お姉様、今度は貴方の恋人をもらいますわ。何でも奪っていく妹はそう言っていますが、その方は私の恋人ではありませんよ?

柚木ゆず

文字の大きさ
25 / 38

第12話 変化 ニネット視点(2)

しおりを挟む
『他の男が口にしていれば、「何言っていますの……」と呆れ返っていましたわ。けれどこの方が口にされると、大変身。心に響く名言となるのですわ……っ』

『お父様とお母様は正しく見えていないだけで、反対におじ様とおば様は正しく見えていた。親バカなどではなく、真実を口にされていただけのことですのよ』

『あんなことを言われて、妨害をされておいて、これだけで許してあげるだなんて。流石エドモン様。器が違いますわ……っ』

 色眼鏡――。そう気付くと同時に、今までの自分の言葉が蘇ってきた。
 わたくしはずっと、エドモン様を無条件で肯定していた。べた褒めしていた。
 それらは実力が伴っているからだ、と思っていたけれど…………大間違い。この人の全てを、『最高』なのだと変換してしまっていたんですわ……。アンジェリーヌの、せいで。

「わたくしにはなぜか・・・、あの女のものが良く見えてしまう性質があった……」

 だからエドモン様がパーフェクトな男性に見えていて、アンジェリーヌはそうなると分かっていて……っ。唯々諾々と従うフリを、していたんですわ……!!

「……まさか、エドモン様に関しても嵌められていただなんて……!! …………けれど、セーフ。幸いにも気付くことができた」

 忌々しい罠による『呪い』は解けた、無事目を覚ませたんですもの。被害は最小限で済んで、人生を棒に振らずに済みましたわ。

「偽りの感情を抱いていた相手なんかと、一緒に居られるはずがありませんものね。大急ぎで、この屋敷から逃げ出しましょう」

 罠にはめられたことでわたくしはアピールしてしまい、エドモン様はわたくしに夢中。あの男は性欲魔人で、この美貌に夢中になってしまっている。
 そのため対話での婚約解消は絶対に無理で、選択肢は『逃走』しかない。

「暴力を振るわれた。こういったものを広めておけば、さしものエドモン様でも迂闊に手出しはできませんものね」

 わたくしは、聖女のような心優しき人間。本来こういった捏造冤罪はしない美少女なのだけれど、ピンチなのだから仕方がありませんわよね。
 それに――。エドモン様は『スキンシップ』といって、いつもヒップやバストに触れてきていましたの。あの方としても充分楽しめたのだし、それくらい構いませんわよねぇ。

「このあとエドモン様は、おじ様と共に外出される。その時がチャンスですわね」

 久しぶりに会いたくなったと御者に説明をして、お父様達のもとに逃げ込みましょう。そうして暴力の噂を広めてもらって、そうすればノーダメージで縁を切れますわっ。

「お父様とお母様はわたくしを可愛がってくれていて、ちゃんと謝ればきっと許してくれますしね。全てがリセットされて、何もかも元通りっ。アンジェリーヌの策から抜け出せて、平穏が戻ってく――…………。こ、こない……。それは、無理ですわ……」

 また、気付いてしまった……。大事なことを、忘れてしまっていた……。


『あの方は侯爵家級の力の持ち主で、フレデリクも何か企んでいるみたいだけど、絶対に防いでくださいますしね』


 やがて訪れる『何か』の回避には、エドモン様が必要なことを……。





 すみません。ご報告になります。
 体調不良が、まだ続いてしまっておりまして。その影響で数日間、投稿させていただくタイミングが数時間ほど遅れてしまう可能性があることを、お許しくださいませ(もしも遅れてしまった場合でも、お昼までには必ず投稿をさせていただきます)。
  

しおりを挟む
感想 330

あなたにおすすめの小説

永遠の誓いをあなたに ~何でも欲しがる妹がすべてを失ってからわたしが溺愛されるまで~

畔本グラヤノン
恋愛
両親に愛される妹エイミィと愛されない姉ジェシカ。ジェシカはひょんなことで公爵令息のオーウェンと知り合い、周囲から婚約を噂されるようになる。ある日ジェシカはオーウェンに王族の出席する式典に招待されるが、ジェシカの代わりに式典に出ることを目論んだエイミィは邪魔なジェシカを消そうと考えるのだった。

【完結】いつも私をバカにしてくる彼女が恋をしたようです。〜お相手は私の旦那様のようですが間違いはございませんでしょうか?〜

珊瑚
恋愛
「ねぇセシル。私、好きな人が出来たの。」 「……え?」 幼い頃から何かにつけてセシリアを馬鹿にしていたモニカ。そんな彼女が一目惚れをしたようだ。 うっとりと相手について語るモニカ。 でもちょっと待って、それって私の旦那様じゃない……? ざまぁというか、微ざまぁくらいかもしれないです

妹が私の婚約者を奪った癖に、返したいと言ってきたので断った

ルイス
恋愛
伯爵令嬢のファラ・イグリオは19歳の誕生日に侯爵との婚約が決定した。 昔からひたむきに続けていた貴族令嬢としての努力が報われた感じだ。 しかし突然、妹のシェリーによって奪われてしまう。 両親もシェリーを優先する始末で、ファラの婚約は解消されてしまった。 「お前はお姉さんなのだから、我慢できるだろう? お前なら他にも良い相手がきっと見つかるさ」 父親からの無常な一言にファラは愕然としてしまう。彼女は幼少の頃から自分の願いが聞き届けられた ことなど1つもなかった。努力はきっと報われる……そう信じて頑張って来たが、今回の件で心が折れそうになっていた。 だが、ファラの努力を知っていた幼馴染の公爵令息に助けられることになる。妹のシェリーは侯爵との婚約が思っていたのと違うということで、返したいと言って来るが……はあ? もう遅いわよ。

妹のために犠牲になることを姉だから仕方ないで片付けないでください。

木山楽斗
恋愛
妹のリオーラは、幼い頃は病弱であった。両親はそんな妹を心配して、いつも甘やかしていた。 それはリオーラが健康体になってからも、続いていた。お医者様の言葉も聞かず、リオーラは病弱であると思い込んでいるのだ。 リオーラは、姉である私のことを侮っていた。 彼女は両親にわがままを言い、犠牲になるのはいつも私だった。妹はいつしか、私を苦しめることに重きを置くようになっていたのだ。 ある時私は、妹のわがままによって舞踏会に無理な日程で参加することになった。 そこで私は、クロード殿下と出会う。彼との出会いは、私の現状を変えていくことになるのだった。

婚約者を取り替えて欲しいと妹に言われました

月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ポーレット伯爵家の一人娘レティシア。レティシアの母が亡くなってすぐに父は後妻と娘ヘザーを屋敷に迎え入れた。 将来伯爵家を継ぐことになっているレティシアに、縁談が持ち上がる。相手は伯爵家の次男ジョナス。美しい青年ジョナスは顔合わせの日にヘザーを見て顔を赤くする。 レティシアとジョナスの縁談は一旦まとまったが、男爵との縁談を嫌がったヘザーのため義母が婚約者の交換を提案する……。

双子の妹は私に面倒事だけを押し付けて婚約者と会っていた

今川幸乃
恋愛
レーナとシェリーは瓜二つの双子。 二人は入れ替わっても周囲に気づかれないぐらいにそっくりだった。 それを利用してシェリーは学問の手習いなど面倒事があると「外せない用事がある」とレーナに入れ替わっては面倒事を押し付けていた。 しぶしぶそれを受け入れていたレーナだが、ある時婚約者のテッドと話していると会話がかみ合わないことに気づく。 調べてみるとどうもシェリーがレーナに成りすましてテッドと会っているようで、テッドもそれに気づいていないようだった。

【完結】私の婚約者の、自称健康な幼なじみ。

❄️冬は つとめて
恋愛
「ルミナス、すまない。カノンが…… 」 「大丈夫ですの? カノン様は。」 「本当にすまない。ルミナス。」 ルミナスの婚約者のオスカー伯爵令息は、何時ものようにすまなそうな顔をして彼女に謝った。 「お兄様、ゴホッゴホッ! ルミナス様、ゴホッ! さあ、遊園地に行きましょ、ゴボッ!! 」 カノンは血を吐いた。

婚約者を奪われた私が悪者扱いされたので、これから何が起きても知りません

天宮有
恋愛
子爵令嬢の私カルラは、妹のミーファに婚約者ザノークを奪われてしまう。 ミーファは全てカルラが悪いと言い出し、束縛侯爵で有名なリックと婚約させたいようだ。 屋敷を追い出されそうになって、私がいなければ領地が大変なことになると説明する。 家族は信じようとしないから――これから何が起きても、私は知りません。

処理中です...