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第24話 あやかしの仕業か、人間の仕業か
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「李昭容様。今夜の皇帝陛下の夜伽に選ばれました事をご報告しに参りました」
(夜伽……という事は作戦会議ね)
「了解いたしました」
龍環の夜伽相手に選ばれた桃玉は宦官2人を見送り、椅子に座る。
(夜伽に選ばれるのは久しぶりの気分になるなあ……)
「桃玉様。入浴の準備を進めておきますね」
女官からの言葉に桃玉はぜひお願いします。と返事をした。
(もうそんな時間か)
「桃玉様。そろそろ夕食をお召し上がりになりますか?」
「う――ん……まだお腹空いていないから、もう少し後でも構いませんか?」
「ええ、大丈夫でございますよ」
(ちょっと散歩でもしようかな……でももう外は暗くなってるし、こんな状態で外を歩くのは危ないし、照天宮の中だけにしておこう)
桃玉は女官1人を付けて部屋を出て照天宮の中を歩く。廊下では女官や下女があちこち早歩きで移動する姿がちらほら見受けられた。
「ねえ、あの女の芸人が亡くなったのって誰の仕業だと思う?」
ふと、桃玉の左前方で3人程、40代くらいのちょっと小綺麗な見た目の下女が集まって話をしているのが見えてきた。彼女達は空っぽになったお膳を持っている所から、照天宮の妃か女官の誰かが食事を終え、厨房にお膳を下げに行っている場面である事が理解できる。
「私、あやかしのせいだと思うのよ。あの龍羽池昔から人魚がいるって噂、あったのを覚えてるのよ」
「それは私知らなかったわ……あなたはそういや子供の頃から宮廷で働いているんだっけ?」
「そうよ。でも今は分からない。その噂も私が子供の時の話だったから……」
「子供の頃の噂なら、どうせ大人の作り話でしょ? 言う事を聞かせる為の脅し文句に決まってるわよ」
「え――? 私はそうは思えないけど……」
(へえ……やっぱり噂、あったんだ)
「あの、ちょっとお話お伺いしても構いませんか?」
「り、李昭容様……!」
お膳を落としそうになるくらい驚く下女をなんとか落ち着かせた桃玉は、彼女達がお膳を厨房へ返しに行った後下女達が寝泊まりする大部屋へ移動し、そこで話を聞く事にした。
大部屋は下女が寝泊まりする部屋なだけあって、簡素な部屋。しかもそんな大部屋を家具で仕切って使っているのだ。だが部屋自体は綺麗に片付けられている。
「あの、さっきのお話……詳しくお聞かせ願えませんか?」
「ほら、あんたよく知ってるんでしょ? 李昭容様に全部言っちゃいなさいって」
下女の1人が、先ほど人魚がいるといった下女に小声でささやく。ささやきを聞いた下女は、緊張の面持ちで頷いた。
「わ、分かりました……! ちょっと話は長くなりますが」
「いえ、構いません。お願いします」
下女の話をまとめる。彼女は幼い頃、寝付く事が出来なかったので大部屋から出て外を1人ほっつき歩いていた。
すると龍羽池の目の前で、50代くらいの小柄でやせ気味の宦官に見つかってしまったのである。そのまま当時の下女は、宦官に叱られて大部屋へと戻されてしまったのだった。
――あの龍羽池にはな、人間を食べる人魚がいるんだよ。1人でほっつき歩いていたら、池の中に引きずり込まれて食べられるかもしれないんだぞ?
宦官はそうこんこんと彼女に言い聞かせた。彼女がこれまで人魚に食べられた者はいるのか? と問うと宦官はこれまで妃達が何人か食べられたと答えたという。
「……というお話でございます。本当に人魚がいるのか否かはわかりません」
「お聞かせして頂き、ありがとうございました。今、この話を知っている人はどれくらいいらっしゃいますか?」
「そこまでいらっしゃらないかと存じます。先々代の皇帝陛下の時代のお話ですから……あの宦官も既に亡き人でございますし」
「そうなのですか……」
(となると、知っている人は限られてくる、か……)
「ありがとうございます。では、これにて……」
下女達の住まう大部屋から自室へと戻った桃玉は、夕食を頂く事にした。夕食は白菜と肉団子入りのスープに鳥肉の唐揚げをはじめ豪華な品が並ぶ。
(いつ食べても美味しいな……自作の料理とは全然違う)
「そういえば、妃が厨房に立って料理を作る事って……」
「まずありませんね」
(やっぱり。でも……たまには自分で作ってみたいな)
夕食を食べおえ、入浴を終えた桃玉。前回と同じように裸にされて布団にくるまった状態で皇帝の閨へ移動した。
(これ一生慣れないな……)
布団でくるまれた状態で閨の上にいる桃玉。人払いをした龍環によって布団をほどかれ、寝間着に着替えた。
「すみません、お待たせしました」
「ううん、大丈夫。……桃玉。彼女の名前は確か花だったか。彼女の死の原因は何だと思う?」
「……それについて、興味深い話を聞きました。龍羽池には人魚がいるという噂です」
「人魚?」
「はい。人間を食べる人魚がいると……」
桃玉は下女から聞いた話を龍環に全て聞かせた。話を聞き終えた龍環はあぐらをかいて腕組みをし、大きく何度も首を縦に振った。
「……やはり、あの水龍表演で見たものは、あやかしかもしれない……」
「龍環様……」
「桃玉、君はどう思う? 花を殺したのはあやかしの仕業か、はたまた人間の仕業か」
(夜伽……という事は作戦会議ね)
「了解いたしました」
龍環の夜伽相手に選ばれた桃玉は宦官2人を見送り、椅子に座る。
(夜伽に選ばれるのは久しぶりの気分になるなあ……)
「桃玉様。入浴の準備を進めておきますね」
女官からの言葉に桃玉はぜひお願いします。と返事をした。
(もうそんな時間か)
「桃玉様。そろそろ夕食をお召し上がりになりますか?」
「う――ん……まだお腹空いていないから、もう少し後でも構いませんか?」
「ええ、大丈夫でございますよ」
(ちょっと散歩でもしようかな……でももう外は暗くなってるし、こんな状態で外を歩くのは危ないし、照天宮の中だけにしておこう)
桃玉は女官1人を付けて部屋を出て照天宮の中を歩く。廊下では女官や下女があちこち早歩きで移動する姿がちらほら見受けられた。
「ねえ、あの女の芸人が亡くなったのって誰の仕業だと思う?」
ふと、桃玉の左前方で3人程、40代くらいのちょっと小綺麗な見た目の下女が集まって話をしているのが見えてきた。彼女達は空っぽになったお膳を持っている所から、照天宮の妃か女官の誰かが食事を終え、厨房にお膳を下げに行っている場面である事が理解できる。
「私、あやかしのせいだと思うのよ。あの龍羽池昔から人魚がいるって噂、あったのを覚えてるのよ」
「それは私知らなかったわ……あなたはそういや子供の頃から宮廷で働いているんだっけ?」
「そうよ。でも今は分からない。その噂も私が子供の時の話だったから……」
「子供の頃の噂なら、どうせ大人の作り話でしょ? 言う事を聞かせる為の脅し文句に決まってるわよ」
「え――? 私はそうは思えないけど……」
(へえ……やっぱり噂、あったんだ)
「あの、ちょっとお話お伺いしても構いませんか?」
「り、李昭容様……!」
お膳を落としそうになるくらい驚く下女をなんとか落ち着かせた桃玉は、彼女達がお膳を厨房へ返しに行った後下女達が寝泊まりする大部屋へ移動し、そこで話を聞く事にした。
大部屋は下女が寝泊まりする部屋なだけあって、簡素な部屋。しかもそんな大部屋を家具で仕切って使っているのだ。だが部屋自体は綺麗に片付けられている。
「あの、さっきのお話……詳しくお聞かせ願えませんか?」
「ほら、あんたよく知ってるんでしょ? 李昭容様に全部言っちゃいなさいって」
下女の1人が、先ほど人魚がいるといった下女に小声でささやく。ささやきを聞いた下女は、緊張の面持ちで頷いた。
「わ、分かりました……! ちょっと話は長くなりますが」
「いえ、構いません。お願いします」
下女の話をまとめる。彼女は幼い頃、寝付く事が出来なかったので大部屋から出て外を1人ほっつき歩いていた。
すると龍羽池の目の前で、50代くらいの小柄でやせ気味の宦官に見つかってしまったのである。そのまま当時の下女は、宦官に叱られて大部屋へと戻されてしまったのだった。
――あの龍羽池にはな、人間を食べる人魚がいるんだよ。1人でほっつき歩いていたら、池の中に引きずり込まれて食べられるかもしれないんだぞ?
宦官はそうこんこんと彼女に言い聞かせた。彼女がこれまで人魚に食べられた者はいるのか? と問うと宦官はこれまで妃達が何人か食べられたと答えたという。
「……というお話でございます。本当に人魚がいるのか否かはわかりません」
「お聞かせして頂き、ありがとうございました。今、この話を知っている人はどれくらいいらっしゃいますか?」
「そこまでいらっしゃらないかと存じます。先々代の皇帝陛下の時代のお話ですから……あの宦官も既に亡き人でございますし」
「そうなのですか……」
(となると、知っている人は限られてくる、か……)
「ありがとうございます。では、これにて……」
下女達の住まう大部屋から自室へと戻った桃玉は、夕食を頂く事にした。夕食は白菜と肉団子入りのスープに鳥肉の唐揚げをはじめ豪華な品が並ぶ。
(いつ食べても美味しいな……自作の料理とは全然違う)
「そういえば、妃が厨房に立って料理を作る事って……」
「まずありませんね」
(やっぱり。でも……たまには自分で作ってみたいな)
夕食を食べおえ、入浴を終えた桃玉。前回と同じように裸にされて布団にくるまった状態で皇帝の閨へ移動した。
(これ一生慣れないな……)
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「すみません、お待たせしました」
「ううん、大丈夫。……桃玉。彼女の名前は確か花だったか。彼女の死の原因は何だと思う?」
「……それについて、興味深い話を聞きました。龍羽池には人魚がいるという噂です」
「人魚?」
「はい。人間を食べる人魚がいると……」
桃玉は下女から聞いた話を龍環に全て聞かせた。話を聞き終えた龍環はあぐらをかいて腕組みをし、大きく何度も首を縦に振った。
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