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第29章 制圧
制圧
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同盟本部合同庁舎に強行着陸した兵員輸送ヘリから、ゆっくりとその長身にコートを突っかけて、司法局実働部隊警備部部長マリア・シュバーキナ少佐は降り立った。すでに警備の為に配置されていた厚生局の武装局員は銃創の治療を受けるか、後ろ手に縛られた状態で彼女の部下が確保していた。
「クバルカの部隊が突入したか……准尉!」
マリアが叫ぶとすぐに頬に傷のある士官がマリアに駆け寄る。
「状況は?」
そう言うとマリアはコートのポケットからペンを取り出す。傷の士官が目配せするとそこには簡易型のテーブルが置かれ、その上にはこの地区の構造物を描いたグラフィックが映し出されていた。
「現在4階から上は完全に無力化されています。その下の厚生局麻薬対策班のフロアーですがここは襲撃を予測していたようで現在かなりの抵抗を受けています」
准尉はそのまま前の大通りの方に視線を投げた。そこには厚生局の虎の子の07式の機能停止作業に映っている神前誠曹長のアニメの美少女の絵が一面に描かれた痛特機が活動中だった。
「敵の士気は落ちるだろうな、あれを見れば。だが油断はしない方が良い」
軽く微笑むとマリアはそのまま捕虜達の隣に設置された通信機器に向かう部下達のところへ向かった。敬礼する金髪の男性オペレーター二人が不審そうな顔で自分を見上げていることを知るとマリアは彼女に付き従う准尉に笑顔を向けた。
「厚生局の職員はずいぶんと仕事を愛しているようね。自腹で胡州浪人を警備兵に雇ってまで自分達の研究の隠匿に努めるとは……どこかの誰かさんにも見習って欲しいわね」
『おーい。聞こえたぞー』
通信機器からは間抜けな嵯峨の声が聞こえる。画像が開くとそこには狭い彼の愛車のスバル360の後部座席で踏ん張っている上司の哀れな姿が目に入った。
「隊長。別にそこで受けを取らなくても良いんですよ」
呆れたマリアの声に思わず隣の准尉が噴出す。すでに画像には映っていないが、運転をさせられているらしいアイシャ・クラウゼ少佐の笑い声がマイクに飛び込んできていた。
『どうだい、あと30分くらいで制圧できそう?』
画像の中で身動き取れない状況で声を絞り出す嵯峨から目を背けたマリアは隣のモニターで展開する部下達の戦いの様子に目をやった。
「肝心のプラントを抑えなければ制圧の意味は無いんでは?」
『そりゃクバルカの仕事だ。お前さん達はとりあえずこのビルの制圧が任務だろ?……って!』
今度は段差でも踏んだのか、苦しい体勢の嵯峨が思わず車の天井に頭をぶつけて悶絶する光景が展開される。すでにその端末を使用していたスキンヘッドの軍曹は口を押さえて必死に笑いをこらえていた。
「それは分かっています。しかし……同盟の一機関が同盟機構の許可も得ずにこれだけの戦力を保有していたこと自体が問題になりますよ。それに遼南レンジャーが捜査に介入した時点でこの結末は見えていたはずです」
マリアの言葉を聞きながらも、必死に踏ん張っている嵯峨が頭を抱える。
『まあな。厚生局は遼北の影響力が強いからそのまま東和の一連の遼北叩きに拍車がかかるだろうな。それに同盟機構の組織体制の見直しも話しにでるだろうし……それにそもそもなんでここまでがんばる必要があるのかってのもな』
今度は急ブレーキをかけたらしく嵯峨の頭が画像を撮っているカメラに直撃して全体が黒く染まったのを見てマリアは大きなため息をついた。
「クバルカの部隊が突入したか……准尉!」
マリアが叫ぶとすぐに頬に傷のある士官がマリアに駆け寄る。
「状況は?」
そう言うとマリアはコートのポケットからペンを取り出す。傷の士官が目配せするとそこには簡易型のテーブルが置かれ、その上にはこの地区の構造物を描いたグラフィックが映し出されていた。
「現在4階から上は完全に無力化されています。その下の厚生局麻薬対策班のフロアーですがここは襲撃を予測していたようで現在かなりの抵抗を受けています」
准尉はそのまま前の大通りの方に視線を投げた。そこには厚生局の虎の子の07式の機能停止作業に映っている神前誠曹長のアニメの美少女の絵が一面に描かれた痛特機が活動中だった。
「敵の士気は落ちるだろうな、あれを見れば。だが油断はしない方が良い」
軽く微笑むとマリアはそのまま捕虜達の隣に設置された通信機器に向かう部下達のところへ向かった。敬礼する金髪の男性オペレーター二人が不審そうな顔で自分を見上げていることを知るとマリアは彼女に付き従う准尉に笑顔を向けた。
「厚生局の職員はずいぶんと仕事を愛しているようね。自腹で胡州浪人を警備兵に雇ってまで自分達の研究の隠匿に努めるとは……どこかの誰かさんにも見習って欲しいわね」
『おーい。聞こえたぞー』
通信機器からは間抜けな嵯峨の声が聞こえる。画像が開くとそこには狭い彼の愛車のスバル360の後部座席で踏ん張っている上司の哀れな姿が目に入った。
「隊長。別にそこで受けを取らなくても良いんですよ」
呆れたマリアの声に思わず隣の准尉が噴出す。すでに画像には映っていないが、運転をさせられているらしいアイシャ・クラウゼ少佐の笑い声がマイクに飛び込んできていた。
『どうだい、あと30分くらいで制圧できそう?』
画像の中で身動き取れない状況で声を絞り出す嵯峨から目を背けたマリアは隣のモニターで展開する部下達の戦いの様子に目をやった。
「肝心のプラントを抑えなければ制圧の意味は無いんでは?」
『そりゃクバルカの仕事だ。お前さん達はとりあえずこのビルの制圧が任務だろ?……って!』
今度は段差でも踏んだのか、苦しい体勢の嵯峨が思わず車の天井に頭をぶつけて悶絶する光景が展開される。すでにその端末を使用していたスキンヘッドの軍曹は口を押さえて必死に笑いをこらえていた。
「それは分かっています。しかし……同盟の一機関が同盟機構の許可も得ずにこれだけの戦力を保有していたこと自体が問題になりますよ。それに遼南レンジャーが捜査に介入した時点でこの結末は見えていたはずです」
マリアの言葉を聞きながらも、必死に踏ん張っている嵯峨が頭を抱える。
『まあな。厚生局は遼北の影響力が強いからそのまま東和の一連の遼北叩きに拍車がかかるだろうな。それに同盟機構の組織体制の見直しも話しにでるだろうし……それにそもそもなんでここまでがんばる必要があるのかってのもな』
今度は急ブレーキをかけたらしく嵯峨の頭が画像を撮っているカメラに直撃して全体が黒く染まったのを見てマリアは大きなため息をついた。
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