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「送ってくれてどうもありがとうございます」
依里は実家の門の前まで送ってきてもらった事から、運転していた貴森や荷物を出し入れしてくれたその他晴美の友人達に声をかけた。
彼等は気にするなという事を身振り手振りで示してから、こそっと依里に言う。
「晴美の前であんたに冷たい振りはできない。というかもともとする気がない」
「環、また明日な!」
「明日は忙しいぞ!」
「またねヨリちゃん!」
依里はその言葉を聞き、何ゆえに自分も明日こいつらと何かをする事が決定系なのだろうと心底いぶかしんだ物の、その場合は誰かしらから実家の固定電話に連絡があるだろうと考えて、荷物を抱えて実家の門をくぐったのである。
依里の実家は農家である。朝早く夜も早い家である。そして依里の兄が実家の後を継ぎ、兄の奥さんと子供がいるはずである。
そう考えると家族構成は、彼女の祖父母に両親に、兄夫婦に、離れに暮らす叔父という状態であwる。
この叔父は依里や晴美に護身術その他を叩き込んだ男であり、近く、と言っても自転車で銃五分の距離にある公民館に隣接する道場で、近隣の住人やその子供達に護身術その他を教えている男だ。
人望はなかなかある叔父で、叔父の知り合いだというプロレスラーがたまに修行に来る。近隣の山を走るのがトレーニングにちょうどいいのだとかなんとか。
ちなみにそのプロレスラー達が宿泊する場合は、叔父の暮らしている離れで寝泊まりするので、そこは大変夏場になると汗臭い。
話がずれたものの、依里の家族構成はこんな感じであり、母の両親は飛行機の距離に移住したため、最近は滅多にあっていなかった。
どちらも息災である。
という事で、依里は実に数年ぶりになる実家の門をくぐった後に、自宅の古風な引き戸をガラガラと開けた。
防犯対策、と思う都会にでた依里の頭には浮かぶのであるが、この辺はそこら辺がザルな家も多く、引き戸を開けて大声で家人を呼ぶ事が日常であった。
そのため、依里もそのノリで大声を出した。
「ただいまー!! 帰ったよー!」
するとぱたぱたと軽い足音がして、現れたのは見慣れない小さな女の子と男の子だった。
これは誰だ。
依里は一瞬考えたものの、すぐさまその二人の顔に、知った人間の面影が多少あったため、兄夫婦の年子の兄妹だと気が付いた。
「わあ、はじめまして。私は依里叔母さんだよ」
「……しらない」
「しんない!! ママ―!! 知らない人ー!!」
依里はにこやかに笑顔になり、しゃがみ込んで視線を合わせて二人に挨拶をしたのだが、二人ともこのあたりはまったく見ない依里の見た目に戸惑ったのだろう。
顔を見合せて、ぱっと奥に引っ込んでいったのであった。
そして数分待つと、女性の物と思われる足音が近づいてきて、そこから可愛らしい顔立ちの女性が子供達を連れて現れた。
「こんにちは、光さん」
「久しぶり、依里さん。今年は帰って来るって聞いてたんですよ」
「これ、お土産です、皆で食べてくださいね」
女性は光というの名前の兄嫁で、女性の寄りから見ても可愛らしい本物の可愛い人である。
田舎に移住してきて、依里の兄と出会い恋愛結婚したという女性だ。
彼女とは結婚式以来顔を合わせていないので、、どちらも対応が丁寧なのは仕方のない事であろう。
依里はさっとお土産を彼女に渡して荷物を抱え、光に問いかけた。
「上がっても今大丈夫ですか」
「ええ、大丈夫ですよ。依里さんのお部屋……今は子供たちの遊び部屋になってしまっていて、客間しか空いていないんですけど」
「ああ、大丈夫ですよ! 実家には大した荷物を置いていないので」
依里はあっさりとそう言うと、光が子供達に
「この人はね、パパの妹さんなのよ」
と説明したのでまた子供たちににっこりと笑い、客間に向かったのであった。
客間はしっかりと掃除がされていて、若干のインテリアが変わっていた。まあ数年の時間が経過しているので、そんな事も有るだろう。
依里は大して気にもせずに、客間に荷物を置き、畳に座り込んだ。
実家は何も変わらないようで、住人によって若干変化している。
依里が知っている時と匂いが少し違うのも、住人の変化によるものだろう。
子供の匂いというものがあちこちから感じ取れて、子供達がのびのびと実家の室内を走り回っている事がうかがえた。
「……さて」
依里は少し休憩した後に荷物を広げて、ごろりと畳に転がったものの、喉の渇きを覚えて立ち上がった。
実家に戻るのも数年ぶりなので、勝手に色々な事をしてもいいのだろうかと考えたものの、実家だし飲み物の用意くらいはありだろうと判断し、台所に向かったのであった。
そして依里がいた頃と違う磨かれた薬缶にお湯を沸かし、台所の定位置に置かれていた格安ティーバッグでお茶を淹れて、大きく息を吐きだした時である。
「おかえり、依里」
現れたのは農作業に出ていたのだろう母親の満で、依里はうん、と頷いた。
「今帰ってきたところ。甥っ子と姪っ子、あんなに大きくなってたんだね。全然知らなかった」
「あんたが帰ってこないからでしょ。さて、あんたが帰ってきたんだったら、じゃんじゃんこき使わせてもらうからね」
「ああこわい」
依里はけらけらと笑った。年末に帰ってくれば、自動的にこき使われる事が決定する事くらい、依里だって十分に分かっていて帰省したので、何も文句はない。
それに、兄嫁だって二人の年子の面倒を見ながらの年末年始は大変だろう。
というか、兄嫁は実家に里帰りないのだろうか。依里はそんな事を思って、満に問いかけた。
「光さん、年末は実家に帰らないの?」
「うちのと一緒に年始に戻るんだよ。あっちのご両親が孫に会いたいって楽しみにしているんだ。で、光さんは今日と明日で、荷造りをして、うちのと車で出発するんだよ」
「そっか。そりゃあ孫には会いたいだろうしね」
「本当にそうだよ。うちは孫を見放題だけど、あちらはそうじゃないからね。そう言った年末年始は、あちらを優先してもらう事にしているんだ」
満の当たり前だという調子の言葉に、依里はなるほど、兄嫁も、そして体力自慢の兄もあちらに出向くから、自分をせっせと使う事が確定したのか、とそちらの意味でも納得した。
「そうだ、今年ハルも戻ってきたの知ってる?」
「知ってるに決まっているだろう! 大鷺さんの所が、依里がいるからハルが帰って来るって大喜びしていてね。六年も音沙汰なしだった長男坊が、腕を磨いて帰ってきたって大盛り上がり。で、近所中に知らせたものだから、今年の大鷺さんの所のおせち料理は大変だよ。だからあんたも手伝い要員として数えるって、もう向こうさんに言ってあるからね」
依里はお茶を飲みながら、ああなるほど……と納得した。
やはり晴美が帰って来ると、皆とびきりおいしいおせちを食べたくて、大鷺宅にお願いをしに行くのだろう。
そして大鷺宅は晴美がいれば、それを断る事などしないので、今年のおせちの予約件数はどうなっているのか、依里は少し心配になった。
近所の人達と、晴美の仲間と、うちと……軽く見積もっても七件くらいはありそうである。
「私結局おせち要員になってんだ」
「当たり前でしょ! 作ってもらうんだから、手伝いの要員を回すのは当たり前! そしてうちも大掃除があるから、手の空いているあんたが筆頭だよ!」
「うわあ……」
絶対に依里が嫌がらないという思い込みの中進んでいる事の様だが、食べる物のためならば仕方がない。
依里は今日だけは休ませて、と言って、お茶を飲みながらスマホを確認した。
夕方に晴美の方から、依里に対して明日からおせちの仕込みだという事、いつも通りに手伝いに来てくれるならこの時間が好ましい事、材料その他があるなら持ってきてほしい事などの必要事項の連絡が回り、依里はうんうんと頷いた。
今日は光さんの手料理で、実家の味とは少し異なるものの、落ち着いた穏やかな味で、これがママの味になる甥っ子と姪っ子は幸せ者だろうと言うと、兄から
「光を口説くな!」
と睨まれた。というのも見た目でいうならば、兄よりも依里の方が涼し気なイケメン風の顔立ちであるため、兄は依里に対して余裕がないのである。結婚したのはあんただろうに、と依里は心の中で突っ込み、光が二人の子供達の食事の手伝いを、兄と一緒に行っている光景を見て、夫婦でしっかり子育てをしている微笑ましさに、にやにやしてしまったのだった。
食事の後に、子供達はすぐさま風呂だというので、依里は当たり前に風呂の順番を譲った。
依里は別に風呂の順番が最後でも文句はないので、寝るのが早くなければ寝落ちしてしまう子供達を優先するのは当たり前なのであった。
「ありがとうな、俺も手伝ってんだけど、子供の荷造りってのは難しくってさ。光にある程度任せるから、負担がかかってんだ」
「兄貴は光さんを大事に扱って手伝ってれば問題ないでしょ。子供達もパパの事も大好きって奴みたいだし」
「当たり前だろ!! 子供に大好きって言われる時間は有限なんだ!」
「胸を張るな。……で、帰って来るのは三が日過ぎてから?」
「日数的にそうなるな。あっちで初詣とかの観光もするって光が楽しそうに計画してたし、あちらのお義父さんとお義母さんも、孫と遊びに行くんだって張り切ってるから」
「じゃあ晴美のご飯は食べないのか」
「そこだけが未練だ……ハル坊に、日持ちするもの冷凍してくれないか頼めないか」
「一応聞いてみる。あいつも実家に大量に冷凍品作り置きするのが、目に浮かぶけど」
「……本当に、ハル坊、飯の事になると俺の知っているハル坊の普段と認識変わるよな」
「あいつの本気はそこに発揮されるからでしょ」
二人でそんな会話をしていた時だ。
「パパ!! 今日はパパとお風呂よ!」
「パパとお風呂! 早くー!」
子供達が風呂の準備が出来たと兄を呼んだため、兄はすぐさま支度をし、子供達との風呂に向かったのだった。
依里は実家の門の前まで送ってきてもらった事から、運転していた貴森や荷物を出し入れしてくれたその他晴美の友人達に声をかけた。
彼等は気にするなという事を身振り手振りで示してから、こそっと依里に言う。
「晴美の前であんたに冷たい振りはできない。というかもともとする気がない」
「環、また明日な!」
「明日は忙しいぞ!」
「またねヨリちゃん!」
依里はその言葉を聞き、何ゆえに自分も明日こいつらと何かをする事が決定系なのだろうと心底いぶかしんだ物の、その場合は誰かしらから実家の固定電話に連絡があるだろうと考えて、荷物を抱えて実家の門をくぐったのである。
依里の実家は農家である。朝早く夜も早い家である。そして依里の兄が実家の後を継ぎ、兄の奥さんと子供がいるはずである。
そう考えると家族構成は、彼女の祖父母に両親に、兄夫婦に、離れに暮らす叔父という状態であwる。
この叔父は依里や晴美に護身術その他を叩き込んだ男であり、近く、と言っても自転車で銃五分の距離にある公民館に隣接する道場で、近隣の住人やその子供達に護身術その他を教えている男だ。
人望はなかなかある叔父で、叔父の知り合いだというプロレスラーがたまに修行に来る。近隣の山を走るのがトレーニングにちょうどいいのだとかなんとか。
ちなみにそのプロレスラー達が宿泊する場合は、叔父の暮らしている離れで寝泊まりするので、そこは大変夏場になると汗臭い。
話がずれたものの、依里の家族構成はこんな感じであり、母の両親は飛行機の距離に移住したため、最近は滅多にあっていなかった。
どちらも息災である。
という事で、依里は実に数年ぶりになる実家の門をくぐった後に、自宅の古風な引き戸をガラガラと開けた。
防犯対策、と思う都会にでた依里の頭には浮かぶのであるが、この辺はそこら辺がザルな家も多く、引き戸を開けて大声で家人を呼ぶ事が日常であった。
そのため、依里もそのノリで大声を出した。
「ただいまー!! 帰ったよー!」
するとぱたぱたと軽い足音がして、現れたのは見慣れない小さな女の子と男の子だった。
これは誰だ。
依里は一瞬考えたものの、すぐさまその二人の顔に、知った人間の面影が多少あったため、兄夫婦の年子の兄妹だと気が付いた。
「わあ、はじめまして。私は依里叔母さんだよ」
「……しらない」
「しんない!! ママ―!! 知らない人ー!!」
依里はにこやかに笑顔になり、しゃがみ込んで視線を合わせて二人に挨拶をしたのだが、二人ともこのあたりはまったく見ない依里の見た目に戸惑ったのだろう。
顔を見合せて、ぱっと奥に引っ込んでいったのであった。
そして数分待つと、女性の物と思われる足音が近づいてきて、そこから可愛らしい顔立ちの女性が子供達を連れて現れた。
「こんにちは、光さん」
「久しぶり、依里さん。今年は帰って来るって聞いてたんですよ」
「これ、お土産です、皆で食べてくださいね」
女性は光というの名前の兄嫁で、女性の寄りから見ても可愛らしい本物の可愛い人である。
田舎に移住してきて、依里の兄と出会い恋愛結婚したという女性だ。
彼女とは結婚式以来顔を合わせていないので、、どちらも対応が丁寧なのは仕方のない事であろう。
依里はさっとお土産を彼女に渡して荷物を抱え、光に問いかけた。
「上がっても今大丈夫ですか」
「ええ、大丈夫ですよ。依里さんのお部屋……今は子供たちの遊び部屋になってしまっていて、客間しか空いていないんですけど」
「ああ、大丈夫ですよ! 実家には大した荷物を置いていないので」
依里はあっさりとそう言うと、光が子供達に
「この人はね、パパの妹さんなのよ」
と説明したのでまた子供たちににっこりと笑い、客間に向かったのであった。
客間はしっかりと掃除がされていて、若干のインテリアが変わっていた。まあ数年の時間が経過しているので、そんな事も有るだろう。
依里は大して気にもせずに、客間に荷物を置き、畳に座り込んだ。
実家は何も変わらないようで、住人によって若干変化している。
依里が知っている時と匂いが少し違うのも、住人の変化によるものだろう。
子供の匂いというものがあちこちから感じ取れて、子供達がのびのびと実家の室内を走り回っている事がうかがえた。
「……さて」
依里は少し休憩した後に荷物を広げて、ごろりと畳に転がったものの、喉の渇きを覚えて立ち上がった。
実家に戻るのも数年ぶりなので、勝手に色々な事をしてもいいのだろうかと考えたものの、実家だし飲み物の用意くらいはありだろうと判断し、台所に向かったのであった。
そして依里がいた頃と違う磨かれた薬缶にお湯を沸かし、台所の定位置に置かれていた格安ティーバッグでお茶を淹れて、大きく息を吐きだした時である。
「おかえり、依里」
現れたのは農作業に出ていたのだろう母親の満で、依里はうん、と頷いた。
「今帰ってきたところ。甥っ子と姪っ子、あんなに大きくなってたんだね。全然知らなかった」
「あんたが帰ってこないからでしょ。さて、あんたが帰ってきたんだったら、じゃんじゃんこき使わせてもらうからね」
「ああこわい」
依里はけらけらと笑った。年末に帰ってくれば、自動的にこき使われる事が決定する事くらい、依里だって十分に分かっていて帰省したので、何も文句はない。
それに、兄嫁だって二人の年子の面倒を見ながらの年末年始は大変だろう。
というか、兄嫁は実家に里帰りないのだろうか。依里はそんな事を思って、満に問いかけた。
「光さん、年末は実家に帰らないの?」
「うちのと一緒に年始に戻るんだよ。あっちのご両親が孫に会いたいって楽しみにしているんだ。で、光さんは今日と明日で、荷造りをして、うちのと車で出発するんだよ」
「そっか。そりゃあ孫には会いたいだろうしね」
「本当にそうだよ。うちは孫を見放題だけど、あちらはそうじゃないからね。そう言った年末年始は、あちらを優先してもらう事にしているんだ」
満の当たり前だという調子の言葉に、依里はなるほど、兄嫁も、そして体力自慢の兄もあちらに出向くから、自分をせっせと使う事が確定したのか、とそちらの意味でも納得した。
「そうだ、今年ハルも戻ってきたの知ってる?」
「知ってるに決まっているだろう! 大鷺さんの所が、依里がいるからハルが帰って来るって大喜びしていてね。六年も音沙汰なしだった長男坊が、腕を磨いて帰ってきたって大盛り上がり。で、近所中に知らせたものだから、今年の大鷺さんの所のおせち料理は大変だよ。だからあんたも手伝い要員として数えるって、もう向こうさんに言ってあるからね」
依里はお茶を飲みながら、ああなるほど……と納得した。
やはり晴美が帰って来ると、皆とびきりおいしいおせちを食べたくて、大鷺宅にお願いをしに行くのだろう。
そして大鷺宅は晴美がいれば、それを断る事などしないので、今年のおせちの予約件数はどうなっているのか、依里は少し心配になった。
近所の人達と、晴美の仲間と、うちと……軽く見積もっても七件くらいはありそうである。
「私結局おせち要員になってんだ」
「当たり前でしょ! 作ってもらうんだから、手伝いの要員を回すのは当たり前! そしてうちも大掃除があるから、手の空いているあんたが筆頭だよ!」
「うわあ……」
絶対に依里が嫌がらないという思い込みの中進んでいる事の様だが、食べる物のためならば仕方がない。
依里は今日だけは休ませて、と言って、お茶を飲みながらスマホを確認した。
夕方に晴美の方から、依里に対して明日からおせちの仕込みだという事、いつも通りに手伝いに来てくれるならこの時間が好ましい事、材料その他があるなら持ってきてほしい事などの必要事項の連絡が回り、依里はうんうんと頷いた。
今日は光さんの手料理で、実家の味とは少し異なるものの、落ち着いた穏やかな味で、これがママの味になる甥っ子と姪っ子は幸せ者だろうと言うと、兄から
「光を口説くな!」
と睨まれた。というのも見た目でいうならば、兄よりも依里の方が涼し気なイケメン風の顔立ちであるため、兄は依里に対して余裕がないのである。結婚したのはあんただろうに、と依里は心の中で突っ込み、光が二人の子供達の食事の手伝いを、兄と一緒に行っている光景を見て、夫婦でしっかり子育てをしている微笑ましさに、にやにやしてしまったのだった。
食事の後に、子供達はすぐさま風呂だというので、依里は当たり前に風呂の順番を譲った。
依里は別に風呂の順番が最後でも文句はないので、寝るのが早くなければ寝落ちしてしまう子供達を優先するのは当たり前なのであった。
「ありがとうな、俺も手伝ってんだけど、子供の荷造りってのは難しくってさ。光にある程度任せるから、負担がかかってんだ」
「兄貴は光さんを大事に扱って手伝ってれば問題ないでしょ。子供達もパパの事も大好きって奴みたいだし」
「当たり前だろ!! 子供に大好きって言われる時間は有限なんだ!」
「胸を張るな。……で、帰って来るのは三が日過ぎてから?」
「日数的にそうなるな。あっちで初詣とかの観光もするって光が楽しそうに計画してたし、あちらのお義父さんとお義母さんも、孫と遊びに行くんだって張り切ってるから」
「じゃあ晴美のご飯は食べないのか」
「そこだけが未練だ……ハル坊に、日持ちするもの冷凍してくれないか頼めないか」
「一応聞いてみる。あいつも実家に大量に冷凍品作り置きするのが、目に浮かぶけど」
「……本当に、ハル坊、飯の事になると俺の知っているハル坊の普段と認識変わるよな」
「あいつの本気はそこに発揮されるからでしょ」
二人でそんな会話をしていた時だ。
「パパ!! 今日はパパとお風呂よ!」
「パパとお風呂! 早くー!」
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