私との婚約は、選択ミスだったらしい

柚木ゆず

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第6・5話 ルシアン・レインズ様 エマ視点(1)

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「エマ。隣国レインズ公爵家のルシアン様が、お前に会いたいと仰られているのだよ」

 ヨズラール邸でのパーティーに参加をしてから、2日後のお昼過ぎ。呼ばれたため1階にある執務室を訪れたら、お父様は予想だにしなかったことを仰った。

「レインズ様が、ですか……? どういったご用件で、なのでしょう……?」
「ルシアン様は異性として、以前からお前に興味を持ってくださっていたらしく・・・てな。そういったお話を、直接なさりたいそうだ」

 そして――。お父様の口から続いて出た言葉も、予想外なものだった。
 異性として、興味。レインズ様が、私に好意を抱いてくださっている……!?

「そ、そうだったのですね……。レインズ様とは先日、お会いしたばかりなのですが……。まったく、気が付きませんでした」
様々な理由が・・・・・・、おありだったのだろう。エマ、どうかな? あちらは『お気遣いは不要』『正直に答えていただきたい』と仰っており、選択によってわが家(いえ)に悪影響が発生する事はない。イエスかノーか、明日の朝までに決めておいてくれ」
「お父様。そのお話、お受けします」

 レインズ様は、あの日――私が介抱を行った際、会場内にいる貴族で唯一、汚れなどを顧みず行動を起こされていた方。素晴らしいお心をお持ちな方。
 それに、なにより。

((匿名でいただいた、贈り物。黄色のビオラ))

 あの時ふわりと浮かんできたものが、あるから。言下、お返事をした。

「実を言いますと私も、レインズ様が気になっておりました。お話しをしたいと、思っておりましたので。お受けいたします」
「そうか、分かった。ではそのようにお伝えしておく。……エマ。明後日は1日、スケジュールは空いていたな?」
「はい。その日は、なにも予定は入っておりません」

 お茶会やピアノのレッスン、語学の勉強もない。しいて挙げるとすれば、先生からいただいた語学の課題を済ませようと考えていただけ。
 そしてそれは来週までに終わらせておけばいいので、特に問題はない。

「ならば、その時間に設定させていただくとしようか。エマも、それで構わないかな?」
「ええ、お父様。構いません」

 そうして急遽大きなイベントが決まり、それからはあっという間に時間が流れて行って――。2日後の、午後2時過ぎ。
 豪奢な馬車と共に、長身の美男――レインズ様が、いらっしゃったのだった。

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