1,108 / 1,557
第41章 戦地
死を覚悟した女王様
しおりを挟む
「アタシを狙って来たか……やっと、このふざけた体ともおさらばだな……」
西園寺かなめはモニターの中でミサイル発射管を開いて主砲の砲塔を自分に向けてくる敵艦『那珂』を見ながらそうつぶやいた。
彼女の230ミリロングレンジ狙撃用レールガンは『那珂』のブリッジを捉えていたが、彼女はトリガーを引かなかった。
「三歳の時、爺さんを狙ったテロでこの体になって……いつかこういう日が来るのを待ってたんだ……アタシは」
通信はランや誠、カウラや『ふさ』のブリッジクルーにも伝わっていた。
「人を殺すのはもう飽きたんだ……せっかく面白くなってきた人生だが……仕方がねえや」
かなめはそう言うとヘルメットを脱いで、腰のポーチから愛用のタバコ、『コイーバクラブ』を一本取り出した。
『待ってください!』
突然、新米の神前誠がそう叫んだ。それまでは胃の内容物の逆流に耐えながらヘルメットを抑えたりして気を紛らわせていた気の弱い誠の急変にかなめは少し驚いて葉巻用のガスライターに伸ばした手を止めた。
神前誠の専用機『05式特戦乙型』は最新機と言うことで大出力エンジンを搭載していた。
一気に機体は加速して先行していた機動部隊長、クバルカ・ラン中佐の『紅兎』弱×54を追い抜く。
『僕が囮になります!西園寺さん!今のうちに後退を!』
かなめの機体のコックピットに誠の叫びが響いた。誠のその声にかなめは何故かほっとして肩の力が抜けていくのを感じた。
「おいおい、誰に話してるつもりだ?オムツをつけた新入りに指図されるほど落ちぶれちゃいねえよ。敵さんのミサイルはアタシを狙ってる。アタシの『屠殺』を免れた家畜が二匹ほど伏せてる、そいつはオメエが食え!」
そう言うとかなめはロングレンジライフルを投げ捨てて、自機の重力波の想定位置に向けてキャノン砲を連射している火龍に向け突撃をかけた。火龍のセンサーは自分で撒いたチャフによって機能していないのは明らかだった。
「馬鹿が!いい気になるんじゃねえ!」
目視確認できる距離まで詰める。ようやく気づいた2機の火龍だが、近接戦闘を予定していない駆逐アサルト・モジュールには、ダガーを構え切り込んでくるエースクラスの腕前のかなめを相手にすることなど無理な話だった。
「死に損ないが!とっととくたばんな!」
すばやく手前の機体のコックピットにダガーが突き立つ。もう一機は友軍機の陰に隠れるかなめの機体の動きについていけないでいる。
「悪く思うなよ!恨むなら馬鹿な大将を恨みな!」
機能停止した火龍を投げつけながら、その影に潜んで一気に距離を詰めると、かなめは二機目の火龍のエンジン部分をダガーでえぐった。
かなめは敵機のパイロットが死亡したことによる機能停止を確認するともう一度『那珂』に目をやった。
すでに迎撃ミサイルは発射されていた。そして艦の主砲はかなめ機に砲身を向けて待機している。
「神前!来るな!巻き添えを食らうぞ!」
悲痛な『女王様』の悲しい願いが遼州星系のアステロイドベルトに響き渡った。
『西園寺さん……死なないでください……西園寺さん』
誠は口の中に酸を含んだ液体が湧き上がってくるのも構わずに機体を『那珂』めがけて突入させた。
西園寺かなめはモニターの中でミサイル発射管を開いて主砲の砲塔を自分に向けてくる敵艦『那珂』を見ながらそうつぶやいた。
彼女の230ミリロングレンジ狙撃用レールガンは『那珂』のブリッジを捉えていたが、彼女はトリガーを引かなかった。
「三歳の時、爺さんを狙ったテロでこの体になって……いつかこういう日が来るのを待ってたんだ……アタシは」
通信はランや誠、カウラや『ふさ』のブリッジクルーにも伝わっていた。
「人を殺すのはもう飽きたんだ……せっかく面白くなってきた人生だが……仕方がねえや」
かなめはそう言うとヘルメットを脱いで、腰のポーチから愛用のタバコ、『コイーバクラブ』を一本取り出した。
『待ってください!』
突然、新米の神前誠がそう叫んだ。それまでは胃の内容物の逆流に耐えながらヘルメットを抑えたりして気を紛らわせていた気の弱い誠の急変にかなめは少し驚いて葉巻用のガスライターに伸ばした手を止めた。
神前誠の専用機『05式特戦乙型』は最新機と言うことで大出力エンジンを搭載していた。
一気に機体は加速して先行していた機動部隊長、クバルカ・ラン中佐の『紅兎』弱×54を追い抜く。
『僕が囮になります!西園寺さん!今のうちに後退を!』
かなめの機体のコックピットに誠の叫びが響いた。誠のその声にかなめは何故かほっとして肩の力が抜けていくのを感じた。
「おいおい、誰に話してるつもりだ?オムツをつけた新入りに指図されるほど落ちぶれちゃいねえよ。敵さんのミサイルはアタシを狙ってる。アタシの『屠殺』を免れた家畜が二匹ほど伏せてる、そいつはオメエが食え!」
そう言うとかなめはロングレンジライフルを投げ捨てて、自機の重力波の想定位置に向けてキャノン砲を連射している火龍に向け突撃をかけた。火龍のセンサーは自分で撒いたチャフによって機能していないのは明らかだった。
「馬鹿が!いい気になるんじゃねえ!」
目視確認できる距離まで詰める。ようやく気づいた2機の火龍だが、近接戦闘を予定していない駆逐アサルト・モジュールには、ダガーを構え切り込んでくるエースクラスの腕前のかなめを相手にすることなど無理な話だった。
「死に損ないが!とっととくたばんな!」
すばやく手前の機体のコックピットにダガーが突き立つ。もう一機は友軍機の陰に隠れるかなめの機体の動きについていけないでいる。
「悪く思うなよ!恨むなら馬鹿な大将を恨みな!」
機能停止した火龍を投げつけながら、その影に潜んで一気に距離を詰めると、かなめは二機目の火龍のエンジン部分をダガーでえぐった。
かなめは敵機のパイロットが死亡したことによる機能停止を確認するともう一度『那珂』に目をやった。
すでに迎撃ミサイルは発射されていた。そして艦の主砲はかなめ機に砲身を向けて待機している。
「神前!来るな!巻き添えを食らうぞ!」
悲痛な『女王様』の悲しい願いが遼州星系のアステロイドベルトに響き渡った。
『西園寺さん……死なないでください……西園寺さん』
誠は口の中に酸を含んだ液体が湧き上がってくるのも構わずに機体を『那珂』めがけて突入させた。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
時き継幻想フララジカ
日奈 うさぎ
ファンタジー
少年はひたすら逃げた。突如変わり果てた街で、死を振り撒く異形から。そして逃げた先に待っていたのは絶望では無く、一振りの希望――魔剣――だった。 逃げた先で出会った大男からその希望を託された時、特別ではなかった少年の運命は世界の命運を懸ける程に大きくなっていく。
なれば〝ヒト〟よ知れ、少年の掴む世界の運命を。
銘無き少年は今より、現想神話を紡ぐ英雄とならん。
時き継幻想(ときつげんそう)フララジカ―――世界は緩やかに混ざり合う。
【概要】
主人公・藤咲勇が少女・田中茶奈と出会い、更に多くの人々とも心を交わして成長し、世界を救うまでに至る現代ファンタジー群像劇です。
現代を舞台にしながらも出てくる新しい現象や文化を彼等の目を通してご覧ください。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
織田信長 -尾州払暁-
藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。
守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。
織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。
そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。
毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。
スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。
(2022.04.04)
※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。
※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
完結 シシルナ島物語 少年薬師ノルド/ 荷運び人ノルド 蠱惑の魔剣
織部
ファンタジー
ノルドは、古き風の島、正式名称シシルナ・アエリア・エルダで育った。母セラと二人きりで暮らし。
背は低く猫背で、隻眼で、両手は動くものの、左腕は上がらず、左足もほとんど動かない、生まれつき障害を抱えていた。
母セラもまた、頭に毒薬を浴びたような痣がある。彼女はスカーフで頭を覆い、人目を避けてひっそりと暮らしていた。
セラ親子がシシルナ島に渡ってきたのは、ノルドがわずか2歳の時だった。
彼の中で最も古い記憶。船のデッキで、母セラに抱かれながら、この新たな島がゆっくりと近づいてくるのを見つめた瞬間だ。
セラの腕の中で、ぽつりと一言、彼がつぶやく。
「セラ、ウミ」
「ええ、そうよ。海」
ノルドの成長譚と冒険譚の物語が開幕します!
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載しております。
女神の白刃
玉椿 沢
ファンタジー
どこかの世界の、いつかの時代。
その世界の戦争は、ある遺跡群から出現した剣により、大きく姿を変えた。
女の身体を鞘とする剣は、魔力を収束、発振する兵器。
剣は瞬く間に戦を大戦へ進歩させた。数々の大戦を経た世界は、権威を西の皇帝が、権力を東の大帝が握る世になり、終息した。
大戦より数年後、まだ治まったとはいえない世界で、未だ剣士は剣を求め、奪い合っていた。
魔物が出ようと、町も村も知った事かと剣を求める愚かな世界で、赤茶けた大地を畑や町に、煤けた顔を笑顔に変えたいという脳天気な一団が現れる。
*表紙絵は五月七日ヤマネコさん(@yamanekolynx_2)の作品です*
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる