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第1話 再会 アリアン視点(4)
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「数多くの高級リストランテを所有する有名人、ルーカッソ・テトロア。その人がわたくしのお父様なんですのよ」
どうしてソリ―ヌの周りに、ボディーガードの方々がいらっしゃるのだろう? その謎がようやく解決しました。
そういうこと、だったのですね。
「ルーカッソお父様はわたくしを実の娘として可愛がってくださって、テトロア家の一員になったその日からとても良くしてくださっていますのよ。最初の日は3段の特大ケーキを用意して歓迎してくれましたし、大きな部屋――当時わたくし達が二段ベッドで寝ていたあの部屋の、ゆうに3倍はある部屋をくれましたのよ。それだけではありませんわ。綺麗なお洋服、アクセサリー、美味しい食べ物、習い事。わたくしが『欲しい』『やりたい』と思ったことはなんでも、すぐに叶えてくれますのよ」
「そ、そうなので――」
「特に印象に残っているのは、17の誕生日のプレゼントですわね。なんとお父様はわたくし専用の馬車をくださったの。ねえアリアン。あなた、自分の馬車は持っている?」
「い、いえ。持っていません」
「何百万ルーバラもする、豪華な馬車なんですのよ? お父様はそんな値段のものをポンと出せるくらいのお金持ちで、有能故に出るより入ってくるお金の方が断然多いんですの。だからそれ以外にも沢山高価なものをいただいていて、ほら御覧なさい。コレとコレもそうなんですのよ」
両耳で輝くダイヤのイヤリングと、右手の指できらめくサファイヤのリング。13の時と14の時の贈り物を、順番に指差しました。
「12の時は100万ルーバラするティアラ、11の時は100万ルーバラのブレスレット。まだまだわたくしの広いお部屋には素敵なプレゼントがあって、物だけではありませんのよ。去年はわたくしが望んだらすぐ隣国への5泊6日の旅行が叶って、しかも宿泊はすべてスウィート。まるで貴族のような時間を過ごせましたわ」
「そ、そうなんで――」
「貴族のような? いいえ、下級貴族以上の時間でしたわね。というかそもそも、普段からして下級貴族以上の環境で生きているんですわ。爵位があるだけの、財もコネクションも低レベルなお家がいくつある。逆にウチは爵位がないだけで、他の部分は彼らよりも遥かに上。平民ではあるものの、貴族を超える存在なのですわ」
ソリ―ヌは誇らしげに胸を張り、ニンマリと笑みを浮かべました。
「どうですの、アリアン。どう思いますの、アリアン」
「え? なにが、ですか?」
「ふふふ。もぅ、とぼけちゃって。問いの意味は分かってるでしょう? 羨ましいかどうか、を聞いていますのよ。……どう思いますの、アリアン?」
「は、はい! ソリーヌが羨ましいです! とてもっ!」
「でしょう!? そうでしょう!! おほほほほほほほ!! おほほほほほほほほ!! おほほほほほほほほほ――………………」
「??? そ、ソリ―ヌ?」
上機嫌で笑っていたのに、突然真顔になってしまいました。
ど、どうしたのでしょう……?
どうしてソリ―ヌの周りに、ボディーガードの方々がいらっしゃるのだろう? その謎がようやく解決しました。
そういうこと、だったのですね。
「ルーカッソお父様はわたくしを実の娘として可愛がってくださって、テトロア家の一員になったその日からとても良くしてくださっていますのよ。最初の日は3段の特大ケーキを用意して歓迎してくれましたし、大きな部屋――当時わたくし達が二段ベッドで寝ていたあの部屋の、ゆうに3倍はある部屋をくれましたのよ。それだけではありませんわ。綺麗なお洋服、アクセサリー、美味しい食べ物、習い事。わたくしが『欲しい』『やりたい』と思ったことはなんでも、すぐに叶えてくれますのよ」
「そ、そうなので――」
「特に印象に残っているのは、17の誕生日のプレゼントですわね。なんとお父様はわたくし専用の馬車をくださったの。ねえアリアン。あなた、自分の馬車は持っている?」
「い、いえ。持っていません」
「何百万ルーバラもする、豪華な馬車なんですのよ? お父様はそんな値段のものをポンと出せるくらいのお金持ちで、有能故に出るより入ってくるお金の方が断然多いんですの。だからそれ以外にも沢山高価なものをいただいていて、ほら御覧なさい。コレとコレもそうなんですのよ」
両耳で輝くダイヤのイヤリングと、右手の指できらめくサファイヤのリング。13の時と14の時の贈り物を、順番に指差しました。
「12の時は100万ルーバラするティアラ、11の時は100万ルーバラのブレスレット。まだまだわたくしの広いお部屋には素敵なプレゼントがあって、物だけではありませんのよ。去年はわたくしが望んだらすぐ隣国への5泊6日の旅行が叶って、しかも宿泊はすべてスウィート。まるで貴族のような時間を過ごせましたわ」
「そ、そうなんで――」
「貴族のような? いいえ、下級貴族以上の時間でしたわね。というかそもそも、普段からして下級貴族以上の環境で生きているんですわ。爵位があるだけの、財もコネクションも低レベルなお家がいくつある。逆にウチは爵位がないだけで、他の部分は彼らよりも遥かに上。平民ではあるものの、貴族を超える存在なのですわ」
ソリ―ヌは誇らしげに胸を張り、ニンマリと笑みを浮かべました。
「どうですの、アリアン。どう思いますの、アリアン」
「え? なにが、ですか?」
「ふふふ。もぅ、とぼけちゃって。問いの意味は分かってるでしょう? 羨ましいかどうか、を聞いていますのよ。……どう思いますの、アリアン?」
「は、はい! ソリーヌが羨ましいです! とてもっ!」
「でしょう!? そうでしょう!! おほほほほほほほ!! おほほほほほほほほ!! おほほほほほほほほほ――………………」
「??? そ、ソリ―ヌ?」
上機嫌で笑っていたのに、突然真顔になってしまいました。
ど、どうしたのでしょう……?
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