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第3話 光と影 ソリーヌ視点(3)
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((もう……! お父様ったら、本当にケチなんだから……!!))
ソリーヌ・テトロアとなったわたくしを待っていたのは、キラキラ輝く裕福な毎日。ではなかった。
体裁のためにお屋敷には住んでいるものの、豪華なのは外観や客が通る部分のみ。それ以外の部分は質素にしていて、まるで金持ちに憧れた凡人が背伸びをして建てたような有様。
食事だって3食ともせいぜい中の上レベルで、家具や服だって同レベル。応接室にあるようなキラキラした高級家具は一切なくて、パーティーの際に着ているような超高級な服だって普段は着ない。
旅行をした際だってスゥイートに泊まる財力があるくせに、毎回毎回わざわざランクを落した部屋に泊まる。
わたくしを待っていたのは、こんな期待外れな毎日だったのだ。
『いいかいソリーヌ、人生何があるか分からない。いつどんな形で、お金が無くなったり店が無くなったりするか分からないんだ。もしもの時にちゃんと生きていけるように、しっかりと備えておかないといけないんだよ』
お父様はとにかく心配性で、お金に糸目をつけないのは誕生日などの記念日や家族に良いことがあった時だけ。ああそれと、恵まれない存在に寄付をする時もそうだったかしら。
……そんなふざけた方針のせいで普段は『ちょっと裕福な家』レベルの生活しかできなくて、盛大な歓迎パーティーが開かれた翌日からず~~~~~っとわたくしは内心イライラしていたのだった。
((……でもまあ。もう少しの辛抱ですわね))
日々の生活は『ちょっと裕福な家』でも、世間からのお父様の評価は『有能経営者』であり『大金持ち』。そんな人の一人娘ということもあって孤児院から来たという過去があっても、ハイレベルの男と結婚することができる。
実際周りにいるのはそういった人ばかりで、そんな人間と結婚すれば相手の生活水準になる――贅沢な暮らしができるようになる。
だから納得のいかない毎日でも我慢をすることができて、ずっと耐えられてきたのだった。
なのに……。
そんなわたくしを、悲劇が追い打ちするのだった……。
「ええっ!? ロンダマークさんは駄目なのですか!?」
「……他言無用で頼むよ? 彼の家は――彼自身も、違法すれすれのやり方で稼いでいると判明したのだよ。そんなことをできてしまえる家と関係を持つわけにはいかんし、なにより、そんな良からぬ者にお前を嫁がせるわけにはいかんのだ」
参加したパーティーで一目惚れをして、意気投合までした美男。容姿も内面も財力も完璧な『運命の人』だと感じる相手と出逢えていたのに、調査によって縁を結べなくなってしまった。
((違法すれすれ!? なら合法じゃない!! 最後の一線を越えないっていう常識を持ち合わせている家なんだからっ、構わないじゃない!! それにロンダマークさんはっ、良からぬものなんかじゃない!! 思いやりがあって素晴らしい人ですわ!!))
家に嫁いでも悪いことは起きはしないし、ロンダマークさんと結婚しても悪いことは起きない。
なにも心配はいらないのにまた心配性が出て、いくら説得してもやっぱり駄目で……。わたくしは大粒の涙を流す羽目になってしまったのだった……。
((もう!! もう!! もう!! もう!! お父様ぁああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!))
殺意が芽生えるほど腹が立って、居ても経ってもいられなくなる。でも実際に行動してしまうと、それこそ人生が台無しになってしまう。
だからお父様に向けて発散することはできなくって、仕方がないから翌日、ストレス発散のためにロズファーダルへと向かったのでした。
((お父様から臨時でお小遣いも出たことだし、今日はやりたいことを思う存分やりましょう。まずは――あら?))
そうして最悪な記憶を少しでも消そうとし始めた、その時だった。目の前に、見覚えのある人間が現れて――
ソリーヌ・テトロアとなったわたくしを待っていたのは、キラキラ輝く裕福な毎日。ではなかった。
体裁のためにお屋敷には住んでいるものの、豪華なのは外観や客が通る部分のみ。それ以外の部分は質素にしていて、まるで金持ちに憧れた凡人が背伸びをして建てたような有様。
食事だって3食ともせいぜい中の上レベルで、家具や服だって同レベル。応接室にあるようなキラキラした高級家具は一切なくて、パーティーの際に着ているような超高級な服だって普段は着ない。
旅行をした際だってスゥイートに泊まる財力があるくせに、毎回毎回わざわざランクを落した部屋に泊まる。
わたくしを待っていたのは、こんな期待外れな毎日だったのだ。
『いいかいソリーヌ、人生何があるか分からない。いつどんな形で、お金が無くなったり店が無くなったりするか分からないんだ。もしもの時にちゃんと生きていけるように、しっかりと備えておかないといけないんだよ』
お父様はとにかく心配性で、お金に糸目をつけないのは誕生日などの記念日や家族に良いことがあった時だけ。ああそれと、恵まれない存在に寄付をする時もそうだったかしら。
……そんなふざけた方針のせいで普段は『ちょっと裕福な家』レベルの生活しかできなくて、盛大な歓迎パーティーが開かれた翌日からず~~~~~っとわたくしは内心イライラしていたのだった。
((……でもまあ。もう少しの辛抱ですわね))
日々の生活は『ちょっと裕福な家』でも、世間からのお父様の評価は『有能経営者』であり『大金持ち』。そんな人の一人娘ということもあって孤児院から来たという過去があっても、ハイレベルの男と結婚することができる。
実際周りにいるのはそういった人ばかりで、そんな人間と結婚すれば相手の生活水準になる――贅沢な暮らしができるようになる。
だから納得のいかない毎日でも我慢をすることができて、ずっと耐えられてきたのだった。
なのに……。
そんなわたくしを、悲劇が追い打ちするのだった……。
「ええっ!? ロンダマークさんは駄目なのですか!?」
「……他言無用で頼むよ? 彼の家は――彼自身も、違法すれすれのやり方で稼いでいると判明したのだよ。そんなことをできてしまえる家と関係を持つわけにはいかんし、なにより、そんな良からぬ者にお前を嫁がせるわけにはいかんのだ」
参加したパーティーで一目惚れをして、意気投合までした美男。容姿も内面も財力も完璧な『運命の人』だと感じる相手と出逢えていたのに、調査によって縁を結べなくなってしまった。
((違法すれすれ!? なら合法じゃない!! 最後の一線を越えないっていう常識を持ち合わせている家なんだからっ、構わないじゃない!! それにロンダマークさんはっ、良からぬものなんかじゃない!! 思いやりがあって素晴らしい人ですわ!!))
家に嫁いでも悪いことは起きはしないし、ロンダマークさんと結婚しても悪いことは起きない。
なにも心配はいらないのにまた心配性が出て、いくら説得してもやっぱり駄目で……。わたくしは大粒の涙を流す羽目になってしまったのだった……。
((もう!! もう!! もう!! もう!! お父様ぁああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!))
殺意が芽生えるほど腹が立って、居ても経ってもいられなくなる。でも実際に行動してしまうと、それこそ人生が台無しになってしまう。
だからお父様に向けて発散することはできなくって、仕方がないから翌日、ストレス発散のためにロズファーダルへと向かったのでした。
((お父様から臨時でお小遣いも出たことだし、今日はやりたいことを思う存分やりましょう。まずは――あら?))
そうして最悪な記憶を少しでも消そうとし始めた、その時だった。目の前に、見覚えのある人間が現れて――
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