6 / 8
第6話 譲ってほしい、ですって?
しおりを挟む
それからユミアはずっとバトラーにべったりとくっつき片時も離れようとはしなかった。しかもその日で終わりかと思いきや次の日以降も続いた。
そのせいで私はバトラーといるのは気まずいので1人で過ごすか2人のいない場所でコーディ様と過ごすかの2択だった。その様子を遠くからクラスメイトの令嬢どもがひそひそと陰口を叩くのがこれまた辛かった。
「ねえ、しばらくしたら婚約破棄されるんじゃない?」
「そうかもね。バトラー様はユミア様にお熱だもの」
「イヴかわいそう。コーディ様に色目使っても無駄なのに」
ある日。テスト期間が終わり夜会がこれから行われる。
(両親からは結婚の日取りについての説明があると聞いているけど……)
しかし、いつものようにバトラーはユミアを引き連れて帰ろうとしていた。私はもう2人に絡む元気も無かったので2人が教室を出るよりも早くに教室を出て正門に向かう。
「イヴ!」
「コーディ様……」
コーディ様が私を追いかけて来てくれたようだ。
「うちでパーティーの準備する? ドレス用意するよ」
「でも……」
「バトラーとの結婚式の日取りの発表をするんだね。聞いているよ」
「……はい。コーディ様には気に掛けてくれて感謝しています。しかし……」
「あら、イヴ様とコーディ様ぁ!」
コーディ様と話をしている場面にユミアとバトラーが現れた。ユミアはにやにやと口角を釣り上げて悪辣に笑う。
「随分とコーディ様と仲良しなのね、イヴ様。最近コーディ様と仲が良いとか」
「ああ、クラスメイトは放ってはおけないよ。イヴもバトラーもね」
「コーディ様はお優しいのですわね……ねえ、イヴ様。私にバトラー様を譲って頂け無いかしらぁ?」
「え?」
ユミアが言っている事は私とバトラーの婚約を解消しろという事だ。私とバトラー、互いの両親も絡む事だ。そんな簡単には出来ない。
「ユミア。それは横暴過ぎるよ。婚約破棄しろと言っているようなものだ。立場を考えても発言撤回した方が良い」
「コーディ様……あなたはイヴ様をかばっているのですぅ?」
「貴族として当然の振る舞いをしているだけだ」
コーディ様の目つきと声色が厳しく低いものに変わる。ユミアも察したのか口を一旦閉ざした。
「撤回しますわ。行きましょ、バトラー様」
「ああ、ユミア」
「バトラー。君は情けないな。婚約者はユミアではなくイヴだろう?」
「……っ!」
バトラーは無言で私に近寄り、右手を乱暴に取り馬車へと誘導したのだった。
「バトラー様」
「なんだ? イヴ」
「私よりユミア様の方がよろしいのですか?」
「……」
返事は無かった。
そのせいで私はバトラーといるのは気まずいので1人で過ごすか2人のいない場所でコーディ様と過ごすかの2択だった。その様子を遠くからクラスメイトの令嬢どもがひそひそと陰口を叩くのがこれまた辛かった。
「ねえ、しばらくしたら婚約破棄されるんじゃない?」
「そうかもね。バトラー様はユミア様にお熱だもの」
「イヴかわいそう。コーディ様に色目使っても無駄なのに」
ある日。テスト期間が終わり夜会がこれから行われる。
(両親からは結婚の日取りについての説明があると聞いているけど……)
しかし、いつものようにバトラーはユミアを引き連れて帰ろうとしていた。私はもう2人に絡む元気も無かったので2人が教室を出るよりも早くに教室を出て正門に向かう。
「イヴ!」
「コーディ様……」
コーディ様が私を追いかけて来てくれたようだ。
「うちでパーティーの準備する? ドレス用意するよ」
「でも……」
「バトラーとの結婚式の日取りの発表をするんだね。聞いているよ」
「……はい。コーディ様には気に掛けてくれて感謝しています。しかし……」
「あら、イヴ様とコーディ様ぁ!」
コーディ様と話をしている場面にユミアとバトラーが現れた。ユミアはにやにやと口角を釣り上げて悪辣に笑う。
「随分とコーディ様と仲良しなのね、イヴ様。最近コーディ様と仲が良いとか」
「ああ、クラスメイトは放ってはおけないよ。イヴもバトラーもね」
「コーディ様はお優しいのですわね……ねえ、イヴ様。私にバトラー様を譲って頂け無いかしらぁ?」
「え?」
ユミアが言っている事は私とバトラーの婚約を解消しろという事だ。私とバトラー、互いの両親も絡む事だ。そんな簡単には出来ない。
「ユミア。それは横暴過ぎるよ。婚約破棄しろと言っているようなものだ。立場を考えても発言撤回した方が良い」
「コーディ様……あなたはイヴ様をかばっているのですぅ?」
「貴族として当然の振る舞いをしているだけだ」
コーディ様の目つきと声色が厳しく低いものに変わる。ユミアも察したのか口を一旦閉ざした。
「撤回しますわ。行きましょ、バトラー様」
「ああ、ユミア」
「バトラー。君は情けないな。婚約者はユミアではなくイヴだろう?」
「……っ!」
バトラーは無言で私に近寄り、右手を乱暴に取り馬車へと誘導したのだった。
「バトラー様」
「なんだ? イヴ」
「私よりユミア様の方がよろしいのですか?」
「……」
返事は無かった。
326
あなたにおすすめの小説
別に要りませんけど?
ユウキ
恋愛
「お前を愛することは無い!」
そう言ったのは、今日結婚して私の夫となったネイサンだ。夫婦の寝室、これから初夜をという時に投げつけられた言葉に、私は素直に返事をした。
「……別に要りませんけど?」
※Rに触れる様な部分は有りませんが、情事を指す言葉が出ますので念のため。
※なろうでも掲載中
そういう時代でございますから
Ruhuna
恋愛
私の婚約者が言ったのです
「これは真実の愛だ」ーーと。
そうでございますか。と返答した私は周りの皆さんに相談したのです。
その結果が、こうなってしまったのは、そうですね。
そういう時代でございますからーー
*誤字脱字すみません
*ゆるふわ設定です
*辻褄合わない部分があるかもしれませんが暇つぶし程度で見ていただけると嬉しいです
無実ですが、喜んで国を去ります!
霜月満月
恋愛
お姉様曰く、ここは乙女ゲームの世界だそうだ。
そして私は悪役令嬢。
よし。ちょうど私の婚約者の第二王子殿下は私もお姉様も好きじゃない。濡れ衣を着せられるのが分かっているならやりようはある。
━━これは前世から家族である、転生一家の国外逃亡までの一部始終です。
全てがどうでもよくなった私は理想郷へ旅立つ
霜月満月
恋愛
「ああ、やっぱりあなたはまたそうして私を責めるのね‥‥」
ジュリア・タリアヴィーニは公爵令嬢。そして、婚約者は自国の王太子。
でも私が殿下と結婚することはない。だってあなたは他の人を選んだのだもの。『前』と変わらず━━
これはとある能力を持つ一族に産まれた令嬢と自身に掛けられた封印に縛られる王太子の遠回りな物語。
※なろう様で投稿済みの作品です。
※画像はジュリアの婚約披露の時のイメージです。
不実なあなたに感謝を
黒木メイ
恋愛
王太子妃であるベアトリーチェと踊るのは最初のダンスのみ。落ち人のアンナとは望まれるまま何度も踊るのに。王太子であるマルコが誰に好意を寄せているかははたから見れば一目瞭然だ。けれど、マルコが心から愛しているのはベアトリーチェだけだった。そのことに気づいていながらも受け入れられないベアトリーチェ。そんな時、マルコとアンナがとうとう一線を越えたことを知る。――――不実なあなたを恨んだ回数は数知れず。けれど、今では感謝すらしている。愚かなあなたのおかげで『幸せ』を取り戻すことができたのだから。
※異世界転移をしている登場人物がいますが主人公ではないためタグを外しています。
※曖昧設定。
※一旦完結。
※性描写は匂わせ程度。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載予定。
大公殿下と結婚したら実は姉が私を呪っていたらしい
Ruhuna
恋愛
容姿端麗、才色兼備の姉が実は私を呪っていたらしい
そんなこととは知らずに大公殿下に愛される日々を穏やかに過ごす
3/22 完結予定
3/18 ランキング1位 ありがとうございます
皇太女の暇つぶし
Ruhuna
恋愛
ウスタリ王国の学園に留学しているルミリア・ターセンは1年間の留学が終わる卒園パーティーの場で見に覚えのない罪でウスタリ王国第2王子のマルク・ウスタリに婚約破棄を言いつけられた。
「貴方とは婚約した覚えはありませんが?」
*よくある婚約破棄ものです
*初投稿なので寛容な気持ちで見ていただけると嬉しいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる