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第61話 新たな生活
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女性が戻ってくるまで何とか店番を務めた桃玉。途中、お金を落としたり計算を間違えたりという事もあったが温かな常連客の支えもあったのだった。
「ありがとうね。本当に助かったよ」
「いえいえ」
「ところであなた、お偉いさん? すんごい綺麗な服着てるけど……」
「ああ、実は前まではそうだったんですけど、さっき追放されて……」
追放されたという言葉に女性はえっ? と驚きの声を挙げた。彼女が連れている8歳の娘もなんで? とぽかんと口を開けながら驚く。
ちなみに8歳の娘の容姿は女性とはあまり似てはいない。黄金色の大きな瞳に黒いぱっつんに切り揃えられた髪、色白の肌はどこか庶民らしからぬ高貴な美しさを感じさせる。
「それがよくわからないんです」
「ああ、訳ありってやつね。ちょいちょいそういう下女はいると聞いた事あるよ。てかあなたこれからどうするの?」
(そう言われてもなあ……)
当然ながら桃玉にそのような計画は無い。
(しかたない。一か八か)
「あの、ここでお世話になっても構いませんか?」
「……う――ん……」
(即答はしないよなぁ……)
腕組みをする彼女へ桃玉はお願いします! と手を合わせる。
「わかった! じゃあ、家に泊めたげるよ」
「ありがとうございます!」
「その代わり、この店を手伝ってほしい。出来るね?」
「はい! ありがとうございます!」
「決まりだね。私は美琳。あなたは?」
「桃玉です。よろしくお願いします!」
美琳と桃玉は互いに硬い握手を交わす。その握手は龍環と交わしたものとうっすら似ていた。
「で、娘の名前が玉琳だ。ほら、桃玉さんに挨拶しな」
美琳に促された玉琳は、桃玉を見上げた。その黄金色の瞳はキラキラと輝いていて純真無垢に見える。
「はじめまして。玉琳です。よろしくお願いします」
「こちらこそはじめまして。桃玉です。よろしくね」
「うん、よろしく!」
玉琳は桃玉の手を両手で握った。ぷにぷにして優しい感触は子供らしい。
「じゃあ、よろしく頼むよ、桃玉さん!」
「はい!」
こうして桃玉の新たな生活が始まる事となったのである。
桃玉達は夜まで店を営んでいた。すべての果物が売り切れたのと同時に店を閉めた後は市場の近くにあるという美琳達の住まう家へと徒歩で向かう。桃玉は道中、力分から与えられた手切れ金の入った木箱を大事そうに抱きかかえていた。
「この近くにあるんですね?」
「ああ、そうだよ。家は広いから桃玉さんが不便に感じる事は無いはずだ。だが、桃婆さんが受け入れてくれるかが問題だねぇ」
(広い家……? 美琳さん達庶民じゃないの?)
市場で商売を営む者は基本庶民階級の者である事は桃玉も当然ながら知っている。そんな庶民階級の者が広い家に住まう事はまずあり得ないと言って良いくらいだ。
「ほら! ついたぞ!」
「……え!?」
桃玉の目の前に現れたのは、楼閣を思わせる3階建ての立派なお屋敷だった。
(いや、デカいな!?)
そして屋敷からはひとりの老婆が後ろ手を組みながら現れる。白髪を1つに束ね、少し猫背気味の老婆だが肌には年齢には見合わぬほどの張りがあるのも見えた。
彼女は桃色の目をほころばせながら口を開く。
「美琳! もう飯は出来とるぞ!」
「ありがとうね。本当に助かったよ」
「いえいえ」
「ところであなた、お偉いさん? すんごい綺麗な服着てるけど……」
「ああ、実は前まではそうだったんですけど、さっき追放されて……」
追放されたという言葉に女性はえっ? と驚きの声を挙げた。彼女が連れている8歳の娘もなんで? とぽかんと口を開けながら驚く。
ちなみに8歳の娘の容姿は女性とはあまり似てはいない。黄金色の大きな瞳に黒いぱっつんに切り揃えられた髪、色白の肌はどこか庶民らしからぬ高貴な美しさを感じさせる。
「それがよくわからないんです」
「ああ、訳ありってやつね。ちょいちょいそういう下女はいると聞いた事あるよ。てかあなたこれからどうするの?」
(そう言われてもなあ……)
当然ながら桃玉にそのような計画は無い。
(しかたない。一か八か)
「あの、ここでお世話になっても構いませんか?」
「……う――ん……」
(即答はしないよなぁ……)
腕組みをする彼女へ桃玉はお願いします! と手を合わせる。
「わかった! じゃあ、家に泊めたげるよ」
「ありがとうございます!」
「その代わり、この店を手伝ってほしい。出来るね?」
「はい! ありがとうございます!」
「決まりだね。私は美琳。あなたは?」
「桃玉です。よろしくお願いします!」
美琳と桃玉は互いに硬い握手を交わす。その握手は龍環と交わしたものとうっすら似ていた。
「で、娘の名前が玉琳だ。ほら、桃玉さんに挨拶しな」
美琳に促された玉琳は、桃玉を見上げた。その黄金色の瞳はキラキラと輝いていて純真無垢に見える。
「はじめまして。玉琳です。よろしくお願いします」
「こちらこそはじめまして。桃玉です。よろしくね」
「うん、よろしく!」
玉琳は桃玉の手を両手で握った。ぷにぷにして優しい感触は子供らしい。
「じゃあ、よろしく頼むよ、桃玉さん!」
「はい!」
こうして桃玉の新たな生活が始まる事となったのである。
桃玉達は夜まで店を営んでいた。すべての果物が売り切れたのと同時に店を閉めた後は市場の近くにあるという美琳達の住まう家へと徒歩で向かう。桃玉は道中、力分から与えられた手切れ金の入った木箱を大事そうに抱きかかえていた。
「この近くにあるんですね?」
「ああ、そうだよ。家は広いから桃玉さんが不便に感じる事は無いはずだ。だが、桃婆さんが受け入れてくれるかが問題だねぇ」
(広い家……? 美琳さん達庶民じゃないの?)
市場で商売を営む者は基本庶民階級の者である事は桃玉も当然ながら知っている。そんな庶民階級の者が広い家に住まう事はまずあり得ないと言って良いくらいだ。
「ほら! ついたぞ!」
「……え!?」
桃玉の目の前に現れたのは、楼閣を思わせる3階建ての立派なお屋敷だった。
(いや、デカいな!?)
そして屋敷からはひとりの老婆が後ろ手を組みながら現れる。白髪を1つに束ね、少し猫背気味の老婆だが肌には年齢には見合わぬほどの張りがあるのも見えた。
彼女は桃色の目をほころばせながら口を開く。
「美琳! もう飯は出来とるぞ!」
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