お姉様、今度は貴方の恋人をもらいますわ。何でも奪っていく妹はそう言っていますが、その方は私の恋人ではありませんよ?

柚木ゆず

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第14話 縋る2人と揉める3人 俯瞰視点(1)

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「おっ、お願い致します!! どうかっ、どうか我々に救いの手をっ!!」
「貴方様しかっ、頼れる方はおりません……っ! エドモン様……っ! どうか……っ、どうかぁ……っっ!」

 ニネットのもとに両親からの手紙が届いてから、3日後。その手紙の送り主である父ガレオと母ナディアは、ダーファルズ伯爵家邸の前――門の前で両手を組み、必死に懇願をしていました。

 ――娘に送った手紙の返事がない――。
 ――このままでは何かが起きてしまう――。
 ――フレデリクの目は、本気の目だった。きっと命を落としてしまう――。
 ――エドモン様に助けていただかないと――。

 そういった理由で彼らは接触を試み、ですが――。エドモンにとって2人は、かつて大きな邪魔をした不愉快な人間。そのため面会の許可さえ下りず、こうして門の前で叫び続けていたのです。

「貴方様に忠誠を誓います!! 何でもご命令に従うっ、忠実な駒となりますのでっっ。どうかご慈悲を……っ!」
「エドモン様……っ。お願い致します……っ。わたくしたちにチャンスを……っ。ご慈悲を……っ! くださいませぇぇ……っっ!」

 運悪く、今日は雨。彼らは誠意を見せるため傘を差してはおらず、びしょ濡れになりながら訴えます。

「にっ、ニネットっ! ニネットっ、まずはっ、ニネットが話を聞いてくれないかっ!?」
「お願いよニネットっ! あの日のことはねっ、お父さんもお母さんも反省しているのよっ! だからお願――っっ。ニネット!! 出てきてくれたのね!!」

 屋敷の扉が開き、傘を差した娘が歩いてきました。そのため2人は、喜びの声を上げますが――。ニネットが目の前にやって来ると、瞬く間に喜びは消えてしまいました。
 なぜなら、

「どんなに泣き付いてきても、無駄ですわよ。……お前達・・・は、わたくしの人生を滅茶苦茶にした元凶なんですもの……っ。何を言っても絶対に手を貸さないようにと、わたくしからお願いしているのだからね……!!」

 久しぶりに会う次女は、まるで憤怒の化身のよう。瞳には大きな殺意と怒りが満ち満ちていて、ガレオ達が理解できない言葉を発したのですから。

「じ、人生を、滅茶苦茶にした……?」
「な、なにを言っているの……?」

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