お姉様、今度は貴方の恋人をもらいますわ。何でも奪っていく妹はそう言っていますが、その方は私の恋人ではありませんよ?

柚木ゆず

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第16話 末路・エドモンの場合 俯瞰視点(2)

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「…………エズラル様。どういった御用なのでしょうか?」

 場に居るのはお互いの従者のみ、オフレコでお願いします――。そんな要望を受けてフレデリクを馬車内へと招き入れ、エドモンはやや不機嫌に正面を見つめました。
 彼は一秒でも早くレナ・レヴィオルズに会いたがっていて、彼の中には『自分は侯爵家にも一目置かれる存在』『その気になれば侯爵家とも渡り合える』という認識が当然のようにありました。そのため格上が相手でも低姿勢とはならず、唇を尖らせていたのです。

「こちらには本日大事な予定があり、極力ロスは避けたいのですよ。故に単刀直入にお願い致します」
「承知いたしました。それでは、ご希望通りの行動を致しますね」

 そんな視線、態度を向けられていても、穏やかな表情を変えないフレデリク。そんな彼は小さく頷き、

「レヴィオルズ子爵家のレナ様への接触を中止し、一生涯現在の伴侶であるニネットのみを愛し続けてください。これが僕からのお願いですよ」

 エドモンがたまらずギョッとなる台詞を、口にしたのでした。

「ニネットの見た目があんなことになってしまって、飽きたのですよね? ですがそうなると、こちらとしては少々困るのですよ。そこでレナ様――その他の女性への接触は金輪際控え、初志貫徹でお願い致します」
「ばっ、バカを言え!! 断る!! そんなもの断るに決まっているだろう!!」

 あんなブスとは一緒に居られない。お前の都合に合わせる筋合いはない。
 そんな理由でエドモンは声を荒らげ、フレデリクを睨みつけました。

お前が・・・何を考えているかは知らん!! これは俺の人生なんだぞ!! 俺がやりたいようにやる!!」
「……そうですか。お願いを聞いてはいただけないのですね」
「当然だ!! さあっ、しょうもない話は終わりだ!! 俺はこれから、レナに会いに行かなければならないのだからな!! 早く出て行ってくれ!!」
「……そうですか。では、仕方がありませんね」

 引き続き穏やかな表情を浮かべていた、フレデリク。その様子は嘆息を合図に、一変します。
 柔らかさを含んでいた両目は、氷のように冷たく鋭くなって――。極寒をもたらすかの如き声音で、こう告げたのでした。

「お願いではなく、命令をしましょうか。……エドモン・ダーファルズ。全てを失いたくなければ、大人しく言いつけ・・・・を守ってください」

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