人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ

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第72話 おいしい正式採用!

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今日も、鍛錬場でガシーン!のカッコいい鍛錬を見学。の武器の倉庫のとこで、ボロボロがピカピカになるスゴ技を見せてもらって、ちょっとだけぼくも、ゴシゴシやらせてもらった。

うーん、でもなかなか、ピカピカ!とはならない。
ボロボロがピカピカになりかけのやつをやらせてもらって、ちょいピカになったくらい。

やっぱり、すんごいワザみたいのは、ぼくがちょこっとやって出来るわけないやつ。修業が必要。

でも、今日のお散歩もとーっても充実してたからぜんぜんよし。

あとは、お部屋に帰って――


「あれ? あれれれれ? なんか、おいしいにおいがしてきたっ」

お散歩終わりのはずなのに、いいにおいをたどって、足が向いちゃう。
くんくんしながらたどり着いたのは――

「んん? ここってもしかしてぇ、お菓子の工房のそとがわ!?」

窓の向こうに、料理人さんの帽子や白衣の人がたくさん。

「お菓子の工房ってぇ、外からだとここだったんだねー」

で、どのお菓子の工房だろ? えっとえっと、このいいにおいは――

「あ! サファさま!」
「えっ」

窓からぴょこんと顔を出したのは、あのときの、
「焦がしバターさん!」

「え……あ、はい。そっか、名乗っていませんでしたね、失礼しました。ぼくは焼菓子工房の見習い料理人、バタールといいます」
「わ、バターかフランスパンみたいな名前!」
「え?」

「あ、ううん。ぼくはサファですっ!」
「はい、ぞんじてます」

「だ、だよねぇ」
名前呼んでくれてたもんね、こないだも。

「あ、そうだぁ! どうなった? どうなったの? 焦がしレモンバターのクッキー!」
「はい! それ、それなんですけどっ!」

バターさん、めっちゃめちゃ前のめり、あわわ、窓から落ちないでよぉ?

「あのあと料理長に話したら、試食してもらえて、それでそれで――」

すごい、目がキランキランしてるっ。

「それで、これはいい、新しいって言ってもらえて!」
「わ、ほんとに!?」

「はい! 焼き方とか形を調整して、それで――」
「え? え? それで?」

「正式に、王宮のおかしとして認定されたんですっ!」
「わああああ! すごぉぉい! すごいね? やたったね!」

「はい! はい! ほんと、サファさまのおかげですっ!」
「えー、ぼくはぁ、おいしいからおいしいよっていっただけだよぉぉ」

「いいえ! サファさまが言ってくださらなかったら、あのまま失敗としてちょっと怒られて終わりだったんで」

「わーー、じゃあ、捨てなくてよかったねえ? わーー」

すごぉぉぉい! これは、ぼくまで嬉しいやつ! 思わずぴょんぴょんだ。
ハイタッチも求めちゃう!

「よかったねぇぇ、バターさん! おめでとおお!」
「は、はい! ありがとうございますっ!」

バターさんは、両手をエプロンでゴシゴシしてから、遠慮がちにハイタッチしてくれる。

「じゃあじゃあ、こんど、ぼくも、焦がしバターのクッキー食べられるかな?」
「はい! もちろんです! お届けしますから、ぜひ召し上がってくださいっ!」

わわわ! わわわわ! すごぉぉい!

「やったーー! 楽しみにしてるね!」
「はいっ! ほんっとに、ありがとうございました。また遊びに来てくださいっ!」
「うん。ぜったいいくーー! じゃあ、おかしづくり、がんばってぇ!」

バイバイして侍女さんのところに戻る。振り返ると、バターさんはバイバイしたり、お辞儀したり忙しそう。

「ふふふ、焦がしバターのクッキーたのしみぃ」

帰り道は、いつも以上にウキウキだ。



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