後宮浄魔伝~視える皇帝と浄魔の妃~

二位関りをん

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第37話 佳賢妃に取り憑いたあやかし

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「これはあやかしに取り憑かれている事によって生じる文様か……あ! 架子床の枕の上に……!」
「えっ?!」

 佳賢妃の額には赤い円を上に1つ、下に2つ重ねたかのような文様が浮かび上がっていた。さらに彼女の頭の上には黒い狐のような見た目をした小さめのあやかしがいて、龍環に向けて牙を剥き威嚇をしている。

「こいつか……宦官と女官達よ、すぐにここから避難するんだ。危ないからな」
「しかしながら、皇帝陛下の身が……」
「桃玉がいるから大丈夫だ。さあ、早く!」

 部屋から宦官や佳賢妃付きの女官達が逃げていったのを確認してから龍環は未だ意識のない佳賢妃と威嚇行動を続ける黒い狐のあやかしを見る。

「黒い狐のあやかしか……桃玉、早速浄化させよう」
「なるほど。黒い狐のあやかしですか……。わかりました。やってみます!」

 右手の手のひらを黒い狐のあやかしに向けた桃玉。手のひらから放たれた青白い光の球をした浄化の光が、黒い狐のあやかしの身体に纏わりつく。

「きゅうっ!」

 身体の毛を逆立て威嚇していた黒い狐のあやかしは、そのまま天へと導かれるようにして浄化されていった。

「よし、これで完全に浄化された」
「……わりとあっけなかったですね」
「そうだな、確かにあの人魚のあやかしよりかは楽に倒せていたな」
「ん――……むにゃむにゃ……」

 黒い狐のあやかしが浄化された事により、佳賢妃の額に現れていた文様は消え、佳賢妃は意識を取り戻した。

「ふわあ……あれ、皇帝陛下と桃玉ちゃん? 2人ともなんでここに?」

 意識を失っていた事で、自身が置かれていた状況がよくわかっていない佳賢妃。龍環と桃玉は互いに目を見合わせる。

「見舞いに来たんだよ。君は意識を失っていたのだから」
「えっ、そうなの、ですか? 確かに寝すぎて身体中がちょっと痛いような……ま、いっか。もっかい寝ますかね」

 また眠りにつく佳賢妃を龍環はやれやれ……。と肩をすくめながら、桃玉に行こう。と告げた。

「商徳妃の元へと向かう前に、佳淑妃の元に佳賢妃が目覚めたと報告に行こう」
「わかりました。どのような顔をするか楽しみですね」
「あの姉の事だ。怒りと喜び両方あるに違いないな」

 くすっと笑う桃玉と龍環。彼らは同じ建物内にある佳淑妃の部屋を訪ねた。佳淑妃は椅子に座り、武術に関する本を読みながら女官達と談笑している。

「皇帝陛下……桃玉……」
「佳淑妃様。佳賢妃様がたった今お目覚めになりました。……今はまた2度寝してますけども」
「そうか……良かった……」

 安堵の表情を浮かべた佳淑妃は、そのまま椅子から立ち上がり佳賢妃の部屋へと向かって行った。

「よし、次は商徳妃の所だ」
「はいっ!」
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