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第51話 邪龍の鱗
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明日はいよいよ秘祭が行われる。どのような内容かは当日まで語られないとの事で、浩明は楽しみ半分と怖さ半分の気持ちを抱えていた。
しかし、美華は秘祭よりも邪龍の鱗の事の方が気になっている様子である。
(海の底にあるとは言うけど……詳しい場所がわからない)
深夜。浩明の隣に眠る美華は、どうしても邪龍の鱗が気になって眠れないでいた。
(誰か知っている人いないかな……)
もそりと架子床から起き上がった美華は、波動の力を使いながら部屋から出て、村長がいる屋敷へと向かう。
(村長さんなら、知ってそうだけど……)
その道中。渡り廊下のような桟橋にて、彼女は灯籠を持った鈴蘭と出くわした。
「皇后様。なんで外にいるんですか?」
「あっ……その声は鈴蘭さん」
「危ないですよ。早く部屋に帰った方がいいです」
ちなみに鈴蘭は眠れなくて夜風に当たっていたようだ。
(鈴蘭さんに聞いてみようか)
「実はですね。お聞きしたい事があるのですが」
意を決して邪龍の鱗について鈴蘭に尋ねてみる。
「ああ……聞いた事はあります。それが何か?」
(……御仏様の事は言いづらい。なんて説明しようか)
美華は邪龍の鱗がどのようなものかを調べたいと説明すると、どうやら屋敷に邪龍に関係する書物があるようで、その代読を鈴蘭が買って出てくれた。
「美華、ここにいたのか」
「あ、陛下」
「勝手にひとりで出歩くんじゃない。心配してしまうだろ……」
「ちょうど良かったです。ついてきていただけませんか?」
浩明はわかった。と了承すると、3人は村長の屋敷内にある書物庫を訪れた。
「煙たいな……」
長年掃除なされていないのか、辺り一面ホコリ臭い。
「……綺麗にしましょうか?」
美華が手を前へと差し出すと、書物庫のホコリ臭さが消えて、綺麗な状態になる。
「何かを直す力もあるのですか……」
驚きと力の差を感じた鈴蘭の顔。だが浩明と美華の視界には入らない。
「美華、探したいのはなんだ?」
「邪龍について、及び邪龍の鱗についてでございます」
「これですか?」
一瞬で鈴蘭が関連する書物を見つけたようだ。パラパラとめくると、そこには邪龍の鱗についての説明が記されてある。
「へえ、前回の秘祭の際には海から浮上した……か」
「そうなのですか!?」
浮上するなら、海に潜る手間は省ける。美華は前々回もですか? とやや興奮気味に鈴蘭に問いかける。
「記録に残っている限り……500年前からですか。初めて知ったな……」
「村長は教えてくださらなかったのですか?」
「お祖父様……私にはまだ早いと言って、邪龍の事は何も教えてはくれなかったので」
一応鈴蘭は五大名家の事と、邪龍の存在自体は知っているそうだ。皇后は五大名家から選ばれるというしきたりも把握していると教えてくれる。
「なるほどなるほど」
「もしかしたら、陛下や皇后様の方が知っている事もあるかもしれません」
(……とはいえ、どこまで言えばいいのかなあ)
ここで浩明が話を戻そう。と語りかける。
「邪龍の鱗はどのような感じで浮上するのだ?」
「海面から輝きながら浮上する。とだけしか書いてませんね……」
「そして、美華はなんの為に邪龍の鱗を調べているんだ?」
(……やっぱり、言うしかないか)
美華は覚悟を決めて御仏とのやり取りを全て浩明と鈴蘭に打ち明けた。
「……そんな事があったのか。全く……君にはいつも驚かされるな」
「う、嘘でしょ……あの御仏に……」
「邪龍の鱗を入手すれば、力が増すのだな?」
「そうみたいです」
すると鈴蘭は、今のままでも素晴らしい力があるのに更に上を? と美華に問いかける。
「これ以上、皇后様が力を追い求めるのは強欲ではないですか?」
「……負け惜しみか?」
「なんとでも言ってください。私にはそう思っただけですから」
つん。と冷たい顔に変わる鈴蘭。美華は笑みを崩さずに、そうですねぇ……。と呟いたのだった。
「もっと人を助けたいんですよ」
しかし、美華は秘祭よりも邪龍の鱗の事の方が気になっている様子である。
(海の底にあるとは言うけど……詳しい場所がわからない)
深夜。浩明の隣に眠る美華は、どうしても邪龍の鱗が気になって眠れないでいた。
(誰か知っている人いないかな……)
もそりと架子床から起き上がった美華は、波動の力を使いながら部屋から出て、村長がいる屋敷へと向かう。
(村長さんなら、知ってそうだけど……)
その道中。渡り廊下のような桟橋にて、彼女は灯籠を持った鈴蘭と出くわした。
「皇后様。なんで外にいるんですか?」
「あっ……その声は鈴蘭さん」
「危ないですよ。早く部屋に帰った方がいいです」
ちなみに鈴蘭は眠れなくて夜風に当たっていたようだ。
(鈴蘭さんに聞いてみようか)
「実はですね。お聞きしたい事があるのですが」
意を決して邪龍の鱗について鈴蘭に尋ねてみる。
「ああ……聞いた事はあります。それが何か?」
(……御仏様の事は言いづらい。なんて説明しようか)
美華は邪龍の鱗がどのようなものかを調べたいと説明すると、どうやら屋敷に邪龍に関係する書物があるようで、その代読を鈴蘭が買って出てくれた。
「美華、ここにいたのか」
「あ、陛下」
「勝手にひとりで出歩くんじゃない。心配してしまうだろ……」
「ちょうど良かったです。ついてきていただけませんか?」
浩明はわかった。と了承すると、3人は村長の屋敷内にある書物庫を訪れた。
「煙たいな……」
長年掃除なされていないのか、辺り一面ホコリ臭い。
「……綺麗にしましょうか?」
美華が手を前へと差し出すと、書物庫のホコリ臭さが消えて、綺麗な状態になる。
「何かを直す力もあるのですか……」
驚きと力の差を感じた鈴蘭の顔。だが浩明と美華の視界には入らない。
「美華、探したいのはなんだ?」
「邪龍について、及び邪龍の鱗についてでございます」
「これですか?」
一瞬で鈴蘭が関連する書物を見つけたようだ。パラパラとめくると、そこには邪龍の鱗についての説明が記されてある。
「へえ、前回の秘祭の際には海から浮上した……か」
「そうなのですか!?」
浮上するなら、海に潜る手間は省ける。美華は前々回もですか? とやや興奮気味に鈴蘭に問いかける。
「記録に残っている限り……500年前からですか。初めて知ったな……」
「村長は教えてくださらなかったのですか?」
「お祖父様……私にはまだ早いと言って、邪龍の事は何も教えてはくれなかったので」
一応鈴蘭は五大名家の事と、邪龍の存在自体は知っているそうだ。皇后は五大名家から選ばれるというしきたりも把握していると教えてくれる。
「なるほどなるほど」
「もしかしたら、陛下や皇后様の方が知っている事もあるかもしれません」
(……とはいえ、どこまで言えばいいのかなあ)
ここで浩明が話を戻そう。と語りかける。
「邪龍の鱗はどのような感じで浮上するのだ?」
「海面から輝きながら浮上する。とだけしか書いてませんね……」
「そして、美華はなんの為に邪龍の鱗を調べているんだ?」
(……やっぱり、言うしかないか)
美華は覚悟を決めて御仏とのやり取りを全て浩明と鈴蘭に打ち明けた。
「……そんな事があったのか。全く……君にはいつも驚かされるな」
「う、嘘でしょ……あの御仏に……」
「邪龍の鱗を入手すれば、力が増すのだな?」
「そうみたいです」
すると鈴蘭は、今のままでも素晴らしい力があるのに更に上を? と美華に問いかける。
「これ以上、皇后様が力を追い求めるのは強欲ではないですか?」
「……負け惜しみか?」
「なんとでも言ってください。私にはそう思っただけですから」
つん。と冷たい顔に変わる鈴蘭。美華は笑みを崩さずに、そうですねぇ……。と呟いたのだった。
「もっと人を助けたいんですよ」
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