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第42話 必ず助けます
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「皇后様……もしや……」
美華を見る女官の顔が、引きつっていく。彼女の顔は美華には見えないがそれでも彼女の声音からああ引きつった顔をしているのね。というのが理解できた。
「手の関節が痛くてこわばっているのです……それに身体も重くて……」
(だめだ、座るだけでもしんどい。早く横にならないと)
美華は這いずるような動きで椅子から架子床まで移動すると、ごろりと大の字になった。
(……身体が重苦しくて叶わない)
「医者をお呼びします……!」
女官が部屋を飛び出した瞬間、浩明付きの宦官が鼻から下を布で覆った状態で現れた。
「皇后様! 陛下が大変なんです!」
「えっ……?」
「陛下が死にそうなんです!」
宦官の目にはすでに涙が堰を切りそうになっていた。浩明の命が危うい。それを知った美華の心が燃え上がる。
「わかりまし、た……すぐ、に……」
浩明を必ず助ける。重苦しい身体を引きずるようにして動かす美華を、医者と戻ってきた女官が慌てて制止しようとするが、それでも美華は立ち上がった。
「皇后様! どちらに!」
「陛下のもとに……向かいます……」
「そのような身体では……!」
「確かに今すごく身体がしんどいです。でも陛下は必ず助けないと……!」
今までに見せた事が無いような、美華の飢えた獅子の如き目つきに医者や女官達は圧倒された。
「絶対に……陛下を助けます!」
美華は懸命に足を動かし、浩明のいる閨に向かう。
「陛下……きましたよ……」
美華が声をかけても浩明のまぶたは開かれない。
「陛下……! 雪美華でございます……!」
美華が何度も声を振り絞り出すと、ようやく浩明のまぶたが三分の一位開かれた。
「美華、か……」
「今、参りました。治しますからね……」
「やめろ」
予想打にしていなかった浩明からの言葉に美華の動きが止まった。
「陛下?」
「やめろ、君が死んだらどうする……」
浩明は絶え絶えの息で、君も、辛いだろうに……と口にした。
「なんで、わかった、んですか」
「君の声は、覚えやすいから、かな……」
穏やかに笑う浩明。美華は今のうちだ。と右手を彼の額にかざす。
「……死んでも、いいのか」
「私が……もし死んだとしても、陛下を救わないわけにはいかない、ので……」
「俺を生かしてから、死にたいのか」
「そうなり、ますね……」
だが、流行病のせいかいつもより波動の力は明らかに弱まっていた。
(意識がはっきりした。倦怠感も少し弱まったか?)
浩明の症状が少し落ち着いた瞬間、美華は浩明の上に覆いかぶさるようにして、意識を失ったのである。
美華を見る女官の顔が、引きつっていく。彼女の顔は美華には見えないがそれでも彼女の声音からああ引きつった顔をしているのね。というのが理解できた。
「手の関節が痛くてこわばっているのです……それに身体も重くて……」
(だめだ、座るだけでもしんどい。早く横にならないと)
美華は這いずるような動きで椅子から架子床まで移動すると、ごろりと大の字になった。
(……身体が重苦しくて叶わない)
「医者をお呼びします……!」
女官が部屋を飛び出した瞬間、浩明付きの宦官が鼻から下を布で覆った状態で現れた。
「皇后様! 陛下が大変なんです!」
「えっ……?」
「陛下が死にそうなんです!」
宦官の目にはすでに涙が堰を切りそうになっていた。浩明の命が危うい。それを知った美華の心が燃え上がる。
「わかりまし、た……すぐ、に……」
浩明を必ず助ける。重苦しい身体を引きずるようにして動かす美華を、医者と戻ってきた女官が慌てて制止しようとするが、それでも美華は立ち上がった。
「皇后様! どちらに!」
「陛下のもとに……向かいます……」
「そのような身体では……!」
「確かに今すごく身体がしんどいです。でも陛下は必ず助けないと……!」
今までに見せた事が無いような、美華の飢えた獅子の如き目つきに医者や女官達は圧倒された。
「絶対に……陛下を助けます!」
美華は懸命に足を動かし、浩明のいる閨に向かう。
「陛下……きましたよ……」
美華が声をかけても浩明のまぶたは開かれない。
「陛下……! 雪美華でございます……!」
美華が何度も声を振り絞り出すと、ようやく浩明のまぶたが三分の一位開かれた。
「美華、か……」
「今、参りました。治しますからね……」
「やめろ」
予想打にしていなかった浩明からの言葉に美華の動きが止まった。
「陛下?」
「やめろ、君が死んだらどうする……」
浩明は絶え絶えの息で、君も、辛いだろうに……と口にした。
「なんで、わかった、んですか」
「君の声は、覚えやすいから、かな……」
穏やかに笑う浩明。美華は今のうちだ。と右手を彼の額にかざす。
「……死んでも、いいのか」
「私が……もし死んだとしても、陛下を救わないわけにはいかない、ので……」
「俺を生かしてから、死にたいのか」
「そうなり、ますね……」
だが、流行病のせいかいつもより波動の力は明らかに弱まっていた。
(意識がはっきりした。倦怠感も少し弱まったか?)
浩明の症状が少し落ち着いた瞬間、美華は浩明の上に覆いかぶさるようにして、意識を失ったのである。
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