わたしとの約束を守るために留学をしていた幼馴染が、知らない女性を連れて戻ってきました

柚木ゆず

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第11話 幼馴染2人のその後~ラウルの場合・その3~ ラウル視点(1)

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「…………なんてこった! こんなこと……っ。どうすればいいんだよ……!!」

 4月19日の夜。さっき届いたばかりの手紙を、自室の壁へと力任せに叩きつける。
 父上からの手紙。リュクレースが逆恨みでかけていた呪いが解けた、という吉報が入っていると思っていたら――その中身は、悲報中の悲報だった。

《ラウル……。お前の現状は……目標の消失が原因だ……》

 リュクレースを世界で一番幸せにする――。ラドラロンド学院で生徒会長になる――。などの目標を、俺は長年抱いて走り続けてきた。
 だが当選してマリレーヌ様がお声がけしてくださったことで全てがなくなり、目指すものがなくなったため今までのように力が入らなくなっていた。
 ……それが、順位や点数の急下降の理由だった……。

「……すべての理由は、分かった。よく分かったさ! 分かったけどっ、じゃあどうしたらいいんだよ!?」

 父上やセブランは、同等の数であり大きさの目標を抱けばいい、と言う。
 同等の数と大きさ!?
 そんなの無理だ!!
 もう生徒会長になっているんだから生徒会長は目指せないしっ、マリレーヌ様は俺よりも名実ともに遥かに上! リュクレースと状況があまりにも違い過ぎるせいで、同じような熱意で『一番幸せにする!』なんて思えない!

「できない!! できるはずがない!! でも……」

 用意しないと、あの頃の自分を取り戻せない。

 ――1・数倍で駄目なら、今までの2倍や3倍勉強して補えばいいい――。

 それはそうだ! 実際一度、増やして盛り返してるんだからな!!
 だが1日は24時間と決まっていてっ、俺は一人しかいないんだ! そんなにも増やしたら体力が持たなくなってしまうんだよ!!

「……新たな目標の用意もできない……。時間でも補えない……。それでも、どうにかしないといけない……」

 あの様子を見るに……。次の定期テストで主席の座を取り戻さないと、マリレーヌ様は俺を『切る』だろう……。

「……せっかく手に入れた最高の幸せを、失うワケにはいかない……。絶対に、だ……!」

 だから……!!
 俺は両手で頭を掻きむしり、どこかにあるはずの『活路』を探し始めて――


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