お姉様、今度は貴方の恋人をもらいますわ。何でも奪っていく妹はそう言っていますが、その方は私の恋人ではありませんよ?

柚木ゆず

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第15話 末路・両親の場合 俯瞰視点(1)

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「……ああ……。いつまでこうしていれば、いいんだ……」
「……わたしたちは……。いったい……。いつになれば、解放されるの……」

 実の娘に平手打ちをされ、突き飛ばされ、追い返された日から1年後。沢山の護衛が集う、ネズレント邸内にある食堂。そこには、やせ細った老男と老女が――別人のように老いて痩せてしまったガレオとナディアがおり、2人は揃って天を仰いでいました。

 エドモンに助けてもらえなくなった。
 自分達で何とかするしかない。
 子爵家の自分達では侯爵家を止められない。
 怖い。嫌だ。死にたくない……っ。
 どうにか、して……。乗り越えてみせる……!

 そうして彼らはただちに腕利きの護衛を集め、周囲の守りを固めました。けれど――


「アンジェリーヌ様。貴方は心優しく、この手が汚れることを案じてくださる。ですが僕は、彼らを許せない。そこで僕が一切関与せずに『お礼』をできる、良い方法を思い付きましたよ」
「一切関与せず、ですか……? そちらは、どういったものなのでしょう……?」
「固定観念を植え付ける、ですね。『大きなことが、いずれ必ず起きてしまう』――。そう彼らに思い込ませて、自らを追い詰めてもらうようにしました」


 フレデリクにはこのように考えていて、あの日の言葉は全てがフェイク。そのためいつまで経っても異変は発生しないのですが、ガレオとナディアは知る由もありません。

 それによって『必ず来る』と信じ続け、1年間毎日神経を張りつめっぱなし。

 おまけにそんな2人は当主夫妻なため様々な公務があり、そちらは外出を伴うものなので、行いたくはありません。ですがそうしてしまうと、当主ではいられなくなるため――この屋敷にいることも護衛を雇うこともできなくなるため、『外』という非常に大きな不安要素を持つ場所で頻繁に行動をしなければならない。
 そういった心身への負荷を365日24時間体制で受け続けていたため、彼らはこんな変わり果てた姿となってしまっていたのです。

 そして――
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