悪役令嬢のお姉様が、今日追放されます。ざまぁ――え? 追放されるのは、あたし?

柚木ゆず

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番外編 3か月前 ユリオスとエステルの出会い

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 入学式の日。目の前を通り過ぎる新入生を、偶然見た。

 たった、これだけ――。

 僅か数秒間の出来事が、俺に生まれて初めての恋をさせた。

 相手の名前は不明で、分かっているのは異性という点のみ。あまりにも情報が少ないにもかかわらず、本能が『この子と一緒に生涯を過ごしたい』と訴える。
 その気持ちは、まるで炎のよう。時間に比例して、強く大きくなっていった。

(…………これが噂に聞く、一目惚れか。面白く、そして、悪くないものだね)

 目を閉じて先の光景を思い出すと、形容しがたい高揚感がやって来る。

 どんな読みも、保険も、理屈も通用しない。問答無用で感情を昂らせる存在。通常『不確定要素』は不愉快なものなのに、彼女の場合は不思議とそうはならない。

 まだ、何も理解できていない――。そんな未知の部分があることが、なぜだか楽しく心地いい。

(彼女はこれから入学式で、そのあとは交流会か。全てが終わるまで待って、声をかけてみよう)

 そうして今日の予定に新たなものが加わり、およそ2時間後。あの子の姿を目にした俺は呼び止め、こうして彼女との関係が――発見の毎日が、始まったのだった。

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