私を利用するための婚約だと気付いたので、別れるまでチクチク攻撃することにしました

柚木ゆず

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第2話 関係崩壊の始まり エリック視点

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「エリック……。もしかして本当は、リナの方が好きなんじゃないですの?」

 悪い予感が、的中してしまった。
 大急ぎで戻るとリウの頬は膨れていて、腕組み+ジト目という状態。想像していたよりもずっと、機嫌が悪くなっていた。

「今日はわたくし達にとって、とーーーーっても大切な日。それなのに、戻ってきたのはこんな時間」
「そ、それは……。ライグから聞いていると思うけど、アイツが我が儘を言い出して――」
「それは、分かっていますわ。でも『客人が他者の存在を気にするから』とか、いくらでも来させないようにする方法はありますでしょう? なのにそうしなかったという事は、そういう事なんじゃないですの?」

 実は真逆で、わたくしの方が遊びなのではないか――。ブラウンの可愛らしい瞳は、そんな疑念で満ちてしまっている。

「ちっ、違うよっ、それは有り得ないからっ。確かに冷静に考えてみたら方法はいくらでもあったけど、あの状況は予想外。未曽有の事態なんだっ。酷く焦ってしまっていて、思考回路がまともに働かなくなっていたんだよっっ」

 ついていくという言葉で動揺してしまい、主導権を完全に握られていた。運悪く、都合の悪い単語が出てしまったのが原因だ。

「君との約束がなかったら、こうはなっていなかった。あれは、不幸な偶然で――」
「……エリック。つまり貴方は、わたくしにも責任があると言いたいんですね?」
「えっ!? なんでそうなるの――ぁ」

 しまった! 『他の予定だったらどうでもよくて、落ち着いて対処できたはず』という意味だったのに、語弊がある言い方になってしまっていた!
 しかも……。その台詞を出す直前に、おもわず舌打ちをしたことが――リナヤツへの怒りを露わにしたこともリウへのものと誤解されてしまい、不満を抱いていると思われてしまった。

「…………………」
「ちっ、違うんだリウっ。違うんだよリウっ!」
「…………………」
「あのねっ? あのねっっ? 今のは決して――」
「今日はもう、家に帰らせてもらいます。……長々と待って、損をしましたわ」

 キッと睨んだリウは一度も振り向かないまま家を出て行き、言葉通りそのまま馬車に乗って去ってしまった。
 幸い、完全に嫌いにはなっていないみたいだけど……。元々の機嫌の悪さもあって、元の関係に戻るには時間がかかりそうだ……。

((と、とりあえず、明日……。欲しがっていたネックレスを、プレゼントして……。許してくれるまで、頭を下げて謝ろう……っ))

 大好きな人に初めて睨まれてしまったせいか、俺の頭の中は関係修復で一杯で。ラッキーなことに翌日無事に仲直りできたものの、その日の徹夜が祟ってその後丸一日寝込む羽目になったのだった――。

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