私との婚約は、選択ミスだったらしい

柚木ゆず

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エマとルシアンのエピローグ 数年後の光景~黄色のビオラ~ ルシアン視点

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「ね~ね~、お父様~。ど~してお庭には、黄色いお花がい~ぱい咲いてるのあるの~?」

 穏やかな風がふわりとそよぐ、ポカポカとした日。庭で遊んでいた息子トマが、こくりと首を傾けた。

「僕ね、気になってたの。なんでなんで~?」
「トマ、それはね。あの黄色いお花は、お母さんが大好きな花だからなんだよ」

 黄色のビオラ。それは俺が愛する人が、もっとも好きなもの。なので、エマがここ――レインズ邸で暮らすようになってすぐ、ビオラを咲かそうと決めた。
 それが、理由の一つ。
 もう一つの理由はというと――

「それとね、トマ。あのお花はお父さんとお母さんにとって、とっても大事なお花だからなのよ」

 俺とトマの、少し後ろ。ガーデンチェアから俺達を眺めていた、品を携えた美しい女性が――エマが立ち上がり、トマの顔を覗き込みながら口元を緩めた。

『ルシアン様。あのビオラを贈ってくださったのは、貴方なのですよね?』
『ええ、そうですよ。以前教わっておりましたので、そうさせていただきました』

 もう明かしてもいいタイミングではあったし、なにより、エマがちゃんとお礼を伝えたいと思ってくれていたから。婚約後まもなく、全てを伝えた。

「お母さんを心配してくれたお父さんがね、たくさんの優しさを込めて、隣の国から贈ってくれたの。お父さんが私に初めて贈ってくれた、私がお父さんから初めて贈られたプレゼントだから、大切にしているのよ」
「そ~なんだ~っ。だから、い~っぱいあるんだね~」
「ええ、そうなの。トマくん。他に聞きたいことは、ありますか?」
「ん~んっ。も~ないよ~っ。お父様っ、お母様っ。また遊んできま~すっ!」

 トマは元気よくブンブンと首を振り、ビオラが咲くスペースへと走っていって――。「あなた達は、お父様とお母様の大事なお花だったんだね~」「頑張って、ずっとここにいてね~っ!」と、無邪気に声援を送り始めた。

「ふふ。エマによく似て、優しい良い子に育っているね」
「そうでしょうか? 私は、ルシアン様によく似ていると思いますよ?」

 お互いにそんなことを言い合って、くすりと笑い合って。そうしながら俺達の愛の結晶とビオラを眺めていると、改めて大きな幸せがこみ上げてくる。
 だから――

「……エマ、ありがとう。俺の隣を歩いてくれて」「……ルシアン様、ありがとうございます。一緒にいてくださって」

 ――自然とその気持ちが声となり、想いはシンクロして。俺達は再び、くすりと笑い合ったのだった。



 エマ、これまでありがとう。
 これからも、君の笑顔を守ってゆくから。
 ずっと、いつまでも、よろしくお願いします。

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感想 216

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みんなの感想(216件)

藤夜
2021.06.09 藤夜
ネタバレ含む
2021.06.15 柚木ゆず

藤夜様。通知を見落としてしまっており、お返事が遅くなってしまったことを、お許しください。

わざわざ感想をくださり、ありがとございます。
そして。
最後まで読んでくださり、本当に、ありがとうございました。

いろいろと、ありましたが。
最後に2人は、ああいったことになって。1人のほうでは、逆のことが、あって。
彼女は、幸せな日々を、手に入れることができました。

解除
鍋
2021.06.07
ネタバレ含む
2021.06.08 柚木ゆず

鍋様。わざわざ感想をくださり、ありがとうございます。

こちらこそ。
最後まで読んでくださり、本当に、ありがとうございました。

最初は、ああいったことが、ありましたが。その後、ああいった形となって、新しい縁が生まれ。
そしてこちらの2人は、大きな幸せを、得ることができました……っ。

解除
セライア(seraia)
ネタバレ含む
2021.06.06 柚木ゆず

seraia様。わざわざ感想をくださり、ありがとうございます。

あのようにして出会った、2人。
2人は、あちらとは違う時間を過ごし、彼らとは正反対の関係となりました。

エマと、ルシアン。
2人はあの2人は違って、想いあって。今後も、幸せな毎日が続きます。

解除

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