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§ わたしたち、いまさら恋はできません。
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思い出したくもないが、こいつは私の初恋の相手だ。
俊輔と私は小学校の同級生。五年生のとき、初めて俊輔と同じクラスになった。気さくでお調子者の俊輔は、すぐにクラスの人気者になった。うちのクラスは男子女子ともに仲が良く、私と俊輔は男子女子入り混じった十人ほどのグループでよく遊んでいた。
ふたりのうち、どちらが先に意識をしだしたのかはわからない。運動公園へ遊びに出かけたあの日、ドラム缶池の辺りで他のみんなと逸れ、ふたりきりになったとき、突然、私が好きだと告白されたのだ。
とはいえ、付き合ったのはごく短期間。それも、放課後、一緒に下校したこと数回、こっそりとふたりだけで遊んだこと数回と、至って健全で可愛いお付き合いだった。
私たちの関係は、どこからバレたのかはわからないが、あっという間にクラス中、ひいては学校中に広まってしまい、面白おかしい噂話と化した。よそのクラスの子や六年生までが、休み時間に私たちを覗きに来る毎日。ニヤニヤされ、囃し立てられ、冷やかされ、その度に私の気持ちも一緒に冷えていった。そして、ある日を境に、私たちは話すことも、目を合わせることもしなくなってしまった。
五年生と六年生は、そのまま持ち上がりで同じクラス。私たちは、同じグループに属して一緒に遊びながらも、お互いをいないもの同然に無視したまま、卒業まで過ごした。卒業後は、彼は地元の公立中学、私は私立へと進路が分かれ、それっきり。大学生のとき、私のアルバイト先の近くのカフェで、同じくアルバイトをしていた俊輔と偶然の再会を果たすまで、初恋はおろか、こいつの存在すら忘れていた。
昔の俊輔は、ただのチャラけたチビだったが、大人になって目の前に現れたこいつは、背もすっかり伸びて、整形でもしたのかと思うほど見目麗しく、且つ、逞しい男に変身していた。しかし、チャラいのは相変わらず。いや、年とともにさらに磨きがかかっている。
だから、私が俊輔といまさら恋愛するなんて、たとえ無人島にふたりだけで取り残されたとしても、地球最後の日にふたりきりの生存者になったとしても、絶対に絶対に絶対にありえないのだ。
俊輔と私は小学校の同級生。五年生のとき、初めて俊輔と同じクラスになった。気さくでお調子者の俊輔は、すぐにクラスの人気者になった。うちのクラスは男子女子ともに仲が良く、私と俊輔は男子女子入り混じった十人ほどのグループでよく遊んでいた。
ふたりのうち、どちらが先に意識をしだしたのかはわからない。運動公園へ遊びに出かけたあの日、ドラム缶池の辺りで他のみんなと逸れ、ふたりきりになったとき、突然、私が好きだと告白されたのだ。
とはいえ、付き合ったのはごく短期間。それも、放課後、一緒に下校したこと数回、こっそりとふたりだけで遊んだこと数回と、至って健全で可愛いお付き合いだった。
私たちの関係は、どこからバレたのかはわからないが、あっという間にクラス中、ひいては学校中に広まってしまい、面白おかしい噂話と化した。よそのクラスの子や六年生までが、休み時間に私たちを覗きに来る毎日。ニヤニヤされ、囃し立てられ、冷やかされ、その度に私の気持ちも一緒に冷えていった。そして、ある日を境に、私たちは話すことも、目を合わせることもしなくなってしまった。
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だから、私が俊輔といまさら恋愛するなんて、たとえ無人島にふたりだけで取り残されたとしても、地球最後の日にふたりきりの生存者になったとしても、絶対に絶対に絶対にありえないのだ。
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