32 / 38
第16話 末路・エドモンの場合 俯瞰視点(2)
しおりを挟む
「…………エズラル様。どういった御用なのでしょうか?」
場に居るのはお互いの従者のみ、オフレコでお願いします――。そんな要望を受けてフレデリクを馬車内へと招き入れ、エドモンはやや不機嫌に正面を見つめました。
彼は一秒でも早くレナ・レヴィオルズに会いたがっていて、彼の中には『自分は侯爵家にも一目置かれる存在』『その気になれば侯爵家とも渡り合える』という認識が当然のようにありました。そのため格上が相手でも低姿勢とはならず、唇を尖らせていたのです。
「こちらには本日大事な予定があり、極力ロスは避けたいのですよ。故に単刀直入にお願い致します」
「承知いたしました。それでは、ご希望通りの行動を致しますね」
そんな視線、態度を向けられていても、穏やかな表情を変えないフレデリク。そんな彼は小さく頷き、
「レヴィオルズ子爵家のレナ様への接触を中止し、一生涯現在の伴侶であるニネットのみを愛し続けてください。これが僕からのお願いですよ」
エドモンがたまらずギョッとなる台詞を、口にしたのでした。
「ニネットの見た目があんなことになってしまって、飽きたのですよね? ですがそうなると、こちらとしては少々困るのですよ。そこでレナ様――その他の女性への接触は金輪際控え、初志貫徹でお願い致します」
「ばっ、バカを言え!! 断る!! そんなもの断るに決まっているだろう!!」
あんなブスとは一緒に居られない。お前の都合に合わせる筋合いはない。
そんな理由でエドモンは声を荒らげ、フレデリクを睨みつけました。
「お前が何を考えているかは知らん!! これは俺の人生なんだぞ!! 俺がやりたいようにやる!!」
「……そうですか。お願いを聞いてはいただけないのですね」
「当然だ!! さあっ、しょうもない話は終わりだ!! 俺はこれから、レナに会いに行かなければならないのだからな!! 早く出て行ってくれ!!」
「……そうですか。では、仕方がありませんね」
引き続き穏やかな表情を浮かべていた、フレデリク。その様子は嘆息を合図に、一変します。
柔らかさを含んでいた両目は、氷のように冷たく鋭くなって――。極寒をもたらすかの如き声音で、こう告げたのでした。
「お願いではなく、命令をしましょうか。……エドモン・ダーファルズ。全てを失いたくなければ、大人しく言いつけを守ってください」
場に居るのはお互いの従者のみ、オフレコでお願いします――。そんな要望を受けてフレデリクを馬車内へと招き入れ、エドモンはやや不機嫌に正面を見つめました。
彼は一秒でも早くレナ・レヴィオルズに会いたがっていて、彼の中には『自分は侯爵家にも一目置かれる存在』『その気になれば侯爵家とも渡り合える』という認識が当然のようにありました。そのため格上が相手でも低姿勢とはならず、唇を尖らせていたのです。
「こちらには本日大事な予定があり、極力ロスは避けたいのですよ。故に単刀直入にお願い致します」
「承知いたしました。それでは、ご希望通りの行動を致しますね」
そんな視線、態度を向けられていても、穏やかな表情を変えないフレデリク。そんな彼は小さく頷き、
「レヴィオルズ子爵家のレナ様への接触を中止し、一生涯現在の伴侶であるニネットのみを愛し続けてください。これが僕からのお願いですよ」
エドモンがたまらずギョッとなる台詞を、口にしたのでした。
「ニネットの見た目があんなことになってしまって、飽きたのですよね? ですがそうなると、こちらとしては少々困るのですよ。そこでレナ様――その他の女性への接触は金輪際控え、初志貫徹でお願い致します」
「ばっ、バカを言え!! 断る!! そんなもの断るに決まっているだろう!!」
あんなブスとは一緒に居られない。お前の都合に合わせる筋合いはない。
そんな理由でエドモンは声を荒らげ、フレデリクを睨みつけました。
「お前が何を考えているかは知らん!! これは俺の人生なんだぞ!! 俺がやりたいようにやる!!」
「……そうですか。お願いを聞いてはいただけないのですね」
「当然だ!! さあっ、しょうもない話は終わりだ!! 俺はこれから、レナに会いに行かなければならないのだからな!! 早く出て行ってくれ!!」
「……そうですか。では、仕方がありませんね」
引き続き穏やかな表情を浮かべていた、フレデリク。その様子は嘆息を合図に、一変します。
柔らかさを含んでいた両目は、氷のように冷たく鋭くなって――。極寒をもたらすかの如き声音で、こう告げたのでした。
「お願いではなく、命令をしましょうか。……エドモン・ダーファルズ。全てを失いたくなければ、大人しく言いつけを守ってください」
18
あなたにおすすめの小説
永遠の誓いをあなたに ~何でも欲しがる妹がすべてを失ってからわたしが溺愛されるまで~
畔本グラヤノン
恋愛
両親に愛される妹エイミィと愛されない姉ジェシカ。ジェシカはひょんなことで公爵令息のオーウェンと知り合い、周囲から婚約を噂されるようになる。ある日ジェシカはオーウェンに王族の出席する式典に招待されるが、ジェシカの代わりに式典に出ることを目論んだエイミィは邪魔なジェシカを消そうと考えるのだった。
【完結】いつも私をバカにしてくる彼女が恋をしたようです。〜お相手は私の旦那様のようですが間違いはございませんでしょうか?〜
珊瑚
恋愛
「ねぇセシル。私、好きな人が出来たの。」
「……え?」
幼い頃から何かにつけてセシリアを馬鹿にしていたモニカ。そんな彼女が一目惚れをしたようだ。
うっとりと相手について語るモニカ。
でもちょっと待って、それって私の旦那様じゃない……?
ざまぁというか、微ざまぁくらいかもしれないです
妹が私の婚約者を奪った癖に、返したいと言ってきたので断った
ルイス
恋愛
伯爵令嬢のファラ・イグリオは19歳の誕生日に侯爵との婚約が決定した。
昔からひたむきに続けていた貴族令嬢としての努力が報われた感じだ。
しかし突然、妹のシェリーによって奪われてしまう。
両親もシェリーを優先する始末で、ファラの婚約は解消されてしまった。
「お前はお姉さんなのだから、我慢できるだろう? お前なら他にも良い相手がきっと見つかるさ」
父親からの無常な一言にファラは愕然としてしまう。彼女は幼少の頃から自分の願いが聞き届けられた
ことなど1つもなかった。努力はきっと報われる……そう信じて頑張って来たが、今回の件で心が折れそうになっていた。
だが、ファラの努力を知っていた幼馴染の公爵令息に助けられることになる。妹のシェリーは侯爵との婚約が思っていたのと違うということで、返したいと言って来るが……はあ? もう遅いわよ。
妹のために犠牲になることを姉だから仕方ないで片付けないでください。
木山楽斗
恋愛
妹のリオーラは、幼い頃は病弱であった。両親はそんな妹を心配して、いつも甘やかしていた。
それはリオーラが健康体になってからも、続いていた。お医者様の言葉も聞かず、リオーラは病弱であると思い込んでいるのだ。
リオーラは、姉である私のことを侮っていた。
彼女は両親にわがままを言い、犠牲になるのはいつも私だった。妹はいつしか、私を苦しめることに重きを置くようになっていたのだ。
ある時私は、妹のわがままによって舞踏会に無理な日程で参加することになった。
そこで私は、クロード殿下と出会う。彼との出会いは、私の現状を変えていくことになるのだった。
婚約者を取り替えて欲しいと妹に言われました
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ポーレット伯爵家の一人娘レティシア。レティシアの母が亡くなってすぐに父は後妻と娘ヘザーを屋敷に迎え入れた。
将来伯爵家を継ぐことになっているレティシアに、縁談が持ち上がる。相手は伯爵家の次男ジョナス。美しい青年ジョナスは顔合わせの日にヘザーを見て顔を赤くする。
レティシアとジョナスの縁談は一旦まとまったが、男爵との縁談を嫌がったヘザーのため義母が婚約者の交換を提案する……。
双子の妹は私に面倒事だけを押し付けて婚約者と会っていた
今川幸乃
恋愛
レーナとシェリーは瓜二つの双子。
二人は入れ替わっても周囲に気づかれないぐらいにそっくりだった。
それを利用してシェリーは学問の手習いなど面倒事があると「外せない用事がある」とレーナに入れ替わっては面倒事を押し付けていた。
しぶしぶそれを受け入れていたレーナだが、ある時婚約者のテッドと話していると会話がかみ合わないことに気づく。
調べてみるとどうもシェリーがレーナに成りすましてテッドと会っているようで、テッドもそれに気づいていないようだった。
【完結】私の婚約者の、自称健康な幼なじみ。
❄️冬は つとめて
恋愛
「ルミナス、すまない。カノンが…… 」
「大丈夫ですの? カノン様は。」
「本当にすまない。ルミナス。」
ルミナスの婚約者のオスカー伯爵令息は、何時ものようにすまなそうな顔をして彼女に謝った。
「お兄様、ゴホッゴホッ! ルミナス様、ゴホッ! さあ、遊園地に行きましょ、ゴボッ!! 」
カノンは血を吐いた。
婚約者を奪われた私が悪者扱いされたので、これから何が起きても知りません
天宮有
恋愛
子爵令嬢の私カルラは、妹のミーファに婚約者ザノークを奪われてしまう。
ミーファは全てカルラが悪いと言い出し、束縛侯爵で有名なリックと婚約させたいようだ。
屋敷を追い出されそうになって、私がいなければ領地が大変なことになると説明する。
家族は信じようとしないから――これから何が起きても、私は知りません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる