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57 夫婦喧嘩
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その日の晩餐は剣呑な空気のまま始まり、終始だれも喋らなかった。マリベルはアルマから事情をきいたのか、なにを言うこともなくシーナの給仕をしている。
シーナはむっつりと押し黙る夫を見た。
(なによ。わたしのときはカンカンに怒っていたくせに、自分の事になったらもういいだなんて……)
レクオンの気持ちが分からないでもない。今さら母親が自殺してしまった原因なんて知っても心の傷が治るわけではないし、「手紙を見たぐらいで」と軽んじる貴族がいないとは言い切れないのだ。
でも、だからといって黙っている訳にはいかない。何しろ犯人は国王を騙ってレクオンの母を死に追いやったのだから、これは殺人も同然である。絶対に許せない。エイメルダ妃の死から何年たとうと、許されるものではない。
シーナはバザーで出会った不思議な男性のことは忘れることにした。いや、忘れるというより、レクオンに報告するのはやめたのだ。
あの男性が本当にギルートの人間だったかどうかも怪しいし、今のレクオンに「ギルートも戦争を望んでいないようですよ」と報告しても効果がないような気がする。男性も言っていたが、レクオンにもっとも身近な人間が彼を奮い立たせるしかないのだ。それはシーナ自身である。
寝室に戻ったシーナは、さっさと寝ようとするレクオンの体を揺さぶった。
「レクオン様、あの手紙をどこにやったんですか」
「まだ言ってるのか。あんなもの、もう捨て――」
「捨てちゃったんですか!?」
シーナは慌てて寝室のくず籠を見た。入ってない。他の部屋だろうか? おお慌てで寝室を出ようとすると、レクオンも慌てた声を出す。
「嘘だ! すまん、こっちにある」
レクオンは隣の執務室に入り、机の引き出しから例の手紙を出した。良かった、ちゃんとあった。ホッとして手紙を取ろうとしたら、ひょいと高い位置に手紙が動く。掴もうとするたびに、ひょいひょいと手紙が逃げた。レクオンが動かしているのだ。
「ちょ、ちょっと……レクオン様!」
「手紙をどうする気だ?」
「マシュウ様に頼んで、誰が書いたものか調べます」
「やっぱりか……そんな事はしなくていい」
「じゃあレクオン様はゆっくり休んでいてください。わたし達で勝手に調べますから」
「もういいって言ってるだろ!」
「よくないでしょ!」
大声を出したレクオンに向かって、シーナも怒鳴り返した。シーナが怒鳴ったのは初めてで、レクオンは驚いたように目を見張る。
「あなたは前に、わたしに憎んでもいいはずだと言ったじゃないですか。あなただって憎んでいいんです。むしろ怒るべきです! お母さまの尊厳を、誰かが踏みにじったんですよ!?」
「でもきみは、俺がケルホーン伯を八つ裂きにしてやりたいと言ったらもういいと――」
「あなたとわたしじゃ、背負ってるものが全然ちがうでしょ! 義父はほっといても大した害はありませんけど、ダゥゼン公爵は大勢の人を死なせるかも知れないんです!」
「…………」
レクオンは何か言いかけたが、口をつぐんで俯いた。シーナの胸がちくちくと痛む。レクオンにとって古傷をほじくり返されるのはつらいことだろう。ほっといて欲しいと思う気持ちは分かる。でもこの機会を逃したら、もうダゥゼン公爵を止める方法はないかもしれない。
(怒って、レクオン様。つらいだろうけど、諦めないでください……!)
レクオンが怒りと悔しさを糧に、何とか自分を奮い立たせてきたのは知っている。絶望によってそれらを封じ込めたことも。
今の彼は、怒ることに意義を見出せないのだ。怒ったところで自分に出来ることはないと諦めてしまったのだろう。
シーナは祈るような気持ちでレクオンを見つめたが、彼の顔が上がることはなかった。どうしてよ。お母さまが誰かに殺されたというのに、まだ黙って耐えるつもりなの?
シーナのなかに長いあいだ蓄積された怒りが、ふつふつと湧き上がってくる。
「れ、レクオン様が……こんなに不甲斐ない方だとは、思いませんでしたっ!」
本当はこんなこと言いたくない。口が勝手に動き、潤んだ目から涙が出てくる。シーナは怒りに身を任せた。
「シーナ……」
「わたしにだって、あなたの苦しみは分かってるつもりです。でもいま諦めたら、戦争が始まっちゃうかもしれないのよ! たくさんの人が死ぬかもしれないのに……。きっとお姉さまだって、今のレクオン様を見たらがっかりすると思います!」
叫んだ瞬間、部屋にひゅうっと冷たい風が吹き込んだ。風はロウソクの炎を揺らし、明かりをひとつ消してしまう。急に部屋が暗くなった。
「な、なんだ……? 窓も開いてないのに」
「まさか……お姉さま? ああ、お姉さまが出てきてくれたんだわ! きっと怒ってるんですよ!」
「ば――」
レクオンは「馬鹿な」と言いたかったのだろう。しかし口は「ば」の状態で固まり、見開かれた目がシーナの首のあたりを見ている。
「シーナ……。首の、指輪が」
「え?」
シーナの鎖骨のあたりで、翡翠の指輪が怪しい光をはなっていた。光が明滅するたびに部屋に風がふき、ロウソクの炎を揺らす。
「やっぱりそうだわ! お姉さまもレクオン様に何か言いたいんですよ」
「そんな……」
レクオンが呆然と呟いたとき、もう一つロウソクが消えた。部屋がさらに暗くなる。
「分かった! ルターナ、もうやめてくれ。シーナの邪魔をしないと誓うから……!」
焦ったように叫ぶと、ようやく妙な風はおさまった。ルターナの指輪も嘘のように、ただの翡翠に戻ったようだ。
「なんだったんだ、今のは……」
「わたし、何もしてませんからね」
「分かってるよ。あんな事は人間には出来ないから……。はは、まさかもう一度ルターナに会えるなんてな……。しかも彼女は俺を見張ってるわけか」
「そうですよ。また不甲斐ないこと言ったら、怒って出てきてくれるかも」
「嬉しそうに言わないでくれ……」
レクオンはげっそりした顔で呟いたが、彼だってどことなく嬉しそうだ。満足のいく結果が得られたので、シーナは上機嫌でベッドに横たわる。
あぁでも、まだ夫に伝えたい事があった。もうこの際だから、勢いに任せて言ってしまおう。
「レクオン様」
「なんだよ、もう手紙の件については納得したぞ。俺も調べてみようと思ってるから……」
「そうじゃなくて、子供のことです」
寝ようとしていたレクオンは、ぴたりと動きをとめて妻を見た。なにを言い出すのかと警戒しているようだ。
「あなたとの間にどんな子供が生まれても、わたしはうんと可愛がって立派に育ててみせますから。じゃあ、おやすみなさい!」
捨て台詞のようにさけんで、ばふっと毛布をかぶる。ものすごく恥ずかしいことを言ってしまった。どきどきして眠れないかも――と思いきや、初めて激怒した疲れが出ていつの間にか寝てしまった。
「この状況で寝るのか……」
呆れたようにいうレクオンの声も、熟睡する妻の耳には届かなかった。
シーナはむっつりと押し黙る夫を見た。
(なによ。わたしのときはカンカンに怒っていたくせに、自分の事になったらもういいだなんて……)
レクオンの気持ちが分からないでもない。今さら母親が自殺してしまった原因なんて知っても心の傷が治るわけではないし、「手紙を見たぐらいで」と軽んじる貴族がいないとは言い切れないのだ。
でも、だからといって黙っている訳にはいかない。何しろ犯人は国王を騙ってレクオンの母を死に追いやったのだから、これは殺人も同然である。絶対に許せない。エイメルダ妃の死から何年たとうと、許されるものではない。
シーナはバザーで出会った不思議な男性のことは忘れることにした。いや、忘れるというより、レクオンに報告するのはやめたのだ。
あの男性が本当にギルートの人間だったかどうかも怪しいし、今のレクオンに「ギルートも戦争を望んでいないようですよ」と報告しても効果がないような気がする。男性も言っていたが、レクオンにもっとも身近な人間が彼を奮い立たせるしかないのだ。それはシーナ自身である。
寝室に戻ったシーナは、さっさと寝ようとするレクオンの体を揺さぶった。
「レクオン様、あの手紙をどこにやったんですか」
「まだ言ってるのか。あんなもの、もう捨て――」
「捨てちゃったんですか!?」
シーナは慌てて寝室のくず籠を見た。入ってない。他の部屋だろうか? おお慌てで寝室を出ようとすると、レクオンも慌てた声を出す。
「嘘だ! すまん、こっちにある」
レクオンは隣の執務室に入り、机の引き出しから例の手紙を出した。良かった、ちゃんとあった。ホッとして手紙を取ろうとしたら、ひょいと高い位置に手紙が動く。掴もうとするたびに、ひょいひょいと手紙が逃げた。レクオンが動かしているのだ。
「ちょ、ちょっと……レクオン様!」
「手紙をどうする気だ?」
「マシュウ様に頼んで、誰が書いたものか調べます」
「やっぱりか……そんな事はしなくていい」
「じゃあレクオン様はゆっくり休んでいてください。わたし達で勝手に調べますから」
「もういいって言ってるだろ!」
「よくないでしょ!」
大声を出したレクオンに向かって、シーナも怒鳴り返した。シーナが怒鳴ったのは初めてで、レクオンは驚いたように目を見張る。
「あなたは前に、わたしに憎んでもいいはずだと言ったじゃないですか。あなただって憎んでいいんです。むしろ怒るべきです! お母さまの尊厳を、誰かが踏みにじったんですよ!?」
「でもきみは、俺がケルホーン伯を八つ裂きにしてやりたいと言ったらもういいと――」
「あなたとわたしじゃ、背負ってるものが全然ちがうでしょ! 義父はほっといても大した害はありませんけど、ダゥゼン公爵は大勢の人を死なせるかも知れないんです!」
「…………」
レクオンは何か言いかけたが、口をつぐんで俯いた。シーナの胸がちくちくと痛む。レクオンにとって古傷をほじくり返されるのはつらいことだろう。ほっといて欲しいと思う気持ちは分かる。でもこの機会を逃したら、もうダゥゼン公爵を止める方法はないかもしれない。
(怒って、レクオン様。つらいだろうけど、諦めないでください……!)
レクオンが怒りと悔しさを糧に、何とか自分を奮い立たせてきたのは知っている。絶望によってそれらを封じ込めたことも。
今の彼は、怒ることに意義を見出せないのだ。怒ったところで自分に出来ることはないと諦めてしまったのだろう。
シーナは祈るような気持ちでレクオンを見つめたが、彼の顔が上がることはなかった。どうしてよ。お母さまが誰かに殺されたというのに、まだ黙って耐えるつもりなの?
シーナのなかに長いあいだ蓄積された怒りが、ふつふつと湧き上がってくる。
「れ、レクオン様が……こんなに不甲斐ない方だとは、思いませんでしたっ!」
本当はこんなこと言いたくない。口が勝手に動き、潤んだ目から涙が出てくる。シーナは怒りに身を任せた。
「シーナ……」
「わたしにだって、あなたの苦しみは分かってるつもりです。でもいま諦めたら、戦争が始まっちゃうかもしれないのよ! たくさんの人が死ぬかもしれないのに……。きっとお姉さまだって、今のレクオン様を見たらがっかりすると思います!」
叫んだ瞬間、部屋にひゅうっと冷たい風が吹き込んだ。風はロウソクの炎を揺らし、明かりをひとつ消してしまう。急に部屋が暗くなった。
「な、なんだ……? 窓も開いてないのに」
「まさか……お姉さま? ああ、お姉さまが出てきてくれたんだわ! きっと怒ってるんですよ!」
「ば――」
レクオンは「馬鹿な」と言いたかったのだろう。しかし口は「ば」の状態で固まり、見開かれた目がシーナの首のあたりを見ている。
「シーナ……。首の、指輪が」
「え?」
シーナの鎖骨のあたりで、翡翠の指輪が怪しい光をはなっていた。光が明滅するたびに部屋に風がふき、ロウソクの炎を揺らす。
「やっぱりそうだわ! お姉さまもレクオン様に何か言いたいんですよ」
「そんな……」
レクオンが呆然と呟いたとき、もう一つロウソクが消えた。部屋がさらに暗くなる。
「分かった! ルターナ、もうやめてくれ。シーナの邪魔をしないと誓うから……!」
焦ったように叫ぶと、ようやく妙な風はおさまった。ルターナの指輪も嘘のように、ただの翡翠に戻ったようだ。
「なんだったんだ、今のは……」
「わたし、何もしてませんからね」
「分かってるよ。あんな事は人間には出来ないから……。はは、まさかもう一度ルターナに会えるなんてな……。しかも彼女は俺を見張ってるわけか」
「そうですよ。また不甲斐ないこと言ったら、怒って出てきてくれるかも」
「嬉しそうに言わないでくれ……」
レクオンはげっそりした顔で呟いたが、彼だってどことなく嬉しそうだ。満足のいく結果が得られたので、シーナは上機嫌でベッドに横たわる。
あぁでも、まだ夫に伝えたい事があった。もうこの際だから、勢いに任せて言ってしまおう。
「レクオン様」
「なんだよ、もう手紙の件については納得したぞ。俺も調べてみようと思ってるから……」
「そうじゃなくて、子供のことです」
寝ようとしていたレクオンは、ぴたりと動きをとめて妻を見た。なにを言い出すのかと警戒しているようだ。
「あなたとの間にどんな子供が生まれても、わたしはうんと可愛がって立派に育ててみせますから。じゃあ、おやすみなさい!」
捨て台詞のようにさけんで、ばふっと毛布をかぶる。ものすごく恥ずかしいことを言ってしまった。どきどきして眠れないかも――と思いきや、初めて激怒した疲れが出ていつの間にか寝てしまった。
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