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第49話 勝敗はあっけなく
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「わかりました。よくわからないですけど、決闘しましょう」
「! わ、わかりました! その言葉……なんか怪しいですけど絶対ですね!?」
すると海の方から、がたがたと足音が複数近づいてきた。
「鈴蘭! ここにおったんか!」
「わっ、お祖父様!」
「また抜け出しおってからに……皇后様、失礼いたしました……」
「いえいえ、お気になさらず。して、決闘は何をするんですか?」
ここで美華の問いかけを聞いていた村長の怒りの火山がさらに爆発してしまった。
「鈴蘭! 決闘とは……何をする気じゃ!」
「えっ、そ、そりゃあ、どちらが病人を治せるかだけど」
「そんなもの、決闘せんでもわかるわい。皇后様の方が上じゃ」
切って捨てるかのような村長の言葉に、鈴蘭はそんなのやってみなくちゃわからないじゃない! とありったけの声で叫んだ。
鈴蘭の目には涙が浮かんでいたが、それは美華には見えない。
「何だよ! みんなみんな皇后ばっかり! 私だって力はあるのに……!」
「皇后様と比べる時点で間違っておるのじゃ!」
鈴蘭に負けず劣らずな村長からの一喝には圧力があった。美華も肩を震わせる。
「……何だよ! 何で巫女である私が……このような目に……」
「皇后様、申し訳ありませぬ。孫には言い聞かせておきますので」
「いえ、村長さん。決闘させてください」
美華の言葉に村長は目が飛び出るくらい見開く。
「なっ……! そんな、無理をなさらずとも」
「大丈夫です。鈴蘭さんは決闘したがっていると思うので」
鈴蘭も予想だにしていなかったのか、えぇ? と声を出して美華を見るばかりだ。
「ね? 鈴蘭さん。決闘したいでしょ?」
「なんだそれは。強者の余裕ってやつか?」
「これ! 言葉を慎め!」
「まあまあ村長さん。私はいいですが、鈴蘭さんはどうします?」
美華の言葉を一種の挑発と受け取ったのか、鈴蘭はぎっと美華を睨みつける。
「勿論です! 白黒はっきりさせましょう!」
村長ははあ……と大きなため息を吐くと、わかりました。と呟く。
「何の騒ぎだ?」
ここで浩明が起きてきて、美華の後ろに顔を見せる。
「あっ陛下!」
「ああ、陛下! 実はうちの孫娘が……」
村長からざっくりと説明を聞いた浩明は、美華に良いのか? と尋ねる。
「はい。大丈夫です」
「その口元……覚悟を決めたようだな」
「覚悟という事でもないですが。私はやるべき事をするだけなので」
こうして……美華と鈴蘭の決闘がすぐさま執り行われる事になった。決闘内容は、どちらが素早くかつ正確に病を治せるか。である。
また決闘に負けた者は勝った者の言う事を聞かねばならない。
「村に来たばかりなのにこのような事になってしまい申し訳ない」
と村長は何度も頭を下げてくれた。とはいえ秘祭が行われるのは翌日。今日しか機会が無いのも事実である。
美華からすればやり慣れた事ではある為に、浩明はこれは美華の勝ちだな。と内心考えていたが鈴蘭も油断ならないとも感じていた。
両者の目の前には、近くの島から来た身体中にイボが出来る奇病を患った病人が2人、待機している。
「では、用意……はじめ!」
村長の住まう屋敷の大広間にて、決闘という名の能力の激突が始まった。
……が、勝負はあっという間に決着を迎える。
「勝負あり!」
美華がいつも通り手かざしで、患者の奇病を全て治したのだった。対する鈴蘭の患者は全体の0.5割程しか癒えてなかったのである。
「勝ったのは皇后様!」
「う、うそ……早すぎる!」
「早いも何もありませんよ」
美華は鈴蘭の患者にも手かざしを行い、病を癒す。癒えた患者はふたりともイボが消えた手のひらを見合って喜びをかみしめていた。
「出来る事をするだけ、ですから」
「……皇后様……」
何かを言おうとしても言葉が出てこない鈴蘭。悔しい気持ちと彼女へのよくわからない感情がごちゃ混ぜになったかのようだ。
「私、あまり勝負ごとには詳しくなくて」
「だったら、なぜ決闘を引き受けたのですか」
「その方が、あなたは楽になれると思ったので」
「そうですか……断るよりも、私の言う事を聞いた方が良いと思ったのですか」
美華が首を縦に振ると、鈴蘭はなるほど……と言いながら、はあ。と息を吐いた。
「ああ、そういえば負けた者は勝者の言う事を聞く。という決まりでしたね」
「! っそうですね、皇后様……」
出血する程に唇を噛み締める鈴蘭。美華はう~んと何やら考え込む様子を見せた。
「! わ、わかりました! その言葉……なんか怪しいですけど絶対ですね!?」
すると海の方から、がたがたと足音が複数近づいてきた。
「鈴蘭! ここにおったんか!」
「わっ、お祖父様!」
「また抜け出しおってからに……皇后様、失礼いたしました……」
「いえいえ、お気になさらず。して、決闘は何をするんですか?」
ここで美華の問いかけを聞いていた村長の怒りの火山がさらに爆発してしまった。
「鈴蘭! 決闘とは……何をする気じゃ!」
「えっ、そ、そりゃあ、どちらが病人を治せるかだけど」
「そんなもの、決闘せんでもわかるわい。皇后様の方が上じゃ」
切って捨てるかのような村長の言葉に、鈴蘭はそんなのやってみなくちゃわからないじゃない! とありったけの声で叫んだ。
鈴蘭の目には涙が浮かんでいたが、それは美華には見えない。
「何だよ! みんなみんな皇后ばっかり! 私だって力はあるのに……!」
「皇后様と比べる時点で間違っておるのじゃ!」
鈴蘭に負けず劣らずな村長からの一喝には圧力があった。美華も肩を震わせる。
「……何だよ! 何で巫女である私が……このような目に……」
「皇后様、申し訳ありませぬ。孫には言い聞かせておきますので」
「いえ、村長さん。決闘させてください」
美華の言葉に村長は目が飛び出るくらい見開く。
「なっ……! そんな、無理をなさらずとも」
「大丈夫です。鈴蘭さんは決闘したがっていると思うので」
鈴蘭も予想だにしていなかったのか、えぇ? と声を出して美華を見るばかりだ。
「ね? 鈴蘭さん。決闘したいでしょ?」
「なんだそれは。強者の余裕ってやつか?」
「これ! 言葉を慎め!」
「まあまあ村長さん。私はいいですが、鈴蘭さんはどうします?」
美華の言葉を一種の挑発と受け取ったのか、鈴蘭はぎっと美華を睨みつける。
「勿論です! 白黒はっきりさせましょう!」
村長ははあ……と大きなため息を吐くと、わかりました。と呟く。
「何の騒ぎだ?」
ここで浩明が起きてきて、美華の後ろに顔を見せる。
「あっ陛下!」
「ああ、陛下! 実はうちの孫娘が……」
村長からざっくりと説明を聞いた浩明は、美華に良いのか? と尋ねる。
「はい。大丈夫です」
「その口元……覚悟を決めたようだな」
「覚悟という事でもないですが。私はやるべき事をするだけなので」
こうして……美華と鈴蘭の決闘がすぐさま執り行われる事になった。決闘内容は、どちらが素早くかつ正確に病を治せるか。である。
また決闘に負けた者は勝った者の言う事を聞かねばならない。
「村に来たばかりなのにこのような事になってしまい申し訳ない」
と村長は何度も頭を下げてくれた。とはいえ秘祭が行われるのは翌日。今日しか機会が無いのも事実である。
美華からすればやり慣れた事ではある為に、浩明はこれは美華の勝ちだな。と内心考えていたが鈴蘭も油断ならないとも感じていた。
両者の目の前には、近くの島から来た身体中にイボが出来る奇病を患った病人が2人、待機している。
「では、用意……はじめ!」
村長の住まう屋敷の大広間にて、決闘という名の能力の激突が始まった。
……が、勝負はあっという間に決着を迎える。
「勝負あり!」
美華がいつも通り手かざしで、患者の奇病を全て治したのだった。対する鈴蘭の患者は全体の0.5割程しか癒えてなかったのである。
「勝ったのは皇后様!」
「う、うそ……早すぎる!」
「早いも何もありませんよ」
美華は鈴蘭の患者にも手かざしを行い、病を癒す。癒えた患者はふたりともイボが消えた手のひらを見合って喜びをかみしめていた。
「出来る事をするだけ、ですから」
「……皇后様……」
何かを言おうとしても言葉が出てこない鈴蘭。悔しい気持ちと彼女へのよくわからない感情がごちゃ混ぜになったかのようだ。
「私、あまり勝負ごとには詳しくなくて」
「だったら、なぜ決闘を引き受けたのですか」
「その方が、あなたは楽になれると思ったので」
「そうですか……断るよりも、私の言う事を聞いた方が良いと思ったのですか」
美華が首を縦に振ると、鈴蘭はなるほど……と言いながら、はあ。と息を吐いた。
「ああ、そういえば負けた者は勝者の言う事を聞く。という決まりでしたね」
「! っそうですね、皇后様……」
出血する程に唇を噛み締める鈴蘭。美華はう~んと何やら考え込む様子を見せた。
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