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第19話 仕方が無いから
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「貧血? 私が?」
「さようでございます。何か思い当たる事はございませんか? あまり食事が出来ていないとか……」
「体型維持のために、食事は制限しているの」
「おそらくそれが原因でしょう」
でも食事制限しないとすぐに太ってしまう。そうなったら皇帝からの寵愛だなんて得られないじゃないと返す李賢妃だが、医者からはそれではまた貧血を起こして倒れてしまいますよ。と言われる。
「今は皇后様がお治しになったとしても……そのような食生活を続ければまた再発してしまう可能性がございます」
「で、でも……」
「李賢妃様がまた、皇后様のお世話になるのでございますよ?」
そう言われたら素直に食生活を改めるより他ない。李賢妃は女官と相談し、今日から食事制限を緩和していく事にした。
「すぐに制限なしにしたら怖いから、少しずつでもいいかしら?」
「それでよろしいかと。李賢妃様」
「わかったわ」
「貧血に効果のある漢方は飲まれますか?」
薬師からの問いに一応頓服代わりに持っておくわ。と答えた李賢妃は、漢方を受け取って白湯に溶かしながら飲む。
(うえっ……苦いわ。でも良薬口に苦し。だものね)
◇ ◇ ◇
あれから一週間後の昼前の事。治療院にいる美華の元に玉成淑妃が担架に乗せられてやってきた。担架に横たわる彼女はお腹を押さえて苦しんでいる。
「美華ちゃん助けて……! お腹が痛いの!」
「まあ……! 何か心当たりはありますか?」
「今日の朝に月のものが来て……それから痛いの」
「それは大変ですね、すぐに治しますからね」
その一部始終を、李賢妃は女官とともに遠くから見つめていた。
(玉成淑妃様にも手を差し伸べるのね……あの人は)
美華は玉のような冷や汗をかく玉成淑妃の腹部に失礼しますね。と声をかけてから手をかざす。
「……いかがですか?」
「……うん、楽になってきたよ……!」
「本当ですか?」
「うん! あ、もう痛くないよ!」
無邪気に担架から起き上がる玉成淑妃。薬師が月のものに効く漢方を渡そうとする。
「漢方? 苦いからいや!」
「ですがまた痛くなれば……」
「その時はまた美華ちゃんとこに来て治してもらうからいいもん!」
じゃあ、美華ちゃんまたね! と手を振りながら治療院を後にする玉成淑妃と李賢妃の目が合った。
「あれ? 何しに来たの? もしかして美華ちゃんとこに用事?」
「違いますわよ、玉成淑妃様」
「じゃあなに? 偵察?」
「ま、まあ……そんな所かしら……」
玉成淑妃がふぅん……。とあまり興味なさそうにしているので、李賢妃はあえて彼女に美華について尋ねてみる事にした。
「玉成淑妃様は、皇后様について如何思われておりますか?」
「そうだなぁ。優しいお姉ちゃんて感じかな!」
「ちなみに私は……どのように思われておりますか?」
「う~ん……ちょっと怖いかも……」
率直な感想に衝撃を受けた李賢妃。何も言えずにじゃあね~とどこかへと向かう玉成淑妃の背中を見つめるのだった。
(玉成淑妃様に怖いと言われるなんて……それに、やはり皇后様のなす事は間違いではないのかもしれない)
李賢妃はここで、これまでの事について振り返る事にした。
彼女は劉貴妃や玉成淑妃のようにぬくぬくと育った存在でもなければ、周徳妃のように一族の期待を受け厳しい鍛錬の元育った存在でもない。本来家柄の格的には四夫人以下の位で後宮入りしてもおかしくない存在だったのである。
「さようでございます。何か思い当たる事はございませんか? あまり食事が出来ていないとか……」
「体型維持のために、食事は制限しているの」
「おそらくそれが原因でしょう」
でも食事制限しないとすぐに太ってしまう。そうなったら皇帝からの寵愛だなんて得られないじゃないと返す李賢妃だが、医者からはそれではまた貧血を起こして倒れてしまいますよ。と言われる。
「今は皇后様がお治しになったとしても……そのような食生活を続ければまた再発してしまう可能性がございます」
「で、でも……」
「李賢妃様がまた、皇后様のお世話になるのでございますよ?」
そう言われたら素直に食生活を改めるより他ない。李賢妃は女官と相談し、今日から食事制限を緩和していく事にした。
「すぐに制限なしにしたら怖いから、少しずつでもいいかしら?」
「それでよろしいかと。李賢妃様」
「わかったわ」
「貧血に効果のある漢方は飲まれますか?」
薬師からの問いに一応頓服代わりに持っておくわ。と答えた李賢妃は、漢方を受け取って白湯に溶かしながら飲む。
(うえっ……苦いわ。でも良薬口に苦し。だものね)
◇ ◇ ◇
あれから一週間後の昼前の事。治療院にいる美華の元に玉成淑妃が担架に乗せられてやってきた。担架に横たわる彼女はお腹を押さえて苦しんでいる。
「美華ちゃん助けて……! お腹が痛いの!」
「まあ……! 何か心当たりはありますか?」
「今日の朝に月のものが来て……それから痛いの」
「それは大変ですね、すぐに治しますからね」
その一部始終を、李賢妃は女官とともに遠くから見つめていた。
(玉成淑妃様にも手を差し伸べるのね……あの人は)
美華は玉のような冷や汗をかく玉成淑妃の腹部に失礼しますね。と声をかけてから手をかざす。
「……いかがですか?」
「……うん、楽になってきたよ……!」
「本当ですか?」
「うん! あ、もう痛くないよ!」
無邪気に担架から起き上がる玉成淑妃。薬師が月のものに効く漢方を渡そうとする。
「漢方? 苦いからいや!」
「ですがまた痛くなれば……」
「その時はまた美華ちゃんとこに来て治してもらうからいいもん!」
じゃあ、美華ちゃんまたね! と手を振りながら治療院を後にする玉成淑妃と李賢妃の目が合った。
「あれ? 何しに来たの? もしかして美華ちゃんとこに用事?」
「違いますわよ、玉成淑妃様」
「じゃあなに? 偵察?」
「ま、まあ……そんな所かしら……」
玉成淑妃がふぅん……。とあまり興味なさそうにしているので、李賢妃はあえて彼女に美華について尋ねてみる事にした。
「玉成淑妃様は、皇后様について如何思われておりますか?」
「そうだなぁ。優しいお姉ちゃんて感じかな!」
「ちなみに私は……どのように思われておりますか?」
「う~ん……ちょっと怖いかも……」
率直な感想に衝撃を受けた李賢妃。何も言えずにじゃあね~とどこかへと向かう玉成淑妃の背中を見つめるのだった。
(玉成淑妃様に怖いと言われるなんて……それに、やはり皇后様のなす事は間違いではないのかもしれない)
李賢妃はここで、これまでの事について振り返る事にした。
彼女は劉貴妃や玉成淑妃のようにぬくぬくと育った存在でもなければ、周徳妃のように一族の期待を受け厳しい鍛錬の元育った存在でもない。本来家柄の格的には四夫人以下の位で後宮入りしてもおかしくない存在だったのである。
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