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消えたクラスメイト
第16話:禍ツ神
しおりを挟むやっと叶恵ちゃんを見つけたのに、御水振さんは近付くことを許さなかった。
「な、なんで? せっかく会えたのに」
『分からぬか。我らの光は普通の人間には見えぬ。だが、その娘はこの闇の中で其方の姿が見えている』
「え……」
そうだ。御水振さんたちの光が見えてないなら、ここは真っ暗だ。声だけであたしだと判別出来たとしても、立っている場所までは分からないはず。
──でも、叶恵ちゃんの目は真っ直ぐあたしを見据えている!
『……ククッ、見破られたか』
叶恵ちゃんが体を揺らしながら嗤う。声に耳障りなノイズが混じってる。そして、苔まみれの祠に片手を置き、こちらを睨みつけてきた。目が赤く光って見える。
それと同時に、周辺の空気が一気に重くなった。足がすくみそうになるほどの重圧を感じる。
『既に禍ツ神に魅入られている。早急に対処せねばその娘の命はないだろう』
「うええええっ!?」
対処ってどうするの?
あたしには何にも出来ないよ!
居場所は分かったし、大人のひとを呼んできたらなんとかしてくれるかな。
『時間が経てば経つほど禍ツ神はあの女の子の肉体と精神を蝕んでいくよ~』
迷う気持ちを読んだのか、小凍羅さんがあたしの顔の周りをゆっくり飛びながら話し掛けてきた。もし表情が見えたなら、きっと彼は笑っているだろう。
あたしがどう動くか見ているんだ。
胸がドキドキする。
緊張で息がうまく出来ない。
手も足も震えている。
でも、叶恵ちゃんを置いて逃げる選択肢はない。
「あたしが身代わりになる」
『それだけはならぬ!』
「でも、」
『ははっ、やっぱね~。言うと思った!』
慌てる御水振さんと、楽しそうに笑う小凍羅さん。二人が言い合う声を聞きながら、あたしは祠に歩み寄った。
「叶恵ちゃんの代わりに、あたしに取り憑いて」
『身代わり、とな? ……ククッ。この娘は何故ここに来たと思う? 《おまえを排除しろ》と願いに来たのだぞ?』
「……っ!」
禍ツ神の言葉に唇を噛む。
叶恵ちゃんはそんなにあたしが憎かった?
そんなにあたしが邪魔な存在だったの?
『そのような願掛けをした者など捨て置け。すぐ山を降りて家に帰るのだ。其方の兄が帰りを待っているのだぞ!』
「……御水振さん」
耳元で叫ぶように訴える青色の光。
彼は優しい。
でも、あたし以外には厳しい。
だから、彼には頼れない。
「叶恵ちゃんが取り憑かれてから結構時間が経ってるんだよね。このままにしておくより、一度あたしに取り憑かせた方が時間に余裕が出来ると思わない?」
日付が変わるまでにあたしが戻らなければ、お兄ちゃんが警察に通報してくれる。そうすれば、大人のひとが見つけてくれるはずだ。
無理やり口の端をあげて笑顔を作って見せると、青色の光が落ち込むように明るさを落とした。それに対して、紫色の光は愉快そうに辺りを勢い良く飛び回っている。
『お嬢ちゃんはほんっとに変わんないね~!』
いつの誰と比べてるのかわからないけど、あたしの言葉は小凍羅さんの予想した通りだったらしい。
『それでこそボクたちのお嬢ちゃんだ!!』
その声に呼応するように、他の六つの光があたしと禍ツ神の間に割り込んだ。
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