私を利用するための婚約だと気付いたので、別れるまでチクチク攻撃することにしました

柚木ゆず

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第3話 報告と、勘違い? リナ視点

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「エリック・ミオファは今日の午後8時58分に、『アクシー』という店で約52万のアクセサリーを購入。その後入念に人目の有無を確認し、リウ・マーズのもとを訪ねて渡した模様です。この情報は、今後の『お返し』に利用できるのではないでしょうか?」

 エリックさんを遅くまで引き留めた日の、次の日の夜。茶色の髪を肩まで伸ばした、同い年くらいの美少年さんが来訪されて、私とお父様の前で爽やかに微笑みました。
 なんでもこの方は、お父様が仰っていた『頼もしい味方』の関係者さん。役立ちそうなものが手に入ったため、わざわざ来てくださったようです。

「おりしもアクシーは、『アンゼサール』にある装身具店。明後日お互いにとって偽りのデートをする場所にありますから、何かと面白い事ができそうですよ」
「ええ、そうですな。その事実はリナが閃いていたものと相性が良く、上手く使えば効果が何倍にも跳ね上がりそうです」

 あの夜からすでに色々考えていて、作戦が浮かんでいました。それと教えていただいた事を組み合わせたら、効果抜群になります。

「やはりリナ様の中には、次の一手があったのですね。自分への攻撃に対しては程ほどに怒るだけなのに、大切な人達への攻撃にはとても怒る――。色々とありましたが、その性質は健在なのですね」
「えっ? 私を御存じなのですか?」

 その口ぶりは、ずっと前から知っているように思えます。
 だけど私には会った覚えがなくて、記憶力には自信があるため忘れているはずはありません。一体、どういうことなのでしょうか……?

「すみません。僕は昔から、ユーゴ様の知人――件の『頼もしい味方』からリナ様のお話を聞かされており、つい旧知のような台詞になってしまいました。突然こんな事を言われたら、気味が悪いですよね」
「いえ、そんな感情は抱いていませんよ。それとは真反対で、なぜか照れ臭い気分になっています」

 このお顔は一度も拝見した記憶がないし、誰かと文通などをした経験も一度もない。どこにも接点はないはずなのに、妙な懐かしさがあるような。
 自分でも理由が分からないのですが、不思議な気持ちになっています。

「…………そうなのですか」(リナちゃん・・・らしいね)
「? あの。今、なんと仰いましたか?」
「いえ、独り言です。それではユーゴ様、リナ様、そろそろ失礼いたしますね。夕食のお誘いは大変光栄なのですが、私用がありますので」

 柔らかく目を細めていた彼は椅子から立ち上がり、お手本のような所作で腰を折り曲げて――。引き続き丁寧に顔を上げたあと、私と左側の壁を交互に見てから去っていかれたのでした。

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