今度こそ君と結婚するために生まれ変わったんだ。そう言った人は明日、わたしの妹と結婚します

柚木ゆず

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第15話 昔話 俯瞰視点

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 とある国にあるとある教会には、こんな昔話があるそうです。


「今日という日を迎えられたこと、嬉しく思うよ」
「わたくしもですわ」

 今から何百年も前のこと。とある男女が、結婚式を行うためにこの教会を訪れました。

「ミランダ。さ、行こうか」
「ええ。オスエル」

 男女はここまで乗って来た馬車を降り、二人仲良く手を繋いで歩き出す。敷地内にある緑や虹がかかる青空を見回しながら進んでゆく、やがて教会へと足を踏み入れたのでした。

「いつ来ても、ここの空気は澄んでいる。心が洗われるようだ――」
「ぁぐう!?」

 新郎の男が目を細め、深呼吸をした直後でした。新婦の女が胸を抑え、苦しみ始めたのでした。

「っ!? どっ、どうしたんだい!?」
「む、胸が……。熱い……!」

 胸の奥。心臓より深い、身体の中心。その部分に、ロウソクの火が灯ったような感覚に襲われているのだと説明しました。

「だっ、大丈夫かい!? だ、誰か――」
「お、収まりましたわ。消え、ました」
「え? そ、そう、なのかい……?」
「もう、平気みたいですわ。さ、参りましょう。わたくし達の――ぁが!? またっ! また来た!?」
「なんだってっ!?」
「ぁ、ぁがぁ……! あ、熱い!! 熱いのが続くようになった!! ずっと続いているっっ! ロウソクの炎をっ、一回りくらい大きくした感じ!! そんな熱さがずっと――ぁぎゃ!? あぎゃぁあ!?」

 ただでさえ激しくなった痛みが更に大きくなり、新婦はたまらず蹲りました。

「ど、どうしてしまったんだ……!? だっ、誰か早くきてく――ひい!?」
「な、なんですの!? わたくしがっ、どうかしましたの!?」
「か、身体から……。黒い煙が、出ている……」

 新郎が絶叫した理由は、新婦の異変。女の全身から、もくもくと真っ黒な――闇のようなどす黒い煙が上がり始めたのです。

「な、なんなんだ、この煙は……!? どうなって――」
「うぎゃああああああああああああああああ!? おげぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!? わ、我(われ)の身体だがぁああああああああああああ!?」
「!? わ、われ……!?」

 今悲鳴を上げているのは、悪霊。なんと新婦ミランダには『男性の一族を怨む霊』が憑りついており、ミランダを操って懐に入り込んで子孫を――一族全員を、破滅に追いやろうとしていたのです。

「ぁぎゃあああああああ!! ぎゃああああああああ!? ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 この教会には神聖なるオーラが漂っており、ミランダの魂に貼り付いていた邪な気に反応。この場に相応しくないものを排除するべく、浄化が始まっていたのでした。

「わ、われ、がぁあ! われがぁあああああ!! ぎいああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ…………」

 悪霊は抵抗を試みるも激しい痛みによって何もできず、そのまま消滅。ミランダの中から悪霊は消え去り、その後2人は幸せな人生を歩んだのでした――。





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