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第11話 偶然? 真鈴視点(1)
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「この声、もしかして」
声が聞こえてきた左方向を見てみると、やっぱりそうだった。昨日ディスカウントストアの前で出会った、あの女の子がいた。
「おねえちゃんっ! おにいちゃんっ! こんにちはー!」
「まあっ、奇遇ですね。昨日はありがとうございました」
「こんにちは。どういたしまして」
「こんにちは。偶然ですね」
女の子ちゃんが抱き付いてきてくれて、女の子ちゃんの頭を撫でながらご挨拶をした。
「ちゃんとしたお礼をさせていただきたいって、思っていたんですよ。お会いできてよかった。お二人とも、お家はこのあたりに?」
「私達は隣の市に住んでいて、その、用事があって来たんです。お二人のお家は、近くにあるんですか?」
「ええ、この近くにありますよ。その角を右に曲がって、真っすぐ進んだところにあります」
「「!!」」
その先を右で、真っすぐ。
もしかして!
「あのっ。北山さん――北山裕介さんのご近所さんですか!?」
「いえ、北山さんのお家からは少し離れていますね」
「そ、そうですか。じゃあ、あまり親しくは、ありませんよね……?」
「いえ、仲良くさせてもらっていますよ。北山さんちの春斗くんと澄香(すみか)――娘が入学時からクラスメイトで、頻繁に連絡を取り合っています」
………………いた。
仲のいい人が、いた!!
「? お姉ちゃんお兄ちゃん、春斗くんにごよー?」
「うん、そうなのっ! 澄香ちゃんのお母さんっ、実は――」
昨日あのあと、交差点で裕介さんの幽霊に会っていたこと。裕介さんから頼みごととお願いをされたこと。裕介さんからのメッセージを届けるために、この市を訪れていたこと。奈々子さんを訪ねたものの、お会いできなかったこと。ご近所さんや裕介さんのご両親に頼んでみたものの、会えなかったこと。
今の状況をお伝えした。
「裕介さんは春斗くんに謝罪をしたくって、最後に二人に会いたいとも願っているんです。でも、裕介さんが亡くなったあとに何かあったみたいで……。裕介さんの話題を出した途端に、インターホンを切られてしまったんです」
「僕達はどうしても、奈々子さんと春斗さんとお話しをしないといけないんです。誰かに言いふらしはしません。何があったかご存じでしたら、教えてくださいませんか?」
「お二人は昨日から、幽霊と仰っていましたね? わたしには貴方達が悪い人間には見えませんし、嘘を吐いているとも思いません。……そういうことでしたら、お教えします」
昨日の出来事のおかげで、信じてもらえた。澄香ちゃんのお母さんは周りに人がいないのを確認して、静かな声でこう言ったのでした。
「奈々子さんと春斗くんは、詐欺にあったんですよ。亡くなった裕介さんを利用した」
声が聞こえてきた左方向を見てみると、やっぱりそうだった。昨日ディスカウントストアの前で出会った、あの女の子がいた。
「おねえちゃんっ! おにいちゃんっ! こんにちはー!」
「まあっ、奇遇ですね。昨日はありがとうございました」
「こんにちは。どういたしまして」
「こんにちは。偶然ですね」
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「私達は隣の市に住んでいて、その、用事があって来たんです。お二人のお家は、近くにあるんですか?」
「ええ、この近くにありますよ。その角を右に曲がって、真っすぐ進んだところにあります」
「「!!」」
その先を右で、真っすぐ。
もしかして!
「あのっ。北山さん――北山裕介さんのご近所さんですか!?」
「いえ、北山さんのお家からは少し離れていますね」
「そ、そうですか。じゃあ、あまり親しくは、ありませんよね……?」
「いえ、仲良くさせてもらっていますよ。北山さんちの春斗くんと澄香(すみか)――娘が入学時からクラスメイトで、頻繁に連絡を取り合っています」
………………いた。
仲のいい人が、いた!!
「? お姉ちゃんお兄ちゃん、春斗くんにごよー?」
「うん、そうなのっ! 澄香ちゃんのお母さんっ、実は――」
昨日あのあと、交差点で裕介さんの幽霊に会っていたこと。裕介さんから頼みごととお願いをされたこと。裕介さんからのメッセージを届けるために、この市を訪れていたこと。奈々子さんを訪ねたものの、お会いできなかったこと。ご近所さんや裕介さんのご両親に頼んでみたものの、会えなかったこと。
今の状況をお伝えした。
「裕介さんは春斗くんに謝罪をしたくって、最後に二人に会いたいとも願っているんです。でも、裕介さんが亡くなったあとに何かあったみたいで……。裕介さんの話題を出した途端に、インターホンを切られてしまったんです」
「僕達はどうしても、奈々子さんと春斗さんとお話しをしないといけないんです。誰かに言いふらしはしません。何があったかご存じでしたら、教えてくださいませんか?」
「お二人は昨日から、幽霊と仰っていましたね? わたしには貴方達が悪い人間には見えませんし、嘘を吐いているとも思いません。……そういうことでしたら、お教えします」
昨日の出来事のおかげで、信じてもらえた。澄香ちゃんのお母さんは周りに人がいないのを確認して、静かな声でこう言ったのでした。
「奈々子さんと春斗くんは、詐欺にあったんですよ。亡くなった裕介さんを利用した」
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