外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平

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第三章 行方不明

第48話 ボス戦 氷の守護者3

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「ファイヤーボール!」

「キアアァ!」

 ミレットがファイヤーボールを撃ち、氷の守護者が氷のつぶてで反撃する。

 ミレット対氷の守護者は、魔法の撃ち合い。
 HPMPの削り合いになった。

 ミレットに有利な点は、俺が盾役を務めていることだ。

「下がって!」

「はい!」

 ミレットが魔法を撃つと、俺はミレットに下がるように指示する。
 ミレットは俺の後ろに回る。

 俺はショートソードで、ゴブリンを牽制して下がらせ、盾で氷の守護者の攻撃を防ぐ。
 防ぐといっても、全ての攻撃を止められているわけじゃない。

 ショットガンのように広範囲に広がる氷のつぶて全てを盾で受けることは出来ない。
 自分の急所は盾で守り、体を張ってミレットに攻撃が及ばないようにしているのだ。

 あちこち血が出ているが、まあ、これくらいは大丈夫だ。
 スラムではトラブルになり、ボコボコにされたこともあった。
 転生後の俺は痛みに耐性があるのだ。

「ユウト! ポーションを!」

「まだ、大丈夫! それよりも魔法の詠唱を!」

 俺は、ミレットが差し出したポーションを断る。
 ポーションは生命線だ。
 ミレットが何本持っているのか知らないが、なるたけ節約したい。

 戦いは、すっかり長期戦になっている。

 ミレットは確実に氷の守護者を削っているし、アンもチクチクと棍棒ゴブリンを突いて出血を強いている。

 俺もショートソードを持つゴブリンに慣れてきた。
 落ち着いて動きを見られるので、攻撃は受けないし、徐々にゴブリンに攻撃が当たっている。

「キアアァァァ!」

 氷の守護者の反撃だ!
 俺はショートソードを大きく振りゴブリンを振り払い、ミレットの前に立ち盾を構える。

「あれ?」

 だが、氷のつぶてが飛んでこない。

「きゃっ! 足が!」

 振り返るとミレットの足下がみるみる凍りつく。
 氷の守護者が反撃パターンを変えてきたのか!

「待ってて! すぐ松明を取ってくる!」

 俺は離れたところに落ちている松明を拾いにミレットの側から離れた。

「キャア! ユウト! 助けて!」

 松明を拾い上げると、ミレットの悲鳴が聞こえた。
 ショートソードを持ったゴブリンが、ミレットに襲いかかっている!
 ミレットは魔法の杖で、何とかゴブリンの攻撃を防いでいた。

「クソッ! 狙いはこれか!」

 氷の守護者は、氷結魔法でミレットの動きを封じて、ゴブリンにミレットを仕留めさせようとしているのだ。

「そうはさせるか!」

 俺は走りながら大きくショートソードを振りかぶる。
 ゴブリンはミレットを倒そうと俺に背を向けていた。
 これはチャンスだ!

 俺はグッと意識をゴブリンに集中し、必殺技の言葉を唱える。

「スラッシュ!」

 必殺技スラッシュが発動した!
 グンと体が加速する。

 急速にゴブリンの姿が近づくのを感じながら、俺は一気にショートソードを振り下ろした。
 俺のショートソードがゴブリンをとらえた。
 ずっしりとした手応えを感じながら、スキル【剣術】の必殺技スラッシュに動きを任せる。

「グギャ!」

 ゴブリンは斜めに切り裂かれ、断末魔の後に消えた。
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