隣にある古い空き家に引っ越してきた人達は、10年前に縁を切った家族でした

柚木ゆず

文字の大きさ
11 / 24

第5話 その結果は 俯瞰視点(2)

しおりを挟む
「まさかっ、詐欺!? あの老婆が何もしなかったんですの!?」

 頭を抱えていたネフールが、ヒステリックな声を上げました。

「それしか考えられません! 私達は誰されたんですわ!!」
「……いや、アレはプロだ。必ずや仕事は行っている」

 ターズンの読みは、正解。この手のものは信頼が何よりも大事で、悪評の流布は間違いなく行われてきました。

「じゃあ、なんなんですのっ!? 行っているというのならっ、原因はなんなんですの!?」
「……分からん。分からんから…………調べてみよう」

 原因を掴まないと対応のしようがありません。
 3人はすぐさま入ったばかりの家を飛び出し、あらゆる場所の調査を実行。必死になって結果、始めて3日後にターズン達は原因の解明に成功したのでした。

ガスパールオルズのせいだったのか……!!」

 ガスパールは店をよりよいものとするべく、日頃から自分の店や自身に対する評価、評判、噂の収集を行っていた。それによりすぐに、悪評の流布を察知できていたのです。

『事実無根の噂が、合計6つ流れ始めているのか。……問題ない』

 料理に髪の毛や虫が入っていた――。ホライリースは常に満席で、この件が事実ならば他のお客様方が知っているはず。
 お金を持っているか否かでお客様への接客態度を変えていた――。同じくホライリース内には常に複数のお客様の目と耳があり、事実なら目撃情報があるはず。
 雇っているスタッフへのパワハラがあった――。店内の出来事ならお客様が目撃されているはず。店内外での出来事ならば、信用を得るには証拠が必要。もしスタッフが告発しているのであれば公表する前に証拠を集め、その上で明るみにするでしょう。
 という風に全部の問題に対してアンサーを出しており、全てが『根も葉もない噂』『ライバル店が流したタチの悪い噂だ』と判断されていたのです。

「あの男よくも……! 許せませんわ!!」
「まったくだわ!! あなたっ、別の悪評を流させましょう!」
「……もう無理だ……。お前達も分かっているだろう? これ以上の大金は出せん……」

『ふぅん。ただ流すだけでいいのかい?』

 もっとお金を積めば、相手が潰れるまで徹底的にあらゆる悪評を流すことができました。
 しかしながら3人にはそれ以上出せる余裕はなく、『流す』だけの一番シンプルなプランを選ばざるを得なかったのです。

「そんな……! じゃあどうすればいいんですの……」
「この方法は捨て、別のやり方でダメージを与えるしかない。……お前達、我々は流布など頼まなかった。何もかも忘れて新たな策を練るぞ」

 諦めたくないけれど、そうするしかない。3人は再び怒りに満ち満ちた表情で顔を突き合わせ――





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

元夫をはじめ私から色々なものを奪う妹が牢獄に行ってから一年が経ちましたので、私が今幸せになっている手紙でも送ろうかしら

つちのこうや
恋愛
牢獄の妹に向けた手紙を書いてみる話です。 すきま時間でお読みいただける長さです!

私から婚約者を奪う為に妹が付いた嘘…これにより、私の人生は大きく変わる事になりました。

coco
恋愛
私から婚約者を奪う為、妹が付いた嘘。 これにより、後の私の人生は大きく変わる事になりました─。

だって悪女ですもの。

とうこ
恋愛
初恋を諦め、十六歳の若さで侯爵の後妻となったルイーズ。 幼馴染にはきつい言葉を投げつけられ、かれを好きな少女たちからは悪女と噂される。 だが四年後、ルイーズの里帰りと共に訪れる大きな転機。 彼女の選択は。 小説家になろう様にも掲載予定です。

魔女見習いの義妹が、私の婚約者に魅了の魔法をかけてしまいました。

星空 金平糖
恋愛
「……お姉様、ごめんなさい。間違えて……ジル様に魅了の魔法をかけてしまいました」 涙を流す魔女見習いの義妹─ミラ。 だけど私は知っている。ミラは私の婚約者のことが好きだから、わざと魅了の魔法をかけたのだと。 それからというものジルはミラに夢中になり、私には見向きもしない。 「愛しているよ、ミラ。君だけだ。君だけを永遠に愛すると誓うよ」 「ジル様、本当に?魅了の魔法を掛けられたからそんなことを言っているのではない?」 「違うよ、ミラ。例え魅了の魔法が解けたとしても君を愛することを誓うよ」 毎日、毎日飽きもせずに愛を囁き、むつみ合う2人。それでも私は耐えていた。魅了の魔法は2年すればいずれ解ける。その日まで、絶対に愛する人を諦めたくない。 必死に耐え続けて、2年。 魅了の魔法がついに解けた。やっと苦痛から解放される。そう安堵したのも束の間、涙を流すミラを抱きしめたジルに「すまない。本当にミラのことが好きになってしまったんだ」と告げられる。 「ごめんなさい、お姉様。本当にごめんなさい」 涙を流すミラ。しかしその瞳には隠しきれない愉悦が滲んでいた──……。

本当は幼馴染を愛している癖に私を婚約者にして利用する男とは、もうお別れしますね─。

coco
恋愛
私は、初恋の相手と婚約出来た事を嬉しく思って居た。 だが彼は…私よりも、自身の幼馴染の女を大事にしていて─?

【完結】名無しの物語

ジュレヌク
恋愛
『やはり、こちらを貰おう』 父が借金の方に娘を売る。 地味で無表情な姉は、21歳 美人で華やかな異母妹は、16歳。     45歳の男は、姉ではなく妹を選んだ。 侯爵家令嬢として生まれた姉は、家族を捨てる計画を立てていた。 甘い汁を吸い付くし、次の宿主を求め、異母妹と義母は、姉の婚約者を奪った。 男は、すべてを知った上で、妹を選んだ。 登場人物に、名前はない。 それでも、彼らは、物語を奏でる。

私から全てを奪おうとした妹が私の婚約者に惚れ込み、色仕掛けをしたが、事情を知った私の婚約者が、私以上に憤慨し、私のかわりに復讐する話

序盤の村の村人
恋愛
「ちょっと、この部屋は日当たりが悪すぎるわ、そうね、ここの部屋いいじゃない!お姉様の部屋を私が貰うわ。ありがとうお姉様」 私は何も言っていません。しかし、アーデルの声を聞いたメイドは私の部屋の荷物を屋根裏部屋へと運び始めました。「ちょっとアーデル。私は部屋を譲るなんて一言も言ってないです」 「お姉様、それは我が儘すぎるわ。お姉様だけこんな部屋ずるいじゃない」「マリーベル。我が儘は辞めてちょうだい。また部屋を移動させるなんてメイド達が可哀想でしょ」私たちの話を聞いていた義理母のマリアは、そう言うと、メイド達に早くするのよと急かすように言葉をかけました。父の再婚とともに、義理の妹に私の物を奪われる毎日。ついに、アーデルは、マリーベルの婚約者ユーレイルの容姿に惚れ込み、マリーベルから奪おうとするが……。 旧タイトル:妹は、私から全てを奪おうとしたが、私の婚約者には色仕掛けが通用しなかった件について ·すみません、少しエピローグのお話を足しました。楽しんでいただけると嬉しいです。

処理中です...