今度こそ君と結婚するために生まれ変わったんだ。そう言った人は明日、わたしの妹と結婚します

柚木ゆず

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第10話 告白 ロドルフ視点(2)

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((コイン……?))

 差し込んだ手を引き抜くと、その手には糸をつけたコインが握られていた。
 ……間違いない。普通のコインと糸だ。こんなもので、なにをするつもりなんだ……?

「わたくし、ずっと後悔していたんですよ……。ルズサンド様を殺めてしまったことを……」

 また、だ。
 ボロボロと、両方の目から涙が零れ始めた。

「そのせいで、大好きな方に二度と会えなくなってしまったし……。大好きな方に、痛い思いをさせてしまった……。ずっとずっと、あの選択を後悔していたんですよ……。別のやり方はなかったのかって、悔やんでいたんですよ……」
((…………))
「もうこんな思いをするのは嫌だし、させるのも嫌。わたくしは来世でも巡り合えると信じ、もしも――。もしも、ですよ。また同じような状況になってしまった場合に備え、対策を練り始めたのです」

 朝も昼も夜も。食事と睡眠の時以外は、常に考えていた、らしい……。

「けなげに打ち込むこと、27年。その努力がようやく実を結ぶ。3つ隣の国『ベーファット』に住むとある一族が、催眠術という技術を持っていると知るのです」

 糸をつけたコインを一定の間隔で揺らし、そうしながら特殊な言葉を繰り返し呟く。そうすることで、視覚と聴覚を通して脳を刺激し………………。
 洗脳、できてしまえる…………。

「なんでもわたくしの言うことを聞いてくれる、わたくしだけを見てくれるルズサンド様。これから貴方様を、そんなルズサンド様に改造します」
((なっ!?))
「大好きな人を操るなんて、まるでわたくしが嫌々させているみたい……。負けた気がして、できるならしたくなかったんです。でも……。ぅぅぅ……」

 泣きながら、クローゼットを睨みつける。

「シーナのせいでこんなことになって、もう元のわたくし達には戻れません……。数時間前までのルズサンド様には、もう戻ってくれません……。だから…………ぐす……。やるしか、ないんですわ……」

 もうあんな過去は嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌――。
 レーゾットはブンブンと首を左右に動かし、床にたくさんの涙の粒を振り撒く……。

「むぐ! むぐ!! むぐ!! むぐぐぐぐぐぐぐぐぐ!!」

 洗脳!? こっちこそ嫌だ!!
 早く、こいつに伝えないと!!

「むぐ!! むぐうう!! むぐううう!! むぐうううううう!!」
「……怖い、ですよね? 大好きな方を、いつまで怯えさせるわけにはいきませんもの。急いで行いますね」
「むぐううう!! むぐうううう!! むぐうううううううう!!」

 違う! 違うんだ!!
 そうじゃない!!
 確かに怯えているがっ! そんな理由で声を出しているんじゃない!!

「むぐうううううううううううう!! むぐうううううううううううう!! むぐううううううううううううううううううう!!」
「では、開始します。すぐ終わりますからね、ルズサンド様」

 だからっ、違うっ!! 違うんだっ!!
 頼むっ、届いてくれ!!

「むぐううううううううううううううううううううううううううううううう!!」


 俺は、ルズサンドじゃないんだ! もうひとりの幼馴染っ、サンダースなんだぁあああああああああああああああああああ!!

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