お姉様、今度は貴方の恋人をもらいますわ。何でも奪っていく妹はそう言っていますが、その方は私の恋人ではありませんよ?

柚木ゆず

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第15話 末路・両親の場合 俯瞰視点(2)

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「……我々は……。間違ってしまった……」
「……ニネットを……。あんな馬鹿な子を可愛がったのは……。間違いだったわ……」

 今日もいつものように、力なく天井を仰いでいた2人。そんなガレオとナディアは続いて、すっかり常套句となっているものを零しました。

『それは、できないよ……。これはおばあ様の形見で――』
『「もらった」という思い出が出来たのだから、それで充分でしょう? イヤリングだってわたくしにつけてもらった方が幸せなんですしね。差し出してくださいまし、さあ早く』
『アンジェリーヌ、さっさと渡さないか! お前はお姉ちゃんだろう!!』
『ニネットの言う通りで、思い出があれば充分でしょう? 妹を幸せにするのが、姉の役目よっ。早くなさい!』

 彼らはこれまで、次女を溺愛していました。その結果フレデリクに睨まれるようになり、挙句散々可愛がってきたニネットにも捨てられる羽目になってしまいました。
 そのためようやく、自身の過ちに気が付いていたのです。

「……アンジェリーヌは……。我々に、似てはいなかったが……。我々をちゃんと家族と思い、ちゃんと想ってくれていた……」
「……だから……。違う接し方をするべきだった……。あの子は、真っすぐな優しい子だったのだから……。厳しくするのはニネットに対してで、あの子こそ可愛がるべきだったのよ……」

 およそ7か月前にエズラルの姓となった、アンジェリーヌ。彼女は両親や妹に諦めを抱いていなかった頃、『ニネット。色仕掛けはよくないよ』『お父様お母様。ニネットのためになりませんよ』『いずれお父様とお母様にも、大きな悪影響を及ぼしてしまいますよ』などなど――。家族を想って懸命に、軌道の修正を試みていました。
 彼らは『それこそが正しかった』ともようやく気が付き、大間違いを犯していたと理解していたのです。

「……我々は、ずっと道を間違えていた……。やり直したい……。1からやり直したい……!」
「こんな風に、怯えないでいい毎日に……。楽しく笑えていた毎日に、戻りたい……。お願いよ……。時間よ、巻き戻って……!!」

 彼らは今日もまた逆行を祈りますが、そんなことなど起きるはずがありません。『やり直し』のチャンスを得ることはできず、この状況は継続します。
 そのため――

「ぅぁぁぁぁぁ……っ。うああああああああ……!!」
「ぁぁぁ……! もう、こんな日々は嫌だぁぁぁぁぁぁ……!!」

 ――ネズレント子爵家邸ではその先もずっと、当主夫妻の後悔と嗚咽が発生し続けるのでした。





 ※明日の投稿分では少しだけ時間が戻り、エドモンのざまぁに関するお話を投稿させていただきます。
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