婚約者と妹が運命的な恋をしたそうなので、お望み通り2人で過ごせるように別れることにしました

柚木ゆず

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第7話 その日の夜 メリッサ視点

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「そっかぁ……。チェスの連戦には、そんな理由りゆーがあったんだね……」

 どっさり疲れた日の、夜のコトでした。オスカーがお風呂に入っている時にオスカーの従者ハルクさんがやって来てくれて、理解しちゃいました。

『ノエマイン様、申し訳ございません……。オスカー我が主は、とにかく勝負ごとに目がなく大の負けず嫌いなのでございます……』

 チェスを提案してたら飛びついてきたのも、『もう一勝負』を繰り返していたのも、それが原因。
 テストでも運動でも、なんでもそー。勝負とつくと炎がメラッとなって、勝つまで挑戦し続けちゃうんだって……。

「まさか、オスカーにそんな一面があるなんて……。知らなかったよぉ……」

『あれれ~? オスカーさん、ご機嫌ですね~?』
『さっきまでヴィクトリアとバックギャモンをやっていて、良い勝負だったんだ。ギリギリの勝利を掴み取れて、達成感で満ちているんだ』
『接戦、だったよね。またやりましょ、オスカー』

 おねぇちゃんとはよくゲームをしていて、オスカーもおねぇちゃんも勝負の後はニコニコしてた。
 だから……。そんな性格なんだって、気が付かなかったよ……。

「これからは頻繁に、こ~やって2人で遊べると思ってたのに……。こんなコトになっちゃうなら、もぅできないよぉ……」

 うっかり勝っちゃったら、何時間も同じゲームをする羽目になるんだもん。楽しめるワケないよ……。

「……はぁ~……。また、予想外が起きちゃったよぉ……」

 今日は昨日と一昨日の分まで、ニコニコ~な時間を過ごそうと思っていたのに……。知らなかった一面を発見しちゃって、引っ越しの日以上に嫌なやな気分になっちゃった……。

「オスカーと、婚約したけど……。………………あたしってばこれから、楽しくやってけるのかな……?」

 オスカーは、120点満点の人なのに――。やってけるって、言い切れる自信がなくなってきちゃった。

「……もしかして、この婚約って……。しっぱ――ううんっ、違う違うっ。だーじょうぶっ、きっとこれからはだいじょーぶ」

 知らない間に出てた言葉をごくっと飲み込んで、目を瞑りましたっ。

「今日までのコトは、寝て忘れよう。…………もぅ、意外な一面なんてないよね。今日知ったトコを気を付けとけば、問題なっし。明日からはぜったいに、想像してた通りの毎日になっちゃいますっ」

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