【完結】知られてはいけない

ひなこ

文字の大きさ
48 / 62
十六・準の目的

準の目的(2)

しおりを挟む
 食事の後、わたしは準と図書館としょかんへと向かった。
 紗英(さえ)がいない一瞬いっしゅんをついて、二人だけで。本当は平等びょうどうに話すべきだろう。でもまず準に知らせたかった。そして一緒いっしょに考えてほしかった。これからどうすべきかを。

「図書館か。おれは結局けっきょくずじまいだったな」
 一瞬、準が図書館の入り口に入れるのか、不安ふあんになった。
 二日目から、図書館組の六人以外は入れなくなったと聞いていたからだ。
 でも、わたしの後につづいたせいか準はあっさり入れた。
最初さいしょの日、わたしをふくめ六人がここに集まった。それからは、お互いに協力きょうりょくしあうことを約束やくそくした」
 もう、みんないなくなってしまったけれど。

 あたりを見回みまわして二人で入る。毎日、恩田桜(おんだ・さくら)がいた、パソコンの部屋へと。
「見てほしいものがあります」わたしはパソコンの電源でんげんを入れる。
 パスワードを入力すると、今日の分のファイルが開いた。
 そこにはめずらしく表がっていた。
 どうしたことだろう。毎日、警告けいこくめいた文章ばかりだったのに。”最近のゲーム参加者さんかしゃ優勝者ゆうしょうしゃ資料しりょう”と、あった。
「何だこれは?」
「いえ。今日は何だか変。今まで、こんなのが出たことなかった」

 表は五ページくらいあった。日付が入っていて、過去かこゲームに関わった生徒せいとの名前が大量たいりょうならべてあった。準の目が、ある一行いちぎょう釘付くぎづけになる。

「……第二十回分優勝者ゆうしょうしゃ。加川円(かがわ・まどか)」

 準の読み上げる声が、途中からおこって聞こえた。
「円って。これ、まどか、って読むんですか?」

 円と言えば、わたしたちを苦しめているあのゲームマスターの円。
 えん、と名乗なのっていたはずだが。そしてこの人の名字みょうじは。
「おれの妹だ。先月、突然行方不明ゆくえふめいになった。部屋にはなぞ招待状しょうたいじょうを残して」
 わたしは、心臓しんぞうがどくん、とね上がるのを感じた。
両親りょうしんも、おれも手をくして円を探したが、見つからなかった。そのうち、おれに招待状しょうたいじょうが届いた。円が残したのと同じ、黒い奇妙きみょう封筒ふうとう。もうこれにけるしかなかった」
 そして、円の言うとおりにゲームを進めてもきっと……わたしや準のねがいはかなわない。
「だけど、妹は見つからない。このままゲームが終わってしまうなら、何のためにおれは来たんだ?だったら、もうマスターの円をどうにかするしかないだろう?」
 準の声には、苦しみと怒りとがざっていた。

 準がここにいる理由りゆう。それは……。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】共生

ひなこ
ミステリー
高校生の少女・三崎有紗(みさき・ありさ)はアナウンサーである母・優子(ゆうこ)が若い頃に歌手だったことを封印し、また歌うことも嫌うのを不審に思っていた。 ある日有紗の歌声のせいで、優子に異変が起こる。 隠された母の過去が、二十年の時を経て明らかになる?

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

女子切腹同好会

しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。 はたして、彼女の行き着く先は・・・。 この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。 また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。 マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。 世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。

意味が分かると怖い話【短編集】

本田 壱好
ホラー
意味が分かると怖い話。 つまり、意味がわからなければ怖くない。 解釈は読者に委ねられる。 あなたはこの短編集をどのように読みますか?

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

処理中です...