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第4話 デート、またの名を周囲への仲良しアピール エリック視点 (4)
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「エリックさんっ。こちらに決めました」
「え……。こ、これ……!?」
あれから、およそ30分後。俺は、唖然としつつ目を瞬かせていた。
な、なぜならば。コイツが選んだものは、合わせて300万もするペアネックレスだったからだ!
互いの誕生石を挟んだドラム型のペンダントトップが特徴の、シンプルながらもお洒落な一品(ひとしな)。
なぜ今回に限って300万!? しかもペアなんだ!?
「そういえばまだ、お揃いの物を持っていなくって……。この機会に揃えたいなって、思いました」
「そ、そうなんだ、あはははは……。そ、それで、どうしてこれにしたいのかな?」
「こちらでしたら、フォーマルな場所でもOKで……。いつでもつけていられるので、いいかなって……。思いました」
「そ、そっかぁ。あはははははははは……」
確かに、お前の言う通りだ。このデザインなら、どんな時でも対応できる。
だが、リナ。お前は値段を見たのか? そこにある値札が見えているのかっ?
((侯爵家でも、300はポンと買える額ではない。しかも……っっ))
買ってあげる相手は、コイツだ。好きでもない、このクソ女だ。本音を言っていいのであれば、即座に断り罵倒している。
けれど――。
『リナが良いと思ったものを買ってあげるよ』
つい30分前に、俺はそう言ってしまった。それに――。
「私の我儘ですから。エリックさんの分は、私がお出しします」
この女は、無意識的に退路を塞いできやがった。
体裁を考えるとここまで言われてしまっては断れないし、コイツに出させることもできない。………………………………仕方が、ないな。
「今日は俺がエスコートをする日だから、君に払わせはしないよ。店長、こちらを頂きます」
懸命に穏やかな表情を作って護衛を呼び――金を払い、上機嫌のリナと共に店を出たのだった。
「エリックさん、本当にありがとうございますっ。今日からお互い、ずっとつけていましょうね……っ」
「あ、ああ、そうだね。ずっと、つけようね」((……前回の反省を活かして、帰ったらリウに説明しに行こう。作戦の一環だときちんと説明しておけば、ペアを買っていても怒りは――いや。多分、リウは怒るぞ……))
あの子と俺は『一緒に買い物をして』、『一緒に選んだペアのネックレス』を買おうと約束している。
3日前にコイツが引き留めたせいで、リウはありもしない浮気の可能性を疑っているから……。邪推されしまいそうだ。
((…………この件は、内緒にしておいた方が良いな。よし……。そうしよう))
この店の人間はリウと俺の関係は知らないし、間違いなく今もさっきもリウの関係者には見られていない。バレる心配は、ない。
((リウ、ごめんよ。誤解を生まないために、君に初めて隠し事をさせてもらうね))
俺は今一度心の中で愛する人に頭を下げ、そのあと原因を作った女を密かに睨みつけ――。さっさとリナを送り届け、家路についたのだった。
「え……。こ、これ……!?」
あれから、およそ30分後。俺は、唖然としつつ目を瞬かせていた。
な、なぜならば。コイツが選んだものは、合わせて300万もするペアネックレスだったからだ!
互いの誕生石を挟んだドラム型のペンダントトップが特徴の、シンプルながらもお洒落な一品(ひとしな)。
なぜ今回に限って300万!? しかもペアなんだ!?
「そういえばまだ、お揃いの物を持っていなくって……。この機会に揃えたいなって、思いました」
「そ、そうなんだ、あはははは……。そ、それで、どうしてこれにしたいのかな?」
「こちらでしたら、フォーマルな場所でもOKで……。いつでもつけていられるので、いいかなって……。思いました」
「そ、そっかぁ。あはははははははは……」
確かに、お前の言う通りだ。このデザインなら、どんな時でも対応できる。
だが、リナ。お前は値段を見たのか? そこにある値札が見えているのかっ?
((侯爵家でも、300はポンと買える額ではない。しかも……っっ))
買ってあげる相手は、コイツだ。好きでもない、このクソ女だ。本音を言っていいのであれば、即座に断り罵倒している。
けれど――。
『リナが良いと思ったものを買ってあげるよ』
つい30分前に、俺はそう言ってしまった。それに――。
「私の我儘ですから。エリックさんの分は、私がお出しします」
この女は、無意識的に退路を塞いできやがった。
体裁を考えるとここまで言われてしまっては断れないし、コイツに出させることもできない。………………………………仕方が、ないな。
「今日は俺がエスコートをする日だから、君に払わせはしないよ。店長、こちらを頂きます」
懸命に穏やかな表情を作って護衛を呼び――金を払い、上機嫌のリナと共に店を出たのだった。
「エリックさん、本当にありがとうございますっ。今日からお互い、ずっとつけていましょうね……っ」
「あ、ああ、そうだね。ずっと、つけようね」((……前回の反省を活かして、帰ったらリウに説明しに行こう。作戦の一環だときちんと説明しておけば、ペアを買っていても怒りは――いや。多分、リウは怒るぞ……))
あの子と俺は『一緒に買い物をして』、『一緒に選んだペアのネックレス』を買おうと約束している。
3日前にコイツが引き留めたせいで、リウはありもしない浮気の可能性を疑っているから……。邪推されしまいそうだ。
((…………この件は、内緒にしておいた方が良いな。よし……。そうしよう))
この店の人間はリウと俺の関係は知らないし、間違いなく今もさっきもリウの関係者には見られていない。バレる心配は、ない。
((リウ、ごめんよ。誤解を生まないために、君に初めて隠し事をさせてもらうね))
俺は今一度心の中で愛する人に頭を下げ、そのあと原因を作った女を密かに睨みつけ――。さっさとリナを送り届け、家路についたのだった。
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