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第9話 契約関係
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「これが、あやかしを浄化し祓う力……」
桃玉が壺から手を抜くと、手のひらをじっと見つめる。龍環はもう壺の中のあやかしはすべて浄化されたと桃玉に教えると、桃玉はよかったです。と安堵した表情をうかべた。
「そうだよ、桃玉。その様子だと多分手ごたえを感じたようだね」
「はい。なんとなくコツを掴めたような気がします。しかしながら……どうして龍環様は、私にこのような力があるとわかったのですか?」
桃玉からの問いに龍環はよく聞いてくれた。と答える。
「実は占いをした所、君の姿が浮かんだんだ」
「龍環様が占いをなされたのですか?」
「そうだ。こう見えて占いは得意でね。卜占とか易とか色々と」
占いが得意だと語る龍環は、まるで自慢をするかのような表情を浮かべる。
(占いには自信があるみたいね)
「それで、君の名前が出たわけさ。李桃玉」
「そうだったのですか……すごい、占いの力って」
「そうだろう? 俺は幼い頃からあやかしと接してきたせいか占いやおまじないの類が好きでね」
くすっと笑いながら語る龍環に、桃玉はかわいいな……。と心の中でつぶやく。
「で、だ。俺はこれから君と共に後宮内にはびこる悪しきあやかしを一掃したいと考えている」
「あやかし……後宮内にはそんなにいるのですか?」
「ああ。ここは魑魅魍魎が跋扈する後宮。俺からの寵愛を得ようと日々努力し誰かを陥れたりする女達の裏側では人心をもてあそび、恐怖に陥れるあやかしどもがいる」
「そ、そんなに……」
「俺にはあやかしを視る目はあっても、祓う力はない。だが、君には祓う力がある。足りない部分を補える構図だという訳だ。だから君を後宮に迎えた」
「なるほど」
自身を後宮に迎えた理由を知った桃玉はうんうん。と首を小さく縦に降った。
「これから君は、表向きは後宮の妃・李昭容として活動し、裏ではあやかし祓いに協力してもらう。この契約に同意してくれるね?」
「契約を交わす形なんですね?」
「ああ。ここに署名をよろしく頼む」
龍環が懐から小さく折り畳まれた紙を取り出し、広げると桃玉の目の前に突き出した。
「桃玉は文字書ける?」
「はい」
「では、どうぞ」
龍環が筆と墨と硯一式を桃玉に用意した。桃玉は契約書に書かれた内容に目を通してからさらさらと自身の名前を書く。
(内容は……龍環様がさっき言った事と同じね)
「出来ました」
「ありがとう。では受け取ろう」
桃玉の名前が記された契約書を龍環は優しく受け取った。
「では、よろしく頼むよ。桃玉。あと、この事は内密にな」
「よろしくお願いします。龍環様」
2人は硬い握手を交わしたのだった。
「そういえば私はなぜ昭容に?」
桃玉からの質問に龍環はよく気がついた。と反応を示す。
「昭容が1番都合が良いからだよ。下女に女官に二十七世婦となると位が低いから妃達の目に悪い意味で留まりやすい。しかし四夫人はすでに満席。となると真ん中の九嬪が1番良さそうだろう? それに昭容は空位だったからね」
「な、なるほど……!」
実際、後宮内では、皇帝からの寵愛を受けている対象の位が低ければ低いほどいじめが起こりやすい。
「だが、気をつけてほしい。ここは何が起こるかはわからないからね」
「は、はい」
(だよね、後宮だもんね)
「じゃあ、そういう事で。続きは夜に話そう。夜伽の場なら人払いが出来るから」
「わ、わかりました。えっ、よ、夜伽!?」
桃玉は処女である。そういった行為の経験は勿論ない。
「そういうのはしないよ。作戦会議だ」
「あ……良かった……」
「……なに? してほしかった?」
いたずらっぽくにやりと笑う龍環。桃玉は顔を赤らめながら違います! と否定するのがやっとだった。
ひとしきり話を終えた龍環は、執務に戻ると言って照天宮から去っていく。龍環と入れ替わるように、桃玉付きの女官達が照天宮に入ってきた。
「桃玉様。わからない事がございましたらいつでもお申し付けくださいね」
女官の1人からの声かけに、桃玉はわかりました……! と返事した。
「桃玉様。お腹は空いてませんか?」
「あ……お昼まだ食べてないや……」
「お食事お持ちいたします」
女官のうち3人くらいが一旦桃玉のいる部屋から離れていった。しばらくすると彼女達はお膳を持って桃玉のいる部屋へと戻って来る。
「お待たせいたしました」
桃玉はそのお膳の上に盛られた食事の量を見るや否や、えっ?! と驚きの声を発する。
「そんなに量あるの?!」
「ええ、そうでございます。妃達は位が高ければ高くなる程、お召し上がりになるお食事の質も量も豪華になっていきます。桃玉様は昭容の位にでございますのでこれくらいにはなりますね……」
(ええ……! た、食べきれるかなあ……)
お膳に並べられた料理はエビの唐揚げに鳥肉と卵のスープ、葉野菜の黒コショウ炒めなどと様々なおかずが美しいお皿に盛られて並べられている。もちろん主食であるごはんもあった。ごはんの粒はどれを取って見ても真っ白く輝いている。
(いやでも美味しそうだなあ……ほんと、贅沢って感じで……! あ、でも……毒とか入ってないよね?)
「あの、これって毒見してます?」
桃玉はおそるおそる、左隣にいた中年くらいの女官に尋ねたのだった。
桃玉が壺から手を抜くと、手のひらをじっと見つめる。龍環はもう壺の中のあやかしはすべて浄化されたと桃玉に教えると、桃玉はよかったです。と安堵した表情をうかべた。
「そうだよ、桃玉。その様子だと多分手ごたえを感じたようだね」
「はい。なんとなくコツを掴めたような気がします。しかしながら……どうして龍環様は、私にこのような力があるとわかったのですか?」
桃玉からの問いに龍環はよく聞いてくれた。と答える。
「実は占いをした所、君の姿が浮かんだんだ」
「龍環様が占いをなされたのですか?」
「そうだ。こう見えて占いは得意でね。卜占とか易とか色々と」
占いが得意だと語る龍環は、まるで自慢をするかのような表情を浮かべる。
(占いには自信があるみたいね)
「それで、君の名前が出たわけさ。李桃玉」
「そうだったのですか……すごい、占いの力って」
「そうだろう? 俺は幼い頃からあやかしと接してきたせいか占いやおまじないの類が好きでね」
くすっと笑いながら語る龍環に、桃玉はかわいいな……。と心の中でつぶやく。
「で、だ。俺はこれから君と共に後宮内にはびこる悪しきあやかしを一掃したいと考えている」
「あやかし……後宮内にはそんなにいるのですか?」
「ああ。ここは魑魅魍魎が跋扈する後宮。俺からの寵愛を得ようと日々努力し誰かを陥れたりする女達の裏側では人心をもてあそび、恐怖に陥れるあやかしどもがいる」
「そ、そんなに……」
「俺にはあやかしを視る目はあっても、祓う力はない。だが、君には祓う力がある。足りない部分を補える構図だという訳だ。だから君を後宮に迎えた」
「なるほど」
自身を後宮に迎えた理由を知った桃玉はうんうん。と首を小さく縦に降った。
「これから君は、表向きは後宮の妃・李昭容として活動し、裏ではあやかし祓いに協力してもらう。この契約に同意してくれるね?」
「契約を交わす形なんですね?」
「ああ。ここに署名をよろしく頼む」
龍環が懐から小さく折り畳まれた紙を取り出し、広げると桃玉の目の前に突き出した。
「桃玉は文字書ける?」
「はい」
「では、どうぞ」
龍環が筆と墨と硯一式を桃玉に用意した。桃玉は契約書に書かれた内容に目を通してからさらさらと自身の名前を書く。
(内容は……龍環様がさっき言った事と同じね)
「出来ました」
「ありがとう。では受け取ろう」
桃玉の名前が記された契約書を龍環は優しく受け取った。
「では、よろしく頼むよ。桃玉。あと、この事は内密にな」
「よろしくお願いします。龍環様」
2人は硬い握手を交わしたのだった。
「そういえば私はなぜ昭容に?」
桃玉からの質問に龍環はよく気がついた。と反応を示す。
「昭容が1番都合が良いからだよ。下女に女官に二十七世婦となると位が低いから妃達の目に悪い意味で留まりやすい。しかし四夫人はすでに満席。となると真ん中の九嬪が1番良さそうだろう? それに昭容は空位だったからね」
「な、なるほど……!」
実際、後宮内では、皇帝からの寵愛を受けている対象の位が低ければ低いほどいじめが起こりやすい。
「だが、気をつけてほしい。ここは何が起こるかはわからないからね」
「は、はい」
(だよね、後宮だもんね)
「じゃあ、そういう事で。続きは夜に話そう。夜伽の場なら人払いが出来るから」
「わ、わかりました。えっ、よ、夜伽!?」
桃玉は処女である。そういった行為の経験は勿論ない。
「そういうのはしないよ。作戦会議だ」
「あ……良かった……」
「……なに? してほしかった?」
いたずらっぽくにやりと笑う龍環。桃玉は顔を赤らめながら違います! と否定するのがやっとだった。
ひとしきり話を終えた龍環は、執務に戻ると言って照天宮から去っていく。龍環と入れ替わるように、桃玉付きの女官達が照天宮に入ってきた。
「桃玉様。わからない事がございましたらいつでもお申し付けくださいね」
女官の1人からの声かけに、桃玉はわかりました……! と返事した。
「桃玉様。お腹は空いてませんか?」
「あ……お昼まだ食べてないや……」
「お食事お持ちいたします」
女官のうち3人くらいが一旦桃玉のいる部屋から離れていった。しばらくすると彼女達はお膳を持って桃玉のいる部屋へと戻って来る。
「お待たせいたしました」
桃玉はそのお膳の上に盛られた食事の量を見るや否や、えっ?! と驚きの声を発する。
「そんなに量あるの?!」
「ええ、そうでございます。妃達は位が高ければ高くなる程、お召し上がりになるお食事の質も量も豪華になっていきます。桃玉様は昭容の位にでございますのでこれくらいにはなりますね……」
(ええ……! た、食べきれるかなあ……)
お膳に並べられた料理はエビの唐揚げに鳥肉と卵のスープ、葉野菜の黒コショウ炒めなどと様々なおかずが美しいお皿に盛られて並べられている。もちろん主食であるごはんもあった。ごはんの粒はどれを取って見ても真っ白く輝いている。
(いやでも美味しそうだなあ……ほんと、贅沢って感じで……! あ、でも……毒とか入ってないよね?)
「あの、これって毒見してます?」
桃玉はおそるおそる、左隣にいた中年くらいの女官に尋ねたのだった。
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