してもよろしいでしょうか?」
「ええ、朝日から話すのであれば、私は黙って見ているわ」
「美雪、よく聞いてほしい。本当は俺としてはこのまま何も知らずにいてほしかったんだ」
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