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もとをただせば
事の発端
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「また……今年も映画を作ることになったんだけど……ねえ……」
司法局実働部隊隊長室。通称『ゴミ箱』でこの部屋の主、嵯峨惟基特務大佐は口を開いた。
呼び出された司法局の人型機動兵器アサルト・モジュール部隊の第一小隊隊員である神前誠曹長も配属して半年が過ぎ、この部屋の異常な散らかりぶりに慣れてきたところだった。
応接セットをどかして床に敷いた緋毛氈の上には『遼州同盟機構軍軍令部』と書かれた紙と硯が転がっているのは、一流の書家でもある嵯峨に看板の字の依頼が来たのだろう。かと思えば執務机にはいつものとおり、万力がボルトアクションライフルの機関部をくわえている。そしてどちらの上空にも窓からの日差しで埃が舞っているのが目に見えた。
「なんでこの面子?」
明らかに不機嫌なのは西園寺かなめ大尉である。喫煙可と言うことで口にタバコをくわえて頭を掻いている。その隣で嵯峨の言葉に目を輝かせているのは司法局実働部隊の巡洋艦級運用艦『ふさ』副長のアメリア・クラウゼ少佐と彼女の部下のサラ・グリファン中尉の二人だった。186cmの長身の誠の隣に彼より少し小さいアメリア、160センチに若干届かないかなめと小柄なサラ。まるでマトリューシカ人形だと思って思わず誠の口もとに笑みが浮かぶ。
「豊川市役所か?飽きもせずにそんな馬鹿なこと言ってきたの。アタシがなんで付き合わなきゃなんねえんだ」
かなめは頭を掻きながら抜け出すタイミングを計っている。面白いものには食いつく彼女がいつでも抜け出せるようにドアのそばにいるのは東和軍の領空内管理システムのデバック作業中に呼び出されたせいなのは誠にもわかった。
「これも任務だ。市民との交流を深めるのも仕事のうちなんだ」
完全に諦めたと言う表情でそう言うのは、第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉だった。嵯峨の言葉を聞いてアメリアの反対側に立って、隣の誠を前に押し出すように彼女が半歩下がったのを誠は見逃さなかった。
「カウラの言うとーりだ。これもお仕事。だからオメー等でなんとかしろ」
執務机に座って頭の後ろに手を組んでいる嵯峨の隣には、司法局実働部隊の最高実力者として知られた機動部隊長のクバルカ・ラン中佐控えている。そしていろいろ愚痴を言いたい隊員達でも彼女の言葉に逆らう勇気のあるものはこの部屋にはいなかった。実働部隊の上部組織である遼州同盟司法局の幹部の明石清海中佐も諦めた調子でうなづいていた。
「それで隊長。映画と言ってもいろいろありますが……」
アメリアのその言葉に嵯峨は頭を掻きながら紙の束を取り出した。
「まあ……内容は……去年と同じでこっちで決めてくれって。なんなら投票で決めるのがいいんでないの?」
そう言って全員に見えるようにその紙をかざす。
『節分映画祭!希望ジャンルリクエスト!』
ランはすぐにその紙の束を受け取ると全員にそれを渡した。
「希望ジャンル?私がシナリオ書きたいんですけど!」
そう言ってアメリアは鉄粉の積もっている隊長執務机を叩く。その一撃で部屋中に鉄粉と埃が舞い上がり、椅子に座っていた嵯峨はそれをもろに吸い込んでむせている。
「オメエに任せたらどうせ一人で1時間みっちり古典落語の大ネタをやるとか言うのになるだろうが!」
そう言ってかなめはアメリアの頭をはたく。カウラはこめかみに指を当てて、できるだけ他人を装うように立ち尽くしている。
「それにどうせアメリアが撮影とかを仕切るんだろ?」
かなめはそう言ってため息をついた。
「まあな。アメリアは去年の実績もあるしな。それに一応コントビデオとか作ってた実績もあるし、その腕前を見せて頂戴よ。どうせ素人の演技だ。お前さんの特殊技術で鑑賞にたえるものにしてくれねえと俺の面子がねえからな……まあ俺はプライドゼロだからどうでもいいけど」
そう言うと嵯峨は出て行けというように左手を振った。
全員が廊下に出たところで独り言のようにかなめがつぶやく。
「あのなあ、アメリア」
「何、ロボ大尉」
アメリアの毒舌を聞きながらかなめは頭を掻きつつ振り返る。
「一応、俺等でジャンルの特定しないと収拾つかなくなるぞ。島田とか菰田あたりが整備の連中や管理部の事務屋を動員してなんだかよくわからないジャンルを指定してきたらどうするつもりだよ」
そう言うとかなめはアンケート用紙をアメリアから取り上げた。誠はいい加減なかなめがこういうところではまじめに応対するのがおかしくなって笑いそうになって手で口を押さえた。
「あれこれ文句言ったくせにやる気があるじゃないの?」
そんなアメリアの言葉に耳を貸す気はないとでも言うようにかなめは投票用紙を持って一番広い会議室を目指す。かなめが扉のセキュリティーを解除すると、一行は部屋に入った。
「ここが一番静かに会議ができるだろ?」
そう言うとかなめは椅子を入ってきた面々に渡す。誠、アメリア、かなめ、カウラ、サラ。
「そこで皆さんに5つくらい例を挙げてもらってそれで投票で決めるってのが一番手っ取り早いような気がするんだけどな」
そう言うとかなめは早速何か言いたげなサラの顔を見つめた。
「合体ロボが良いわよ!かっこいいの!」
目を輝かせてサラが叫んだ。めんどくさそうな顔でかなめはサラを見つめる。だが、サラはかなめを無視してアメリアに期待一杯の視線を投げかける。
「私は最後でいいわよ」
そう言うとアメリアは隣のカウラを見つめる。アメリアに見つめられてしばらく考えた後、カウラはようやく口を開いた。
「最近ファンタジー物の小説を読んでるからそれで……」
カウラは一言意見を言ってやり遂げたと言う表情を浮かべている。その瞳が正面に座っているかなめに向かう。そこに挑発的な意図を見つけたのか、突然立ち上がったかなめは手で拳銃を撃つようなカッコウをして見せた。
「やっぱこれだろ?」
「強盗でもするの?」
突っ込むアメリアをかなめはにらみつける。
「刑事もののアクションね。うちなら法術特捜の茜ちゃんとかからネタを分けてもらえるかもしれないかもね。あっちはいろいろ捕物の経験もあるだろうし」
「そうですね……」
誠は愛想笑いでそれに相槌を入れる。
「はい、刑事物と」
そう言うとかなめの後ろのモニターに『西園寺 刑事物』と言う表示が浮かんでいた。
「えーと。ロボ、ファンタジー、刑事物と。おい、神前。お前は何がしたい」
そう言ってかなめが振り向く。誠は周りからの鋭い視線にさらされた。まずタレ目のかなめだが、彼女に同意すれば絶対に無理するなとどやされるのは間違いなかった。誠の嗜好は完全にばれている。いまさらごまかすわけには行かない。
カウラの意見だが、ファンタジーは誠はあまり得意な分野では無かった。彼女が時々アニメや漫画とかを誠やアメリアの影響で見るようになってきたのは知っているが、その分野はきれいに誠の抑えている分野とは違うものだった。
サラ。彼女については何も言う気は無かった。サラが実はロボットモノ好きはかなり前から知っていたが、正直あの暑苦しい熱血展開が誠の趣味とは一致しなかった。
そこでアメリアを見る。
明らかに誠の出方をうかがっていた。美少女系でちょっと色気があるものを好むところなど趣味はほとんど被っている。あえて違うところがあるとすれば神前は原作重視なのに対し、アメリアはコメディータッチで笑えるものに傾倒しているということだった。
「それじゃあ、僕は……」
部屋中の注目が誠に向いてくる。気の弱い誠は額に汗がにじむのを感じていた。
「煮詰まってんなアタシも混ぜろよな」
そう言って侵入してきたのはクバルカ・ラン中佐だった。セキュリティーを上司権限で開けて勝手に椅子を運んできて話の輪に加わろうとする。そんなランはしばらく机の上の紙切れをめくってみた後、かなめの操作しているモニターに目をやった。そして明らかに落胆したような様子でため息をつく。
「おい、どれもこれも……馬鹿じゃねーのか?」
かなめにランは正直な感想をもらす。すぐにいつものその見た目とは正反対な思慮深い目でかなめがいじっている端末の画面をのぞき見る。
「で、サラが巨大ロボット?そんなもん島田にでも頼んで作ってもらえよ。カウラは剣と魔法のファンタジー?ありきたりだなあ、個性がねーよ。かなめが刑事モノ?ただ銃が撃ちてーだけだろ?」
ランはあっさりとすべての案をけなしていく。
「じゃあ、教導官殿のご意見をお聞かせ願いたいものですねえ」
そんなランにかなめが挑戦的な笑みを浮かべる。ランは先月まで東和国防軍の教導部隊の隊長を務めていた人物である。かなめもそれを知っていてわざと彼女をあおって見せる。
そこでランの表情が変わった。明らかに予想していない話題の振り方のようで、おたおたと視線を彷徨わせた。
「なんでアタシがこんなこと考えなきゃならねーんだよ!」
「ほう、文句は言うけど案は無し。さっきの見事な評価の数々はただの気まぐれか何かなんですかねえ」
かなめは得意げな笑みを浮かべる。その視線の先には明らかに面子を潰されて苦々しげにかなめを見つめるランがいた。
「アタシは専門外だっつうの!オメーが仕切ればいいだろ!……義理と人情の任侠モノはこのご時世ご法度だし……」
ランの口を尖らせて文句を言う姿はその身なりと同様、小学校低学年のそれだった。
「じゃあ、仕切ると言うわけで。神前」
そう言ってアメリアは誠を見つめる。明らかに逃げ道はふさがれた。薄ら笑いを浮かべるアメリアを見ながら誠は冷や汗が流れるのを感じていた。
「それじゃあ戦隊モノはどうですか?」
破れかぶれでそう言ってみた。
「いいね!それやろう!」
サラは当然のように食いつく。
「おい、オメエのロボットの案はどうしたんだ?」
呆れたようにかなめが口を開いた。
「戦隊モノねえ。そうすると男性枠が増えるけど……島田を呼んでくるか?」
カウラのその言葉に急に表情を変えたのは意外なことにかなめだった。
「バーカ。島田の馬鹿に英雄なんて務まるわけねだろ?アイツはただのヤンキーだぜ……悪人Aとかで十分だろ」
そのかなめの言葉にアメリアが珍しくうなづく。
「キャストを決めるのは後でだろ。じゃあ……クラウゼ。貴様はどうしたいんだ?」
自信満々で口を開くアメリアだった。
「まず『萌え』と言うことでランちゃんは欠かせないわね。色は当然ピンク」
「げっ!」
ため息をつくランをめんどくさそうに一瞥したかなめはすぐにアメリアに視線を移す。
「そしてクールキャラはカウラちゃんでしょうね。ブルーのナンバー2っぽいところはちょうどいいじゃないの。それに影の薄い緑は誠ちゃん」
「僕ってそんなに影薄いんですか?」
そう言いながら誠は弱ったように苦笑いを浮かべた。さらにアメリアは言葉を続けた。
「そして黄色の怪力キャラは……当然リアル怪力のかなめちゃん!」
「てめえ、外出ろ!いいから外出ろ」
そう言って指を鳴らすかなめを完全に無視してアメリアは言葉を続けた。
「なんと言ってもリーダーシップ、機転が利く策士で、カリスマの持ち主レッドは私しかいないわね!」
「おい!お前のどこがカリスマの持ち主なんだ?ちゃんとアタシに納得できるように説明しろよ!」
叫ぶかなめを完全に無視してアメリアはどうだという表情でかなめを見つめる。
「なるほどねえ、よく考えたものだ。もし神前の意見となったら頼む。それじゃあ……それでお前は何がしたいんだ」
カウラは彼女達のどたばたが収まったのを確認すると、半分呆れながらアメリアの意見を確認した。
「それは当然魔法少女よ!」
「あのー、なんで僕を指差して言うんですか?」
アメリアはびしっと音が出そうな勢いで人差し指で誠を指しながらそう言い切った。
「おめー日本語わかってんのか?それともドイツ語では『少女』になんか別の意味でもあるのか?アタシが大学で習った限りではそんな意味ねーけどな」
淡々と呆れた表情でランが突っ込みを入れる。
「ああ、それじゃあアメリアは『神前が主役の魔法少女』と」
「あの、西園寺さん?根本的におかしくないですか?」
カウラはさすがにやる気がなさそうにつぶやくかなめを制した。
「何が?」
「少女じゃねーよな、神前は」
そう言いながらランは同情するような、呆れているような視線を誠に送る。
「じゃあ……かわいくお化粧しようよ!」
そう言って手を打つサラ。
「女装か。面白いな」
「わかってるじゃないですかかなめちゃん!それが私の目論見で……」
「全力でお断りします」
さすがに自分を置いて盛り上がっている一同に、誠は危機を感じてそう言った。
「えー!つまんない!」
サラの言葉に誠は心が折れた。
「面白れーのになあ」
ランは明らかに悪意に満ちた視線を誠に向けてくる。
「……と言う意見があるわけだが」
かなめは完全に他人を装っている。
「見たいわけではないが……もしかしたらそれも面白そうだな」
カウラは好奇心をその視線に乗せている。
誠はただ呆然と議事を見ていた。
「やめろよな。こいつも嫌がってるだろ!」
そう言ってくれたかなめに誠はまるで救世主が出たとでも言うように感謝の視線を送る。
「魔法少女なら中佐がいいじゃねえの?」
かなめはそう言うとランを指差した。
「やっぱりかなめちゃんもそう思うんだ」
そう言うアメリアは自分の発言に場が盛り上がったのを喜んでいるような表情で誠を見つめた。
「誠ちゃん本気にしないでよ!誠ちゃんがヒロインなんて……冗談に決まってるでしょ?」
ようやく諦めたような顔のアメリアを見て、誠は安心したように一息ついた。
「なるほどねえ……とりあえず意見はこんなものかね」
そう言うとかなめは一同を見渡した。
「良いんじゃねーの?」
ランはそう言うと目の前のプリントを手に取った。
「隊員の端末に転送するのか?」
そう言いながら手にしたプリントをカウラに見せ付ける。
「ああ、わかってるよ。とりあえずアンケートはネットで知らせるが、記入は叔父貴が用意したのを使った方が良いよな」
「そうね、自分の作ったアンケート用紙を捨てられたら隊長泣いちゃうから」
かなめの言葉にアメリアがうなづく。
「隊長はそう言うところで変に気が回るからな」
ランがそう言いながらここにいる全員にプリントを配る。
「じゃあ、神前。お前がこいつを配れ」
そう言ってランはプリントの束を誠に渡す。
「そうだよね!誠ちゃんが一番階級下だし、年下だし……」
「そうは見えないがな」
かなめはいたずらっぽい視線をサラに送る。そんなかなめの言葉にサラは口を尖らせた。
「ひどいよかなめちゃん!私のほうが誠ちゃんよりお姉さんなんだぞ!」
「じゃあ、みんなで配りましょう!」
口を尖らせるサラを無視してアメリアは誠の手を取って立ち上がった。それに対抗するようにカウラとかなめも立ち上がる。
「おう、全員にデータは転送したぜ。配って来いよ」
かなめの声を聞くとはじかれるようにアメリアが誠の手を引っ張って部屋を出ようとする。
「慌てるなよ。それよりどこから配る?」
「決まってるじゃないの!人数の一番多い技術部整備班……島田君のところから行くわよ」
アメリアはそう言ってコンピュータルームを後にする。誠はその手にひきづられて寒い廊下に引き出された。かなめとカウラもいつものように誠の後ろに続く。そのまま実働部隊の詰め所で雑談をしている第二小隊と明石を無視してそのまま島田麾下の技術部員がたむろしているハンガーに向かった。
司法局実働部隊隊長室。通称『ゴミ箱』でこの部屋の主、嵯峨惟基特務大佐は口を開いた。
呼び出された司法局の人型機動兵器アサルト・モジュール部隊の第一小隊隊員である神前誠曹長も配属して半年が過ぎ、この部屋の異常な散らかりぶりに慣れてきたところだった。
応接セットをどかして床に敷いた緋毛氈の上には『遼州同盟機構軍軍令部』と書かれた紙と硯が転がっているのは、一流の書家でもある嵯峨に看板の字の依頼が来たのだろう。かと思えば執務机にはいつものとおり、万力がボルトアクションライフルの機関部をくわえている。そしてどちらの上空にも窓からの日差しで埃が舞っているのが目に見えた。
「なんでこの面子?」
明らかに不機嫌なのは西園寺かなめ大尉である。喫煙可と言うことで口にタバコをくわえて頭を掻いている。その隣で嵯峨の言葉に目を輝かせているのは司法局実働部隊の巡洋艦級運用艦『ふさ』副長のアメリア・クラウゼ少佐と彼女の部下のサラ・グリファン中尉の二人だった。186cmの長身の誠の隣に彼より少し小さいアメリア、160センチに若干届かないかなめと小柄なサラ。まるでマトリューシカ人形だと思って思わず誠の口もとに笑みが浮かぶ。
「豊川市役所か?飽きもせずにそんな馬鹿なこと言ってきたの。アタシがなんで付き合わなきゃなんねえんだ」
かなめは頭を掻きながら抜け出すタイミングを計っている。面白いものには食いつく彼女がいつでも抜け出せるようにドアのそばにいるのは東和軍の領空内管理システムのデバック作業中に呼び出されたせいなのは誠にもわかった。
「これも任務だ。市民との交流を深めるのも仕事のうちなんだ」
完全に諦めたと言う表情でそう言うのは、第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉だった。嵯峨の言葉を聞いてアメリアの反対側に立って、隣の誠を前に押し出すように彼女が半歩下がったのを誠は見逃さなかった。
「カウラの言うとーりだ。これもお仕事。だからオメー等でなんとかしろ」
執務机に座って頭の後ろに手を組んでいる嵯峨の隣には、司法局実働部隊の最高実力者として知られた機動部隊長のクバルカ・ラン中佐控えている。そしていろいろ愚痴を言いたい隊員達でも彼女の言葉に逆らう勇気のあるものはこの部屋にはいなかった。実働部隊の上部組織である遼州同盟司法局の幹部の明石清海中佐も諦めた調子でうなづいていた。
「それで隊長。映画と言ってもいろいろありますが……」
アメリアのその言葉に嵯峨は頭を掻きながら紙の束を取り出した。
「まあ……内容は……去年と同じでこっちで決めてくれって。なんなら投票で決めるのがいいんでないの?」
そう言って全員に見えるようにその紙をかざす。
『節分映画祭!希望ジャンルリクエスト!』
ランはすぐにその紙の束を受け取ると全員にそれを渡した。
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そう言ってアメリアは鉄粉の積もっている隊長執務机を叩く。その一撃で部屋中に鉄粉と埃が舞い上がり、椅子に座っていた嵯峨はそれをもろに吸い込んでむせている。
「オメエに任せたらどうせ一人で1時間みっちり古典落語の大ネタをやるとか言うのになるだろうが!」
そう言ってかなめはアメリアの頭をはたく。カウラはこめかみに指を当てて、できるだけ他人を装うように立ち尽くしている。
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かなめはそう言ってため息をついた。
「まあな。アメリアは去年の実績もあるしな。それに一応コントビデオとか作ってた実績もあるし、その腕前を見せて頂戴よ。どうせ素人の演技だ。お前さんの特殊技術で鑑賞にたえるものにしてくれねえと俺の面子がねえからな……まあ俺はプライドゼロだからどうでもいいけど」
そう言うと嵯峨は出て行けというように左手を振った。
全員が廊下に出たところで独り言のようにかなめがつぶやく。
「あのなあ、アメリア」
「何、ロボ大尉」
アメリアの毒舌を聞きながらかなめは頭を掻きつつ振り返る。
「一応、俺等でジャンルの特定しないと収拾つかなくなるぞ。島田とか菰田あたりが整備の連中や管理部の事務屋を動員してなんだかよくわからないジャンルを指定してきたらどうするつもりだよ」
そう言うとかなめはアンケート用紙をアメリアから取り上げた。誠はいい加減なかなめがこういうところではまじめに応対するのがおかしくなって笑いそうになって手で口を押さえた。
「あれこれ文句言ったくせにやる気があるじゃないの?」
そんなアメリアの言葉に耳を貸す気はないとでも言うようにかなめは投票用紙を持って一番広い会議室を目指す。かなめが扉のセキュリティーを解除すると、一行は部屋に入った。
「ここが一番静かに会議ができるだろ?」
そう言うとかなめは椅子を入ってきた面々に渡す。誠、アメリア、かなめ、カウラ、サラ。
「そこで皆さんに5つくらい例を挙げてもらってそれで投票で決めるってのが一番手っ取り早いような気がするんだけどな」
そう言うとかなめは早速何か言いたげなサラの顔を見つめた。
「合体ロボが良いわよ!かっこいいの!」
目を輝かせてサラが叫んだ。めんどくさそうな顔でかなめはサラを見つめる。だが、サラはかなめを無視してアメリアに期待一杯の視線を投げかける。
「私は最後でいいわよ」
そう言うとアメリアは隣のカウラを見つめる。アメリアに見つめられてしばらく考えた後、カウラはようやく口を開いた。
「最近ファンタジー物の小説を読んでるからそれで……」
カウラは一言意見を言ってやり遂げたと言う表情を浮かべている。その瞳が正面に座っているかなめに向かう。そこに挑発的な意図を見つけたのか、突然立ち上がったかなめは手で拳銃を撃つようなカッコウをして見せた。
「やっぱこれだろ?」
「強盗でもするの?」
突っ込むアメリアをかなめはにらみつける。
「刑事もののアクションね。うちなら法術特捜の茜ちゃんとかからネタを分けてもらえるかもしれないかもね。あっちはいろいろ捕物の経験もあるだろうし」
「そうですね……」
誠は愛想笑いでそれに相槌を入れる。
「はい、刑事物と」
そう言うとかなめの後ろのモニターに『西園寺 刑事物』と言う表示が浮かんでいた。
「えーと。ロボ、ファンタジー、刑事物と。おい、神前。お前は何がしたい」
そう言ってかなめが振り向く。誠は周りからの鋭い視線にさらされた。まずタレ目のかなめだが、彼女に同意すれば絶対に無理するなとどやされるのは間違いなかった。誠の嗜好は完全にばれている。いまさらごまかすわけには行かない。
カウラの意見だが、ファンタジーは誠はあまり得意な分野では無かった。彼女が時々アニメや漫画とかを誠やアメリアの影響で見るようになってきたのは知っているが、その分野はきれいに誠の抑えている分野とは違うものだった。
サラ。彼女については何も言う気は無かった。サラが実はロボットモノ好きはかなり前から知っていたが、正直あの暑苦しい熱血展開が誠の趣味とは一致しなかった。
そこでアメリアを見る。
明らかに誠の出方をうかがっていた。美少女系でちょっと色気があるものを好むところなど趣味はほとんど被っている。あえて違うところがあるとすれば神前は原作重視なのに対し、アメリアはコメディータッチで笑えるものに傾倒しているということだった。
「それじゃあ、僕は……」
部屋中の注目が誠に向いてくる。気の弱い誠は額に汗がにじむのを感じていた。
「煮詰まってんなアタシも混ぜろよな」
そう言って侵入してきたのはクバルカ・ラン中佐だった。セキュリティーを上司権限で開けて勝手に椅子を運んできて話の輪に加わろうとする。そんなランはしばらく机の上の紙切れをめくってみた後、かなめの操作しているモニターに目をやった。そして明らかに落胆したような様子でため息をつく。
「おい、どれもこれも……馬鹿じゃねーのか?」
かなめにランは正直な感想をもらす。すぐにいつものその見た目とは正反対な思慮深い目でかなめがいじっている端末の画面をのぞき見る。
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そんなランにかなめが挑戦的な笑みを浮かべる。ランは先月まで東和国防軍の教導部隊の隊長を務めていた人物である。かなめもそれを知っていてわざと彼女をあおって見せる。
そこでランの表情が変わった。明らかに予想していない話題の振り方のようで、おたおたと視線を彷徨わせた。
「なんでアタシがこんなこと考えなきゃならねーんだよ!」
「ほう、文句は言うけど案は無し。さっきの見事な評価の数々はただの気まぐれか何かなんですかねえ」
かなめは得意げな笑みを浮かべる。その視線の先には明らかに面子を潰されて苦々しげにかなめを見つめるランがいた。
「アタシは専門外だっつうの!オメーが仕切ればいいだろ!……義理と人情の任侠モノはこのご時世ご法度だし……」
ランの口を尖らせて文句を言う姿はその身なりと同様、小学校低学年のそれだった。
「じゃあ、仕切ると言うわけで。神前」
そう言ってアメリアは誠を見つめる。明らかに逃げ道はふさがれた。薄ら笑いを浮かべるアメリアを見ながら誠は冷や汗が流れるのを感じていた。
「それじゃあ戦隊モノはどうですか?」
破れかぶれでそう言ってみた。
「いいね!それやろう!」
サラは当然のように食いつく。
「おい、オメエのロボットの案はどうしたんだ?」
呆れたようにかなめが口を開いた。
「戦隊モノねえ。そうすると男性枠が増えるけど……島田を呼んでくるか?」
カウラのその言葉に急に表情を変えたのは意外なことにかなめだった。
「バーカ。島田の馬鹿に英雄なんて務まるわけねだろ?アイツはただのヤンキーだぜ……悪人Aとかで十分だろ」
そのかなめの言葉にアメリアが珍しくうなづく。
「キャストを決めるのは後でだろ。じゃあ……クラウゼ。貴様はどうしたいんだ?」
自信満々で口を開くアメリアだった。
「まず『萌え』と言うことでランちゃんは欠かせないわね。色は当然ピンク」
「げっ!」
ため息をつくランをめんどくさそうに一瞥したかなめはすぐにアメリアに視線を移す。
「そしてクールキャラはカウラちゃんでしょうね。ブルーのナンバー2っぽいところはちょうどいいじゃないの。それに影の薄い緑は誠ちゃん」
「僕ってそんなに影薄いんですか?」
そう言いながら誠は弱ったように苦笑いを浮かべた。さらにアメリアは言葉を続けた。
「そして黄色の怪力キャラは……当然リアル怪力のかなめちゃん!」
「てめえ、外出ろ!いいから外出ろ」
そう言って指を鳴らすかなめを完全に無視してアメリアは言葉を続けた。
「なんと言ってもリーダーシップ、機転が利く策士で、カリスマの持ち主レッドは私しかいないわね!」
「おい!お前のどこがカリスマの持ち主なんだ?ちゃんとアタシに納得できるように説明しろよ!」
叫ぶかなめを完全に無視してアメリアはどうだという表情でかなめを見つめる。
「なるほどねえ、よく考えたものだ。もし神前の意見となったら頼む。それじゃあ……それでお前は何がしたいんだ」
カウラは彼女達のどたばたが収まったのを確認すると、半分呆れながらアメリアの意見を確認した。
「それは当然魔法少女よ!」
「あのー、なんで僕を指差して言うんですか?」
アメリアはびしっと音が出そうな勢いで人差し指で誠を指しながらそう言い切った。
「おめー日本語わかってんのか?それともドイツ語では『少女』になんか別の意味でもあるのか?アタシが大学で習った限りではそんな意味ねーけどな」
淡々と呆れた表情でランが突っ込みを入れる。
「ああ、それじゃあアメリアは『神前が主役の魔法少女』と」
「あの、西園寺さん?根本的におかしくないですか?」
カウラはさすがにやる気がなさそうにつぶやくかなめを制した。
「何が?」
「少女じゃねーよな、神前は」
そう言いながらランは同情するような、呆れているような視線を誠に送る。
「じゃあ……かわいくお化粧しようよ!」
そう言って手を打つサラ。
「女装か。面白いな」
「わかってるじゃないですかかなめちゃん!それが私の目論見で……」
「全力でお断りします」
さすがに自分を置いて盛り上がっている一同に、誠は危機を感じてそう言った。
「えー!つまんない!」
サラの言葉に誠は心が折れた。
「面白れーのになあ」
ランは明らかに悪意に満ちた視線を誠に向けてくる。
「……と言う意見があるわけだが」
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「見たいわけではないが……もしかしたらそれも面白そうだな」
カウラは好奇心をその視線に乗せている。
誠はただ呆然と議事を見ていた。
「やめろよな。こいつも嫌がってるだろ!」
そう言ってくれたかなめに誠はまるで救世主が出たとでも言うように感謝の視線を送る。
「魔法少女なら中佐がいいじゃねえの?」
かなめはそう言うとランを指差した。
「やっぱりかなめちゃんもそう思うんだ」
そう言うアメリアは自分の発言に場が盛り上がったのを喜んでいるような表情で誠を見つめた。
「誠ちゃん本気にしないでよ!誠ちゃんがヒロインなんて……冗談に決まってるでしょ?」
ようやく諦めたような顔のアメリアを見て、誠は安心したように一息ついた。
「なるほどねえ……とりあえず意見はこんなものかね」
そう言うとかなめは一同を見渡した。
「良いんじゃねーの?」
ランはそう言うと目の前のプリントを手に取った。
「隊員の端末に転送するのか?」
そう言いながら手にしたプリントをカウラに見せ付ける。
「ああ、わかってるよ。とりあえずアンケートはネットで知らせるが、記入は叔父貴が用意したのを使った方が良いよな」
「そうね、自分の作ったアンケート用紙を捨てられたら隊長泣いちゃうから」
かなめの言葉にアメリアがうなづく。
「隊長はそう言うところで変に気が回るからな」
ランがそう言いながらここにいる全員にプリントを配る。
「じゃあ、神前。お前がこいつを配れ」
そう言ってランはプリントの束を誠に渡す。
「そうだよね!誠ちゃんが一番階級下だし、年下だし……」
「そうは見えないがな」
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「ひどいよかなめちゃん!私のほうが誠ちゃんよりお姉さんなんだぞ!」
「じゃあ、みんなで配りましょう!」
口を尖らせるサラを無視してアメリアは誠の手を取って立ち上がった。それに対抗するようにカウラとかなめも立ち上がる。
「おう、全員にデータは転送したぜ。配って来いよ」
かなめの声を聞くとはじかれるようにアメリアが誠の手を引っ張って部屋を出ようとする。
「慌てるなよ。それよりどこから配る?」
「決まってるじゃないの!人数の一番多い技術部整備班……島田君のところから行くわよ」
アメリアはそう言ってコンピュータルームを後にする。誠はその手にひきづられて寒い廊下に引き出された。かなめとカウラもいつものように誠の後ろに続く。そのまま実働部隊の詰め所で雑談をしている第二小隊と明石を無視してそのまま島田麾下の技術部員がたむろしているハンガーに向かった。
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少年はひたすら逃げた。突如変わり果てた街で、死を振り撒く異形から。そして逃げた先に待っていたのは絶望では無く、一振りの希望――魔剣――だった。 逃げた先で出会った大男からその希望を託された時、特別ではなかった少年の運命は世界の命運を懸ける程に大きくなっていく。
なれば〝ヒト〟よ知れ、少年の掴む世界の運命を。
銘無き少年は今より、現想神話を紡ぐ英雄とならん。
時き継幻想(ときつげんそう)フララジカ―――世界は緩やかに混ざり合う。
【概要】
主人公・藤咲勇が少女・田中茶奈と出会い、更に多くの人々とも心を交わして成長し、世界を救うまでに至る現代ファンタジー群像劇です。
現代を舞台にしながらも出てくる新しい現象や文化を彼等の目を通してご覧ください。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
織田信長 -尾州払暁-
藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。
守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。
織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。
そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。
毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。
スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。
(2022.04.04)
※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。
※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
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完結 シシルナ島物語 少年薬師ノルド/ 荷運び人ノルド 蠱惑の魔剣
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ノルドは、古き風の島、正式名称シシルナ・アエリア・エルダで育った。母セラと二人きりで暮らし。
背は低く猫背で、隻眼で、両手は動くものの、左腕は上がらず、左足もほとんど動かない、生まれつき障害を抱えていた。
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セラ親子がシシルナ島に渡ってきたのは、ノルドがわずか2歳の時だった。
彼の中で最も古い記憶。船のデッキで、母セラに抱かれながら、この新たな島がゆっくりと近づいてくるのを見つめた瞬間だ。
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*表紙絵は五月七日ヤマネコさん(@yamanekolynx_2)の作品です*
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