【完結】元つく二人の珍道中!〜(元)魔王と聖女の全国行脚美食旅〜

白(しろ)

文字の大きさ
73 / 105
第三章 東の国の大きなお風呂編

※重なる熱

しおりを挟む
 唇が触れて、角度を変えて、今度は少し深くなる。ただ唇同士が触れ合っているだけなのに、そこから生まれる感覚にステラの息は上がる。

「っ、ふ…」

 頭の中にぼんやりと「キースにはこんな触られ方していない」とそんな考えが浮かんだけれど、そんなものは些末なことだとステラはリヴィウスの温もりを受け入れた。だって、ただ唇が触れ合っているだけなのにこんなにも嬉しい。

「ステラ、口を開けろ」
「…ぁ…っ、ん…ぅ…っ」

 言われた通り口を開けるとまた唇が重なって、そこからリヴィウスの舌が入り込む。唇も手も冷たいのに舌は熱くて、それがステラの舌を撫でた途端また痺れるような感覚が襲って鼻に掛かったような声とも吐息とも付かないものが漏れる。
 リヴィウスの舌が、唇が、手が、ステラの体に触れる。いつの間にか整えられていた服はまた乱されて、汗ばんだ肌をリヴィウスのほのかに温かな手が撫でていく。これもまたただ触れられているだけ。
 それなのに全身を支配するのは言いようが無い程の感覚だった。

「どこまで触られた?」

 胸を唇でなぞっていたリヴィウスの低い声にステラは弱々しく首を振った。

「わか、りません…」

 記憶の中にあるのは上半身を撫でられたということだけ。けれど眠っている間に何をされたのかステラは知らない。だから首を振ったのに、リヴィウスはまた不機嫌そうに息を吐いた。

「リヴィ」
「違う、ステラにじゃない」

 いつの間にかリヴィウスも服を肌蹴ていてふとした拍子に肌が触れ合い安堵とむず痒くなるような感覚をステラに植え付けていく。それに熱っぽい息を吐けば、それごと飲み込まれるみたいに唇が重なって、今度は大きな手が胸を這った。
 大きな手が、その手のひらがステラの胸の尖りを掠める。瞬間走った刺激に堪らず唇を離すけれど、それを許さないと言わんばかりにまた塞がれる。くぐもった声が響いて、リヴィウスの手がそこに触れる度にステラの体は魚みたいに跳ねて、全身の血液が沸騰しそうなくらい熱くなる。

「リヴィ…っ」
「ん?」

 普段そんな優しい声なんて出さないくせに、さっきまで不機嫌だったくせに、今のリヴィウスはご機嫌な様子でステラを見つめている。僅かに口角を上げて、雪のように白い髪の間から見える目は柔らかく細められていた。
 その表情にステラの胸がきゅうっと狭くなる。

「…っ、ぁ、リヴィ、そこは…っ」
「こうすれば早く楽になれる。大丈夫だ」

 リヴィウスの手がステラの中心に触れる。自分以外の誰も触れたことがないその場所にリヴィウスが触れる、そう思っただけで堪らない気持ちになるし、恥ずかしくてしょうがなかった。けれど体が熱くて仕方がなくて、リヴィウスの体温が心地良くて、ステラは強い拒否も出来ず彼の温度を受け入れた。
 聞いたことがない自分の声だった。自分が自分じゃなくなるような感覚がして、必死にリヴィウスに縋ったけれど、どうしてだかこんな時にはステラのお願いを聞いてくれなくて、むしろ動きがもっと執拗なものになる。
 いやらしい水音が聞こえて、自分の呼吸の乱れる音が重なる。それに耳を塞ぎたくなるような声が混ざって、どんどん視界が白に染め上げられていく。

「ゃ、いや、いやですリヴィ…っ、やだ、やだっ」
「大丈夫、大丈夫だステラ」

 何にも大丈夫なんかじゃない。こんなの知らない。ステラは子供のように首を横に振る。目からは涙だって溢れていた。けれどリヴィウスは止まってくれなくて、やがて全身を焼くような感覚が臨界点に達し、ステラは声にならない声を上げながら腰を跳ねさせた。
 全身を倦怠感と、それを上回る熱が包む。ステラはここに来てようやく媚薬のなんたるかを理解した気がした。もう何もしたくないと思えるほど体は疲弊しているのに、自分でも理解できない体の奥側からドロドロとした熱が際限なく生まれる。

 しかもその熱が何を望んでいるのかわかってしまった。
 まだ僅かに働いてくれる頭で状況を整理して、ステラは思わずリヴィウスを睨んだ。見下ろす人物は何食わぬ顔で見てきている気がする。そんな曖昧な表現になってしまうのは止まらない涙のせいで視界が滲んでいるからだ。

「文句なら後で聞くと言っただろう」
「……ばか」

 多分言わないとした自分の発言を早々にステラは破った。それに珍しくリヴィウスがわかりやすく笑っている気がしたけれど、その表情は確認出来なかった。それはステラが泣いているのもあるが、また距離が無くなったからだ。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新! Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

劣等生の俺を、未来から来た学院一の優等生が「婚約者だ」と宣言し溺愛してくる

水凪しおん
BL
魔力制御ができず、常に暴発させては「劣等生」と蔑まれるアキト。彼の唯一の取り柄は、自分でも気づいていない規格外の魔力量だけだった。孤独と無力感に苛まれる日々のなか、彼の前に一人の男が現れる。学院一の秀才にして、全生徒の憧れの的であるカイだ。カイは衆目の前でアキトを「婚約者」だと宣言し、強引な同居生活を始める。 「君のすべては、俺が管理する」 戸惑いながらも、カイによる徹底的な管理生活の中で、アキトは自身の力が正しく使われる喜びと、誰かに必要とされる温かさを知っていく。しかし、なぜカイは自分にそこまで尽くすのか。彼の過保護な愛情の裏には、未来の世界の崩壊と、アキトを救えなかったという、痛切な後悔が隠されていた。 これは、絶望の運命に抗うため、未来から来た青年と、彼に愛されることで真の力に目覚める少年の、時を超えた愛と再生の物語。

裏乙女ゲー?モブですよね? いいえ主人公です。

みーやん
BL
何日の時をこのソファーと過ごしただろう。 愛してやまない我が妹に頼まれた乙女ゲーの攻略は終わりを迎えようとしていた。 「私の青春学園生活⭐︎星蒼山学園」というこのタイトルの通り、女の子の主人公が学園生活を送りながら攻略対象に擦り寄り青春という名の恋愛を繰り広げるゲームだ。ちなみに女子生徒は全校生徒約900人のうち主人公1人というハーレム設定である。 あと1ヶ月後に30歳の誕生日を迎える俺には厳しすぎるゲームではあるが可愛い妹の為、精神と睡眠を削りながらやっとの思いで最後の攻略対象を攻略し見事クリアした。 最後のエンドロールまで見た後に 「裏乙女ゲームを開始しますか?」 という文字が出てきたと思ったら目の視界がだんだんと狭まってくる感覚に襲われた。  あ。俺3日寝てなかったんだ… そんなことにふと気がついた時には視界は完全に奪われていた。 次に目が覚めると目の前には見覚えのあるゲームならではのウィンドウ。 「星蒼山学園へようこそ!攻略対象を攻略し青春を掴み取ろう!」 何度見たかわからないほど見たこの文字。そして気づく現実味のある体感。そこは3日徹夜してクリアしたゲームの世界でした。 え?意味わかんないけどとりあえず俺はもちろんモブだよね? これはモブだと勘違いしている男が実は主人公だと気付かないまま学園生活を送る話です。

追放された味見係、【神の舌】で冷徹皇帝と聖獣の胃袋を掴んで溺愛される

水凪しおん
BL
「無能」と罵られ、故郷の王宮を追放された「味見係」のリオ。 行き場を失った彼を拾ったのは、氷のような美貌を持つ隣国の冷徹皇帝アレスだった。 「聖獣に何か食わせろ」という無理難題に対し、リオが作ったのは素朴な野菜スープ。しかしその料理には、食べた者を癒やす伝説のスキル【神の舌】の力が宿っていた! 聖獣を元気にし、皇帝の凍てついた心をも溶かしていくリオ。 「君は俺の宝だ」 冷酷だと思われていた皇帝からの、不器用で真っ直ぐな溺愛。 これは、捨てられた料理人が温かいご飯で居場所を作り、最高にハッピーになる物語。

高貴なる生徒会長は、今日も副会長を慈しむ  ~学園の貴公子と没落貴族のすれ違い救済ライフ~

夕凪ゆな
BL
「来週の木曜日、少しだけ僕に時間をくれないか」  学園の太陽と慕われるセオドリックは、副会長レイモンドに告げた。  というのも、来たる木曜日はレイモンドの誕生日。セオドリックは、密かに、彼を祝うサプライズを画策していたのだ。  しかし、レイモンドはあっさりと断る。 「……木曜は、予定がある」  レイモンドをどうしても祝いたいセオドリックと、独りで過ごしたいレイモンド。  果たして、セオドリックのサプライズは成功するのか――? 【オムニバス形式の作品です】 ※小説家になろう、エブリスタでも連載中 ※全28話完結済み

【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】

紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。 相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。 超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。 失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。 彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。 ※番外編を公開しました(2024.10.21) 生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。 ※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。

この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!

ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。 ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。 これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。 ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!? ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19) 公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年BLです。

本当に悪役なんですか?

メカラウロ子
BL
気づいたら乙女ゲームのモブに転生していた主人公は悪役の取り巻きとしてモブらしからぬ行動を取ってしまう。 状況が掴めないまま戸惑う主人公に、悪役令息のアルフレッドが意外な行動を取ってきて… ムーンライトノベルズ にも掲載中です。

処理中です...