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第三章 東の国の大きなお風呂編
※悪態の語彙が少ない
それからのことはよく覚えていない。
というよりも忘れてしまいたい、というのが本音だ。つまり覚えている。
また距離が無くなって、リヴィウスと唇を重ねた。どうしてリヴィウスがそればかりしたがるのかはわからないけれど、ステラもなんとなくこの触れ合いが好きだった。だから手を伸ばしたのだ。
ステラよりもずっと広くて逞しい背中に腕を伸ばして、そして抱き着いた。
思えばそれが悪かったように思う。あの瞬間からリヴィウスの雰囲気が変わったと、朧げだがステラは理解している。
多分、この体にはもうリヴィウスが触れていない場所がない。文字通り頭の先から爪の先までリヴィウスはステラの全てに触れて、とても言葉には出来ないようなこともしている。
首筋どころか胸、腹、足、もしかしたら目には見えない場所にも吸い付かれた鬱血痕があるかもしれない。
……食べられているみたいだったと、ステラは思った。
「ステラ」
聞いたことがないくらいの熱っぽい声で名前を呼んで、ステラでも知らなかった場所にリヴィウスが触れた。そんなところ触らないでと涙ながらに訴えたのにやはりリヴィウスは聞いてくれなくて、でもそうまでして触れてくれるのだと思うと胸の奥から悦びが迫り上がった。
「大丈夫か」
嫌だと言っても触ってくるくせに、一番深くにまで入り込んできたくせに、それでも事あるごとにそう言って優しくするからステラは頷いたのだ。
服を纏っていない体に抱き着いて、お互いに汗ばんだ肌を重ねて、呼吸も境界線も曖昧になるくらいに互いを求めた。と、思う。
そんな爛れていたけれどこれ以上ないくらい満ち足りた時間をどれくらい過ごしただろうか。もう途中から記憶がない。「愛の雫」というあの魔族から生まれたらしいものを飲まされたステラの体はやはりいつもとは全く違っていた。
全てにおいて判断能力も思考力も狂っていた。体の感覚は特にだ。
どれだけ触れられても注がれてもステラの体は満足しなかった。むしろ与えられる分だけ飢えていったような気もする。それに嫌だと喚くステラを宥めたのもリヴィウスだ。あの時の己の痴態とも言える振る舞いを思い出すだけで顔から火が出そうだ。
「……ステラ」
体に回った腕に力が込められて、背中に比較的高い体温が触れる。ぴとりと吸い付くように触れ合うのは二人が服を着ていないからだ。
「……」
ステラの倍かそれ以上に逞しい腕がしっかりと体に巻き付いて、耳元で穏やかな低音が聞こえる。呼ばれているとわかっているけれど、ステラはとてもじゃないが顔を向けることが出来なかった。
「……おい」
「あっ、~~、見ないで、ください…っ!」
けれど体格差があれば力の差も歴然なわけで、ステラは簡単に組み敷かれて見下ろされてしまう。リヴィウスの目が、ステラを見ている。そうわかっただけでステラの顔は熟したリンゴのように真っ赤に染まった。
咄嗟に両手で顔を覆うけれど、赤くなった瞬間の顔は絶対に見られている。その証拠にリヴィウスが機嫌良さそうに喉を震わせて笑っている音が聞こえるのだ。
「何をそう隠すことがある。もう俺はお前の全てを見たぞ」
「リヴィの馬鹿……!」
ステラの精一杯の悪態にリヴィウスが軽く吹き出した。心底愉快そうに笑って、徐にステラの顔を覆う手首を片手で掴んだ。「あ」という間もなく腕を引き剥がされて、どこからどう見ても上機嫌な顔に見下ろされステラの眉間には深い皺が刻まれる。
「その馬鹿に何度も抱かれたのはお前だろう」
「~~~っ! ばか!」
今度は首や肩まで赤くなった。ステラは泣きそうなくらい羞恥を感じているのに、リヴィウスはとても嬉しそうでステラの表情はますます複雑に歪む。そんなステラの心境を知ってか知らずか不意に顔が近付いた。
掠めるように唇が触れ合って、ステラは目を丸くした。もうステラから媚薬は綺麗さっぱり消えている。そんなことはリヴィウスにだってわかっているはずなのに、そんなのは関係ないとばかりに触れ合う熱に、ステラの心臓は壊れそうだった。
というよりも忘れてしまいたい、というのが本音だ。つまり覚えている。
また距離が無くなって、リヴィウスと唇を重ねた。どうしてリヴィウスがそればかりしたがるのかはわからないけれど、ステラもなんとなくこの触れ合いが好きだった。だから手を伸ばしたのだ。
ステラよりもずっと広くて逞しい背中に腕を伸ばして、そして抱き着いた。
思えばそれが悪かったように思う。あの瞬間からリヴィウスの雰囲気が変わったと、朧げだがステラは理解している。
多分、この体にはもうリヴィウスが触れていない場所がない。文字通り頭の先から爪の先までリヴィウスはステラの全てに触れて、とても言葉には出来ないようなこともしている。
首筋どころか胸、腹、足、もしかしたら目には見えない場所にも吸い付かれた鬱血痕があるかもしれない。
……食べられているみたいだったと、ステラは思った。
「ステラ」
聞いたことがないくらいの熱っぽい声で名前を呼んで、ステラでも知らなかった場所にリヴィウスが触れた。そんなところ触らないでと涙ながらに訴えたのにやはりリヴィウスは聞いてくれなくて、でもそうまでして触れてくれるのだと思うと胸の奥から悦びが迫り上がった。
「大丈夫か」
嫌だと言っても触ってくるくせに、一番深くにまで入り込んできたくせに、それでも事あるごとにそう言って優しくするからステラは頷いたのだ。
服を纏っていない体に抱き着いて、お互いに汗ばんだ肌を重ねて、呼吸も境界線も曖昧になるくらいに互いを求めた。と、思う。
そんな爛れていたけれどこれ以上ないくらい満ち足りた時間をどれくらい過ごしただろうか。もう途中から記憶がない。「愛の雫」というあの魔族から生まれたらしいものを飲まされたステラの体はやはりいつもとは全く違っていた。
全てにおいて判断能力も思考力も狂っていた。体の感覚は特にだ。
どれだけ触れられても注がれてもステラの体は満足しなかった。むしろ与えられる分だけ飢えていったような気もする。それに嫌だと喚くステラを宥めたのもリヴィウスだ。あの時の己の痴態とも言える振る舞いを思い出すだけで顔から火が出そうだ。
「……ステラ」
体に回った腕に力が込められて、背中に比較的高い体温が触れる。ぴとりと吸い付くように触れ合うのは二人が服を着ていないからだ。
「……」
ステラの倍かそれ以上に逞しい腕がしっかりと体に巻き付いて、耳元で穏やかな低音が聞こえる。呼ばれているとわかっているけれど、ステラはとてもじゃないが顔を向けることが出来なかった。
「……おい」
「あっ、~~、見ないで、ください…っ!」
けれど体格差があれば力の差も歴然なわけで、ステラは簡単に組み敷かれて見下ろされてしまう。リヴィウスの目が、ステラを見ている。そうわかっただけでステラの顔は熟したリンゴのように真っ赤に染まった。
咄嗟に両手で顔を覆うけれど、赤くなった瞬間の顔は絶対に見られている。その証拠にリヴィウスが機嫌良さそうに喉を震わせて笑っている音が聞こえるのだ。
「何をそう隠すことがある。もう俺はお前の全てを見たぞ」
「リヴィの馬鹿……!」
ステラの精一杯の悪態にリヴィウスが軽く吹き出した。心底愉快そうに笑って、徐にステラの顔を覆う手首を片手で掴んだ。「あ」という間もなく腕を引き剥がされて、どこからどう見ても上機嫌な顔に見下ろされステラの眉間には深い皺が刻まれる。
「その馬鹿に何度も抱かれたのはお前だろう」
「~~~っ! ばか!」
今度は首や肩まで赤くなった。ステラは泣きそうなくらい羞恥を感じているのに、リヴィウスはとても嬉しそうでステラの表情はますます複雑に歪む。そんなステラの心境を知ってか知らずか不意に顔が近付いた。
掠めるように唇が触れ合って、ステラは目を丸くした。もうステラから媚薬は綺麗さっぱり消えている。そんなことはリヴィウスにだってわかっているはずなのに、そんなのは関係ないとばかりに触れ合う熱に、ステラの心臓は壊れそうだった。
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イラストはキューさん(@kyu_manase3)に描いていただきました!