人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ

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第36話 王子様と行く!とんでも王宮探検

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「ほら、こっちだよ~」
「え……あれ? ど、どこいくですか?」
「決まってるでしょ! もちろん、おうきゅうたんけん!」

いいい、いつの間にお散歩から王宮探検へ? あれえ?

「ででで、でもぼくっ――」
「ねぇ、おちびちゃん」

ななな、なんですかぁぁ? お顔グググイって、近いぃ。

「僕が、特別に――」

と、とくべつっ?

「秘密の通路を教えてあげる~」
「えっ! ひみつのつうろっ!?」

えっ! ええっ!? なにそれ?
それはさすがに気になるやつぅぅ!!

「昔から王族専用で使われてきた、秘密の通路があるんだ~」
「えっ、そんなものがっ!」

ハロルドさま、ニッコニコがすごい。

「おちびちゃん……知りたくない?」
「――っ!」

こ、これはまさか、なんかのワナっ!?
王族の秘密を、知ろうとするなんて不届きな考えがないかとか……まさかまさかっ。

「誰にも内緒で、君にだけ教えてあげる~」
「ひぃぃぃぃぃ!?」

こわいっ! それはなんか、とってもワナのかおり!

「ぼ、ぼくやっぱり、えんりょし――」
「さ、こっちだよー」

えええっ、まさかの拒否権なしっ!?

「ほら、はやくはやく~」
「あわわわ」

足、もつれちゃうから! ゆっくり、ゆっくりね!

**

「はい、到着~」
「こ、ここが……」

あわわ、っとなってる間に連れてこられたのは、うーんと背の高い扉の前。

「いい、開けるよ?」
「あ、ちょっとまっって! やっぱ――」
「いざ、王族の秘密の通路へ~」

ぼくがそんなところに入ったらダメー! 普通に有罪っ! ストップストップ!

――ギギギ。

「あ……」

開いちゃった……。

「少し暗いから、気をつけてね~」

ハロルドさまはどっかすみっこの方から、すっとランプを取り出して灯りをつける。
ど、どこにそんなものが……? なんかぁ、手慣れてる感じぃ?

「わ、ずっとつづいてる……!?」
「そう、ずーっとまっすぐ、秘密の出口まで続いてるんだ~」
「ひみつの出口! すごいっ」

ハロルドさまが、ぎゅ、とぼくとてをつなぐ。

「さ、いくよ~」
「あ、あのあの! でも、ぼくは王族じゃないからっ!」

こここ、これ以上はダメ! ぜったい怒られる……っていうか、有罪!

「大丈夫。僕たちだけの秘密だよ」
「えっえっ」
「なぁにぃ~? 僕のこと、信じてくれないの~?」
「ち、ちがっ!」

そ、その言い方はずるっこじゃないですかぁ……信じてないっていうわけ、ないじゃないですかぁ……。

「そ? じゃ、行くよ~」
「ええ……」

本当に、ほんとのほんとに大丈夫かなぁ……。

「で、でも――」
「はーい、気をつけてねー」

あわわ、て、手を引っ張らないでね! ゆっくり、ゆっくりね!

「はわ、こ、これ、どこにいくんですか!?」
「ふふーん、ナイショ~」

な、なにぃぃ、もう! 思わせぶりがすごい。

「ぼ、ぼくおこられない……?」

ほら、叱られるとか、何かの罪に問われるとか、それかサクッと処されるとか。

「大丈夫大丈夫~」

ほ、ほんとかな~。

「いいから~、手、はなさないでね~」
「は、はいぃ」

と、とりあえず言うことは聞いておくしかないぃ……。だってもう、秘密の通路に入っちゃったしぃぃ。ふえぇぇ……。

「ど、どれくらい歩く、ですか……?」
「う~ん、もうちょっとかな~」
「もうちょっと……」

あまり情報を得られなかった。
どこに行くのかなぁ、これ。無事だといいなぁ、ぼく……。

なぜかノリノリのウキウキなハロルドさまに手を引かれて、おそるおそる……ぺたりぺたり、歩く。

「きゃっ!」
「ん? どうしたの~?」
「な、なんか首のとこが今! ヒヤって! ヒヤってしまた!」
「あ~、風が入るんだよ、ちょっとね」

こここ……こわい。おば、おばけとかじゃ……。
だ、だいじょうぶ? 誰も……っていうか、なにもいない?

「なーに、キョロキョロしてるの~?」
「いえ、な、なんでもっ」
「ほら、もうちょ~っとだからね」

***

「あっ! あれ、ちょっと明るいですっ!」
「うん。出口が見えてきたね~」

ほそーい光が向こうの方からちょっと見える。

「もうすぐだよ~」

どんどんほそい光が近づいて――

「はーい、ここから出るからね~」

古い小さな扉が見える。さっきの入口のおっきな扉とはべつものだ。

「い、いったいどこに……!?」

おもわず、手にぎゅっと力が入るぅ。

「はい、とうちゃ~く」

そこにあったのは――
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