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消えたクラスメイト
第15話:縁結びの祠
しおりを挟む夜の山道を一歩一歩踏みしめるように登る。
周りに浮かぶ七つの光が辺りを照らしてくれるから怖くはない。あたしの周りだけ昼間のような明るさだ。
「こんなに明るいと、遠くから誰かに見つかっちゃいそうだよね」
『案ずるな。我らは其方や視る力を持つ者、人ならざる存在以外には見えぬ』
「そうなんだ」
……ってことは、今のあたしは真っ暗な山道を懐中電灯も持たずにウロつく変な人じゃない?
急いで家を出たし、御水振さんたちがいるから明かりを用意するなんて全然思いつかなかったんだもん。
普段誰も入らない山だから、本来道であるはずの場所にも背丈の高い草がいっぱい生えてるし、伸び放題の枝があちこちから飛び出している。
でも、何故かそんなに邪魔にならない。あたしが進む場所だけ草や茂みが少し避けてくれるような感じがする。それに、家から走ってきたのにそんなに疲れてない。
「もしかして、進むの助けてくれてる?」
『……補助が得意なものがいる』
「ふうん?」
御水振さんはハッキリ教えてはくれなかったけど、まだ意思の疎通が出来ない五つの光のうちの誰かがサポートしてくれてるっぽい。
「ありがとう、すごく助かる」
周りに浮かぶ光を順番に見ながらお礼を言うと、それぞれがチカチカと明滅した。あたしの言葉はちゃんと伝わっているみたい。
この山は高さが五十メートルも無い。山頂に行くだけなら簡単だけど、今回は縁結びの祠が目的地だ。小凍羅さんの先導で、半分くらい登ったあたりで斜面を平行に移動し始めた。
『お嬢ちゃん、もうすぐ着くからね~!』
「う、うん。ありがとう」
紫色の光が少し先を飛んで案内してくれている。
あと少しで祠に着く。
叶恵ちゃんは無事だろうか。
ケガしてないといいんだけど。
それに、また足元からぞわぞわが迫ってくる。橙色の光がその都度足に触れて邪気?を祓ってくれてるけど、進むにつれて、そのぞわぞわが周りの木々や空気にまで感じられるようになってきた。
空気が重い。
どんよりと濁っている感じがする。
更に進むと、急に視界が開けた。
ここだけ地面に砂利が敷き詰められていて、雑草はあまり生えていない。その真ん中へんに、小さな石造りの祠があった。ひと抱えくらいの、屋根付きの家みたいな形をしたものが台座に乗っかってて、半分以上苔に覆われている。
「これが、縁結びの祠?」
『そーだよ』
祠の周りの開けた場所には他に人影はない。
「叶恵ちゃん、いないの?」
辺りを見回しながら声を上げると、離れた茂みからガサガサっと葉っぱが揺れる音がした。
熊はいないと思うけど、野犬とかがいたらどうしよう。今更そんな心配をしても遅い。
でも、音の主は野犬じゃなくて人間だった。
「……夕月ちゃん?」
「叶恵ちゃん!」
茂みを掻き分けて現れたのは叶恵ちゃんだった。セーラー服姿で、手や足には枝や葉っぱで切ったような小さな傷がいっぱいある。
「探したよ! みんな心配してるから早く山から降りよう!!」
「でも、わたし……」
何故か叶恵ちゃんは山を降りようとはしない。それどころか、あたしの手を取ろうともしない。祠を挟んで向かい合ったままだ。
『待て。近付くな』
「御水振さん、なんで?」
あたしと叶恵ちゃんの間に青色の光が割り込む。
『気付かぬか。その娘は既に魅入られている』
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