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第13章 幼女からの伝言
幼女からの伝言
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散々な一日。誠達はすぐに自分達が外野に置かれていることに気づいた。
資料のほとんどは確かに見ることが出来た。茜から渡された同一犯と思われる事件資料の他にも東都警察が独自にまとめた目撃情報、被害者の共通点を調査した資料、発生時刻に近くを巡回していた警察官の氏名まですべて知ることが出来た。
ただその結果分かったことは、『東都警察の資料では絶対に犯人にはたどり着かない』と言う確信と『別の資料を本庁が隠して独自に捜査を始めている』と言う断片的な証拠だった。
各資料を閲覧するには毎回違う暗証番号が自動的に振り出されることに気づいたカウラがかなめに探らせたところ、本庁の捜査一課と警備部のいくつかの端末から頻繁にデータベースへのアクセスが行われていることがわかった。
東都警察は今度は司法局実働部隊を笑いものにする準備を整えている。帰りのカウラのスポーツカーの中でアイシャはきわめて雄弁だった。そのイライラを発散すべくかなめは危うくロッカールームで破壊活動に走るところだったと言う。アイシャはそれをどうやって自分が身を挺して抑え込んだかを切々と語る。誠はその苦笑いを引き摺ったまま寮につくとすぐに風呂に入り、眠り、目覚めてこうして朝の寮の食堂にたどり着いた。
「本当にこうしていていいんですか?」
次の日、朝食に七草粥を食べ終えた誠の言葉に同調するようにかなめもうなづいている。勤務地が変わっても司法局実働部隊の寮の生活は変わらなかった。いつものように朝食を食べ、早出の技術部の隊員達がどたばたと階段を駆け下りるのをのんびり食堂で聞きながらお茶を飲む。
「東都警察も多少は経験を積んでるんだからね。しばらくは本庁の面々の捜査を見守りましょう。多少はうまいこと調べてくれないと私達だって体は一つなんだから。それで最終的には私達がおいしいところをいただくと……」
「まあ……そううまくいけばいいですけど」
余裕のアイシャを見ながら誠が苦し紛れにそう答える。
「なに?まるで私達の出向が無駄だったって一日で決め付けているみたいじゃない。でも実は茜お嬢様からの資料じゃ分からないデータも手に入ったわよ」
アイシャはそう言うとおもむろに目の前のどんぶりを横にどけて腕の携帯端末の映像を拡大投影した。
「ずいぶんと細かい資料だな……なるほど。能力を乗っ取るのが得意な法術の種類か……」
「茜もまだまだだな。関与の疑いのある事例を検索にかければそれなりに資料としてまとまるじゃねえか」
カウラとかなめはアイシャの作った東都警察の違法法術能力発動事件に関わるデータを眺めて感心した。
「パイロキネシスが半数。空間干渉や空間制御が続いて……当たり前だけど体再生機能発動は無し」
「やっぱり放火魔みたいな奴なんだろうな。火事はなんとなくすきっとするからな!」
「それはかなめちゃんの好きな法術の種類でしょ。もしかしてあなたが犯人なんじゃないの?」
「ちげえよ!」
かなめが軽くアイシャの頭をはたく。誠が回りを見れば二人の人物が誠達の行動を監視していることに気がついた。
一人はカウラのファンクラブ『ヒンヌー教』の教祖を名乗る菰田邦弘主計曹長。回りにアイシャから『キモイ』と呼ばれている隊員達を引き連れながら真剣に画面を見るカウラに萌えていた。そしてもう一人。
「今回は俺の出番は無いんですかね……」
明らかに不満そうに声をかけてきたのは技術部特機整備班長の島田正人准尉だった。
「なにか?普通じゃ死なないって言うだけで捜査に参加できると思うなよ」
かなめの一言に明らかにカチンと来た様に島田は頬を膨らませる。彼は純血に近い遼州人であり、意識で体細胞の再生を行なうことができる再生系の法術適正の持ち主だった。
「そんなことは分かっていますよ!」
「おい、その面は『俺は厚生局事件の時も付き合ったんですよ!今回だって!』とでも言いたいのか?あ?」
ニヤニヤと笑いながらかなめのたれ目が島田を捉える。おずおずと島田はうなづいた。そしてそこに司法局実働部隊副長クバルカ・ラン中佐が当然のように現れたので、おっかなびっくり島田はランに敬礼した。
「おっと、ずいぶんシリアスな展開だったみてーだな。菰田、今日は粥か?」
どう見ても小学生にしか見えないランを見ると喜んで菰田のシンパの一人が厨房に駆け込んでいく。その様に呆れたと言うようにため息をついた後、平然とランは誠の向かいの椅子に腰掛けた。
「島田。アタシの判断が不服みてーだな」
「不服と言うか……今回は俺はより重要な任務の遂行がありますので。一応、自分にはアサルト・モジュール整備班長としての責任がありますから……」
「おー。それが分ってりゃいーんだがね」
そう言うとランは七草粥を受け取り静かに食べ始めた。その様子に菰田の取り巻きの一部にある秘密結社『エターナル幼女同盟』の会員達が萌える瞳でその様子を眺めていた。
「島田よー。アタシ等の仕事の目的はなんだ?」
「市民の安全を守ることです」
即答する島田に満足げな笑みを浮かべてランがうなづく。彼女はそのまましばらくスプーンを握りながら考えるようなポーズをとった。
「おい、そこ。写真を撮ったら金よこせよな」
密かにランの萌えるポーズを写真に撮ろうとした菰田の隣の技術下士官にランは鋭い目つきを送る。
「すいません!すぐ消します!」
「消すくらいなら最初から撮るんじゃねーよ」
苦笑いを浮かべながらそう言うと再びランは静かに食事を再開した。その様子をただ待たされ続けると言うように経ったままランを見下ろしていた。
「一番必要な場所に一番適した人物を配置する。アタシは隊長からその権限を委託されて副隊長をやってるんだ。テメーの力が必要なら死にそうな状態でも引っ張り出すからな」
「まあ島田は死なないけどな」
ランの言葉に茶々を入れたかなめをランは殺気がこもっているかのような視線でにらみつけた。
「ともかく島田。オメーは明華にもらった仕事をちゃんとしろ。それが終わったらアタシが明華に話をつけてやる。それでいーか?」
ランに見上げられれば島田も断れなかった。ただ力なく頷く島田を見て満足げにランはさじを進めた。
「しかし……次の事件もこっちで起こるんですかね?たまたま気まぐれでこっちで事件を起こしてまた都内に帰っちゃったとか……」
「心配性だなアイシャ。それならそれでいーんだよ。アタシ等の管轄の外の事件と言うことになる。茜の嬢ちゃんがこれまで作った隊長のコネを使って捜査一課だろうが本庁法術機動隊だろうが犯人を挙げてくれれば儲けものだな」
淡々とランがつぶやく。そしてその言葉が響くたびに菰田達のボルテージが上がるのが嫌でも見える。ささやき、つぶやき。その中に『幼女』と言う言葉が混じっているのでいつ爆発するかと誠は気をもんでいた。
「ああ、それと菰田!」
「はい!」
ランに呼びつけられてシンパに守られながら菰田は立ち上がった。だがその回りの連中は明らかにそんな命令口調のランの態度に萌えていた。
「飯食ったら出勤だろ?無駄話してるんじゃねーよ!」
「了解しました!菰田曹長、これより駐屯所へ向かいます!」
さすがにランの怒りが爆発するまでに去ろうとするが、Mっ気のある隊員が残ろうとするのを何とかなだめすかして食堂を出て行く。
「アイツ等何しにここに配属になったのかわかってんのかねー」
そう言うとランは粥の最後の一口を口に運ぶ。さすがの誠もその姿には萌えを感じざるを得なかった。
「誠ちゃん。私達のフィギュアよりもランちゃんの方が売れそうよね」
「クラウゼ。つまらねーこと言ってるとはたくぞ」
アイシャに向かってそう言いながらランはテーブルの上の粥のどんぶりを持って立ち上がった。
「結果。期待してるからな」
そう言って振り向いたランの笑顔はいつもの鬼の副長ではなく無垢な少女の笑顔に見えてつい誠は自分の心がときめくのを感じていた。
「ロリコンが……」
カウラはそれを見て大きなため息をつくのだった。
資料のほとんどは確かに見ることが出来た。茜から渡された同一犯と思われる事件資料の他にも東都警察が独自にまとめた目撃情報、被害者の共通点を調査した資料、発生時刻に近くを巡回していた警察官の氏名まですべて知ることが出来た。
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各資料を閲覧するには毎回違う暗証番号が自動的に振り出されることに気づいたカウラがかなめに探らせたところ、本庁の捜査一課と警備部のいくつかの端末から頻繁にデータベースへのアクセスが行われていることがわかった。
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「本当にこうしていていいんですか?」
次の日、朝食に七草粥を食べ終えた誠の言葉に同調するようにかなめもうなづいている。勤務地が変わっても司法局実働部隊の寮の生活は変わらなかった。いつものように朝食を食べ、早出の技術部の隊員達がどたばたと階段を駆け下りるのをのんびり食堂で聞きながらお茶を飲む。
「東都警察も多少は経験を積んでるんだからね。しばらくは本庁の面々の捜査を見守りましょう。多少はうまいこと調べてくれないと私達だって体は一つなんだから。それで最終的には私達がおいしいところをいただくと……」
「まあ……そううまくいけばいいですけど」
余裕のアイシャを見ながら誠が苦し紛れにそう答える。
「なに?まるで私達の出向が無駄だったって一日で決め付けているみたいじゃない。でも実は茜お嬢様からの資料じゃ分からないデータも手に入ったわよ」
アイシャはそう言うとおもむろに目の前のどんぶりを横にどけて腕の携帯端末の映像を拡大投影した。
「ずいぶんと細かい資料だな……なるほど。能力を乗っ取るのが得意な法術の種類か……」
「茜もまだまだだな。関与の疑いのある事例を検索にかければそれなりに資料としてまとまるじゃねえか」
カウラとかなめはアイシャの作った東都警察の違法法術能力発動事件に関わるデータを眺めて感心した。
「パイロキネシスが半数。空間干渉や空間制御が続いて……当たり前だけど体再生機能発動は無し」
「やっぱり放火魔みたいな奴なんだろうな。火事はなんとなくすきっとするからな!」
「それはかなめちゃんの好きな法術の種類でしょ。もしかしてあなたが犯人なんじゃないの?」
「ちげえよ!」
かなめが軽くアイシャの頭をはたく。誠が回りを見れば二人の人物が誠達の行動を監視していることに気がついた。
一人はカウラのファンクラブ『ヒンヌー教』の教祖を名乗る菰田邦弘主計曹長。回りにアイシャから『キモイ』と呼ばれている隊員達を引き連れながら真剣に画面を見るカウラに萌えていた。そしてもう一人。
「今回は俺の出番は無いんですかね……」
明らかに不満そうに声をかけてきたのは技術部特機整備班長の島田正人准尉だった。
「なにか?普通じゃ死なないって言うだけで捜査に参加できると思うなよ」
かなめの一言に明らかにカチンと来た様に島田は頬を膨らませる。彼は純血に近い遼州人であり、意識で体細胞の再生を行なうことができる再生系の法術適正の持ち主だった。
「そんなことは分かっていますよ!」
「おい、その面は『俺は厚生局事件の時も付き合ったんですよ!今回だって!』とでも言いたいのか?あ?」
ニヤニヤと笑いながらかなめのたれ目が島田を捉える。おずおずと島田はうなづいた。そしてそこに司法局実働部隊副長クバルカ・ラン中佐が当然のように現れたので、おっかなびっくり島田はランに敬礼した。
「おっと、ずいぶんシリアスな展開だったみてーだな。菰田、今日は粥か?」
どう見ても小学生にしか見えないランを見ると喜んで菰田のシンパの一人が厨房に駆け込んでいく。その様に呆れたと言うようにため息をついた後、平然とランは誠の向かいの椅子に腰掛けた。
「島田。アタシの判断が不服みてーだな」
「不服と言うか……今回は俺はより重要な任務の遂行がありますので。一応、自分にはアサルト・モジュール整備班長としての責任がありますから……」
「おー。それが分ってりゃいーんだがね」
そう言うとランは七草粥を受け取り静かに食べ始めた。その様子に菰田の取り巻きの一部にある秘密結社『エターナル幼女同盟』の会員達が萌える瞳でその様子を眺めていた。
「島田よー。アタシ等の仕事の目的はなんだ?」
「市民の安全を守ることです」
即答する島田に満足げな笑みを浮かべてランがうなづく。彼女はそのまましばらくスプーンを握りながら考えるようなポーズをとった。
「おい、そこ。写真を撮ったら金よこせよな」
密かにランの萌えるポーズを写真に撮ろうとした菰田の隣の技術下士官にランは鋭い目つきを送る。
「すいません!すぐ消します!」
「消すくらいなら最初から撮るんじゃねーよ」
苦笑いを浮かべながらそう言うと再びランは静かに食事を再開した。その様子をただ待たされ続けると言うように経ったままランを見下ろしていた。
「一番必要な場所に一番適した人物を配置する。アタシは隊長からその権限を委託されて副隊長をやってるんだ。テメーの力が必要なら死にそうな状態でも引っ張り出すからな」
「まあ島田は死なないけどな」
ランの言葉に茶々を入れたかなめをランは殺気がこもっているかのような視線でにらみつけた。
「ともかく島田。オメーは明華にもらった仕事をちゃんとしろ。それが終わったらアタシが明華に話をつけてやる。それでいーか?」
ランに見上げられれば島田も断れなかった。ただ力なく頷く島田を見て満足げにランはさじを進めた。
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「心配性だなアイシャ。それならそれでいーんだよ。アタシ等の管轄の外の事件と言うことになる。茜の嬢ちゃんがこれまで作った隊長のコネを使って捜査一課だろうが本庁法術機動隊だろうが犯人を挙げてくれれば儲けものだな」
淡々とランがつぶやく。そしてその言葉が響くたびに菰田達のボルテージが上がるのが嫌でも見える。ささやき、つぶやき。その中に『幼女』と言う言葉が混じっているのでいつ爆発するかと誠は気をもんでいた。
「ああ、それと菰田!」
「はい!」
ランに呼びつけられてシンパに守られながら菰田は立ち上がった。だがその回りの連中は明らかにそんな命令口調のランの態度に萌えていた。
「飯食ったら出勤だろ?無駄話してるんじゃねーよ!」
「了解しました!菰田曹長、これより駐屯所へ向かいます!」
さすがにランの怒りが爆発するまでに去ろうとするが、Mっ気のある隊員が残ろうとするのを何とかなだめすかして食堂を出て行く。
「アイツ等何しにここに配属になったのかわかってんのかねー」
そう言うとランは粥の最後の一口を口に運ぶ。さすがの誠もその姿には萌えを感じざるを得なかった。
「誠ちゃん。私達のフィギュアよりもランちゃんの方が売れそうよね」
「クラウゼ。つまらねーこと言ってるとはたくぞ」
アイシャに向かってそう言いながらランはテーブルの上の粥のどんぶりを持って立ち上がった。
「結果。期待してるからな」
そう言って振り向いたランの笑顔はいつもの鬼の副長ではなく無垢な少女の笑顔に見えてつい誠は自分の心がときめくのを感じていた。
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