声に導かれるわたし~不思議な声と3人の裏切り令嬢~

柚木ゆず

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プロローグ オセアン・ロードハルザ視点(2)

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「オセアン様、いつも大変ですわね……」
「私(わたし)達は理解しております」
「せっかくのお誕生日なんです。こんな仕様もない嫌がらせは忘れましょう」
「サロニー様、ミントーア様、ミジュール様、痛み入ります」

 入学して一週間少々のタイミング、だったと思う。サロニー様がお声をかけてくださったことが切っ掛けで親しくさせていただくようになり、サロニー様と仲が良かったミントーア様とミジュール様とも親しくさせていただくようになった。
 御三方は学院内でたった3名の『心から信頼できる人』で、わたしは自然と肩の力を抜きながら会釈を行った。

「こういったものは立派な犯罪行為ですし、なにより、その対象になっているのは大切な友人なんですもの。否定や注意は当然ですわ」
「私達は当たり前のことを、当たり前にしているだけです。お気になさらずに」
「ささ、こんなつまらない嫌がらせは頭の中から追い出しましょうっ。そんなことより、今日のパーティーが楽しみですねっ」

 ここ王立・ラホライゾ学院は全寮制の学び舎で、各家からは生徒と侍従1人しか来れない――家族達は近くにいない。そのため学院には『誕生日は近しい友人でお祝いする』という風習のようなものがあって、放課後にお三方が第2校舎にあるパーティールームでお祝い会を開いてくださることになっているのです。

「きっと犯人は、誕生日に嫌な思いをさせようとしていますわ。捕まえられないなら、楽しい思い出をたっぷり作って反撃致しましょう」
「笑顔でいたら、犯人は悔しがりますよ」
「逆に嫌な思い出を作ってあげましょうっ」
「いつもいつも、ありがとうございます。はいっ、よろしくお願い致します。そうさせていただきます」

 登院早々に嫌な思いをしてしまったけれど、サロニー様たちのおかげで気分は一変。午前の授業中もお昼休み中も午後の授業中も気持ちよく過ごせることができ、あっという間に放課後になりました。

「オセアン様、わたくし達は少々準備を行いますわ。午後6時にいらしてください」
「承知いたしました。その時間に伺います」

 せっかくだから、自分達の手でセッティングしたい――。皆さんそう仰ってくださっていて、わたしは今一度感謝をしながら一旦『女生徒用寄宿舎白百合棟』にある自室に戻り、時間が経つのを待つ。

「お嬢様、今朝の件は引き続きわたくしが対応いたします。少なくとも本日は、なにもかも忘れて楽しんでください」
「そうさせてもらうわ。……そろそろ、時間ね。アメア、向かい――……。え!?」

 午後5時50分を示す掛け時計を確認し、座っていた椅子から立ち上がった――その瞬間でした。わたしは唖然となり、慌てて辺りを見回す羽目になりました。
 なぜならば、


《待ってくれ!》


 突然、こんな声が響いたのですから。


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